120km/h区間なのに追い越し車線に出てくる日本の大型トラックドライバーは「マナー最悪」か?【清水草一の道路ニュース】

日本は合流速度が遅すぎる!

 もうひとつ見逃せないのは、日本とドイツとでは、合流車の速度が違う点だ。

 日本では、インター等から合流してくる乗用車の多くが、せいぜい70km/hくらいまでしか加速せず、クルマの隙間を見つけて合流している。100km/hにまで速度を上げるのは、本線に合流してから。本線の走行車線を走るクルマは、合流車を見つけると一斉に追い越し車線に逃げている。

 大型トラックは重いので、一度速度が下がると、回復させるのに時間がかかる。結果的に日本の片側3車線区間では、多くのトラックがずっと第二通行帯を走っている。

 日本では、第一・第二通行帯とともに「走行車線」とされており、ずっと走っても違反にならない(厳密には大型車は第一通行帯に戻る義務があるが、黙認状態)。大型トラック同士の追い越しは、走行が禁止されているはずの第三走行帯にならざるを得ない(これも黙認)。

 アウトバーンでは、十分に加速してからの合流が徹底しており、本線の流れより遅い速度で合流するクルマはまずいない。混雑度も低いから、合流車に流れを妨げられるというケースがほとんどなく、大型トラックは安心して第一通行帯を走ることができる。

速度無制限であっても、驚くほどマナーがよく、混雑も少ないドイツのアウトバーン(筆者撮影)
速度無制限であっても、驚くほどマナーがよく、混雑も少ないドイツのアウトバーン(筆者撮影)

 日本でも教習所では、「高速道路に合流する前に、十分に加速しましょう」と教えているが、実際に路上に出ると、ほとんど忘れられている。「急加速は危険」という刷り込みのほうが、圧倒的に強いのだろう。

 こういった要因が組み合わさって、日本の高速道路では、最高速度120km/h区間でも、第三走行帯に大型トラックがちょいちょい出てきて、1~2km/hの速度差で長々と追い越しをかけるという状況が生まれている。それを、トラックドライバーのマナーだけの責任にするのは難しい。

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