三菱ふそうの大型観光バス「エアロエース」の公道試乗会が開催された。フルモデルチェンジで進化していると聞いて、動くもの好きベストカーとしては黙っていられない。特派員を派遣して現場レポート……のはずが、第一声は「楽しかった〜」。なんだそれ!?
高速道路と一般道合計650㎞の旅
いや〜、すみません。本当に楽しかったもので……。乗用車と違って、バスやトラックは車種が少ないうえにモデルサイクルが長いので、新車デビューが非常に少ない。その新車試乗会、それも2日間で650㎞を走り込めるなんて機会は滅多にないこと。大型車を〝動かす〟という、乗用車とは違うドライブ感覚も含めて、つい口元が緩んでしまいました。
三菱ふそうは’14年、大型路線バス「エアロスター」を皮切りに、大型観光バスのスーパーハイデッカー「エアロクイーン」とハイデッカー「エアロエース」シリーズを順次フルモデルチェンジした。
大型バスへの衝突被害軽減ブレーキ装着義務づけを先取りしたモデルチェンジではあるものの、それだけにとどまらずエンジンのリファインやサスペンションセッティングを見直し、安全性はもちろん燃費や乗り心地、操作性まで総合性能を大幅に進化させての登場となった。三菱ふそうのやる気が感じられる。
試乗車は、全長12m級のエアロエース(MS)と、9m級のエアロエースショートタイプMMの2台。MSは高速夜行線仕様で30人乗り、MMは後方サロン仕様の29人乗り。三菱ふそうの喜連川研究所を出発し、1日目はいわき経由でつくば、2日目がつくばから東京に南下して喜連川に戻るコースで、2日間で約650㎞を走破した。
操作性も乗り心地も進化に隔世の感あり
運転席に乗り込みエンジンをスタートさせる。今どきのバスはルームミラーがない。リアカメラの映像がインパネに設置されたモニターに映し出される。はっきり言って、このほうが後方の状況をつかみやすい。
今回は公道試乗だったので積極的には(?)試せなかったが、衝突被害軽減ブレーキや車間距離警報の有効性は感じられた。試乗中、高速道路上の落下物に反応して速度を落とした先行車の動きを、ミリ波レーダーがしっかり感知して、警報が作動した。付け加えておくと、アクセル、ブレーキ、クラッチ、シフトの各操作がむちゃくちゃスムーズで、乗用車を運転しているのと変わらない印象。バスの進化はすごいと思う。
ドライバーチェンジして、乗客目線で各部をチェック。エンジン音や風切り音はとても静か。新型車は、プラズマクラスターイオン発生装置と抗菌シート生地が標準採用されており、室内照明のLED化などを含め快適性も格段に向上しているようだ。
ダイムラー製エンジンはキャリーオーバーでパワーやトルクに変更はないが、MSに搭載される13ℓは高過給と高EGRを両立するアシンメトリックターボ、余分な駆動ロスを低減させる電子制御可変ウォーターポンプが導入され、燃費が向上したという。今回の試乗会での満タン法による実燃費は、MSが4・2㎞/ℓ、MMは4・4㎞/ℓ! これが大型バスの燃費かと目を疑うほどの大進化である。
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