自転車の取り締まりは強化される傾向
これまで自転車目線で見てきたが、自転車サイドの問題は、違反していることを自覚していないことにある。
前述のとおり、自転車は道交法では軽車両に分類されている。ということは、基本的にクルマがやってはいけないことは自転車もやってはいけない。
自転車が違反をして取り締まられた場合の一例を挙げると、
■飲酒運転(酒気帯びは罰則なし):5年以下の懲役または100万円以下の罰金
■疲労運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
■信号無視:3月以下の懲役または5万円以下の罰金
■一時停止義務違反:3月以下の懲役または5万円以下の罰金
■踏切一時停止義務違反:3月以下の懲役または5万円以下の罰金
■無灯火:5万円以下の罰金
などなどこのほかにもたくさんある。
クルマの場合は青キップというものが存在するが、自転車の場合はないため、違反をして取り締まられた場合の罰則が重くなる。
携帯電話、スマホを操作しながらの運転、イヤホンやヘッドホンを使用しながらの運転、傘さし運転について道交法では禁止条項はないが、多くの都道府県がこれらの行為を禁止していて、違反すると5万円以下の罰金となることも覚えておこう。
こんなのみんなやってるし、取り締まられたという話は聞いたことがない、と楽観視していると痛い目に合う。
現状で言えば、自転車に対し注意を喚起する意味で出されるイエローカードをもらった人はいるかもしれないが、違反をしても取り締まられるケースは珍しい。このイエローカードは何枚もらおうが後々どうなるというものではない。
しかし、自転車運転講習制度というものがあり、3年間で2回違反して取り締まられると都道府県公安委員により講習の受講が命じられる。これは場所に関係なく累積2回ということで、東京都内で1回、出張先の大阪市内で1回というケースもアウト!
受講までの猶予は3カ月で、1回の講習は3時間、手数料は6000円前後。もし、受講命令に従わず3カ月経過しても受講しなかった場合は5万円以下の罰金だから逃げられない。
改正道交法が施行された直後こそ取り締まりを強化していたがその後ひと段落。しかし、自転車の違反が目に余るとの苦情が殺到していることから再び取り締まりを強化する動きがあるのだ。
自転車、クルマに必要なこと
自転車は対人という点では交通強者であるため自転車の重大事故により多額の賠償金を請求される判決も出されている。
2015年10月に兵庫県で自転車保険の加入が義務付けられて以降、全国の自治体で保険の義務化が進んでいるように、今やクルマ同様に乗るなら保険に入るというのが常識だ。
道路を走行している限り、加害者にも被害者にもなる可能性がある。特に自転車はほとんど生身のため被害にあった時は重篤なことになりやすい。そのためにも保険の加入をお勧めする。
そのほかでは、車道を走るようになった自転車には義務付けされていないが、原付同様に右側だけでもミラーを付けて後方視界の確保に努めるのが得策だ。
最後に、クルマを運転するドライバーにとってはちょっと酷な話になるが、たとえ自転車が違反して一方的に悪くても、クルマの過失がゼロになることはほとんどない。
そんななか自らの身を守るためには、自転車は違反するものという認識を持ち、突発性のことにも対応できるように注意を払うしか方法はない。
自転車の違反を容認しているわけではない。目に余るものがあれば更に締め付けが厳しくなるのは当然。自転車に乗る人は、違反を繰り返すことで、手軽さという自転車の持つ魅力を放棄することになることを覚悟しておかなければいけない。
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