このままじゃメリットがない! 絵に描いた餅か? なぜ最高速度120km/h区間の延長をしなのか?【清水草一の道路ニュース】

このままじゃメリットがない! 絵に描いた餅か? なぜ最高速度120km/h区間の延長をしなのか?【清水草一の道路ニュース】

 クルマと道路は切っても切り離せないもの。交通ジャーナリストの清水草一が、毎回、道路についてわかりやすく解説する当コーナー。今回は高速道路の最高速度引き上げ区間について考察する。

文/清水草一、写真/フォッケウルフ

■最高速引き上げの効果が感じられる区間ランキング

 ここ数年、高速道路の最高速度引き上げが相次ぎ、現在は5区間になっている。金科玉条のごとく最高速度100km/hを死守してきたかつての警察庁を思えば、劇的な変貌と言っていいだろう。

 世界的に見ると、高速道路の最高速度は120km/h~130km/hが主流だ。同じアジアの韓国や中国が、すでに120km/hに引き上げていることを思えば、日本のそれはまだごく一部の区間に過ぎず、十分とは言えない。それでもドライバーにとってはポジティブな変化と言える。

 これまで最高速度が引き上げられた5区間は、以下の通りだ。

<最高速度120km/h区間>
1:新東名高速道路 御殿場JCT―浜松いなさJCT間(145km)
2:東北道 花巻南―盛岡南間(27km)
3:東北道 蓮田スマートIC―佐野スマートIC間(41km)
4:東関東道 四街道―成田JCT間(20km)

<最高速度110km/h区間>
5:常磐道 桜土浦―岩間間(30km)

 これら5区間を実際に走った感じはどうなのか、メリットを感じる順にランキングしてみよう。

■1位/新東名高速道路 御殿場JCT―浜松いなさJCT間(145km)
 他の区間に比べると、圧倒的なメリットを感じる。この区間の交通量は、平均約5万台/日で、交通容量に対してかなり余裕がある。そのぶん追越車線を走るクルマが少なく、120km/hを維持しやすい。

 しかも距離が長いので、時間短縮効果を肌で感じることができる。この区間を120km/hで走り続けると、100km/hに比べて15分早着できる計算になるが、実際にそれに近い効果がある。設計は140km/hを担保するものになっているので、今後は130km/hへの引き上げを視野に入れてもらいたい。

■2位/東関東道 四街道―成田JCT間(20km)
 引き上げ対象距離は最も短いが、交通量に余裕があるので(6.7万台~4.6万台/日)、追越車線を活用すれば120km/hを維持しやすく、それなりに気持ちよく走れる。ただし距離が短すぎて、メリットは気持ちよさだけだ。

■3位/常磐道 桜土浦―岩間間(30km)
 今年3月に110km/h引き上げられた。引き上げ速度幅が小さく距離も短いが、交通量は5.9万台~5.4万台/日と十分余裕があるので、ほぼきっちり110km/hを維持できる。120km/hへの引き上げが待たれる。

■4位/東北道 花巻南―盛岡南間(27km)
 カーブも勾配も緩くて走りやすいが、唯一の4車線区間で、距離も短い。交通量は3万台/日以下で余裕があるが、走行しているドライバーの多くが最高速度120km/h区間であることを意識しておらず、追越車線を100km/h以下で走るクルマが目立つ。結果、あまりメリットは感じられない。

■5位/東北道 蓮田SA―佐野スマートIC間(41km)
 距離は2番目に長いが、交通量は9.2万台~6.4万台/日と最も多く、片側3車線をクルマがビッチリ埋めていることが多い。日中は追越車線でも100km/hを維持することは難しく、120km/h巡航は絵に描いたモチだ。

東北道の120km/h区間は、昼間は交通量が多すぎて100km/hも維持できない
東北道の120km/h区間は、昼間は交通量が多すぎて100km/hも維持できない

次ページは : ■警察庁が絶対条件としたのは設計速度?

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!