タイヤの燃費志向も空気圧を高める理由に
タイヤの空気圧が高くなっているもう一つの理由は、省燃費対策です。
国産車の純正タイヤはJATMAの規格に合ったタイヤを履いています(一部サイズにETRTO規格も混じっていますが)。なので、最大空気圧は240kPaになります。
ところがタイヤの空気をさらに充填していくと内圧が高まり、タイヤの剛性が高くなる方向に向かいます。
タイヤは、路面の直接的な摩擦だけでなく、他の部分のゴムの変形による発熱でもエネルギーをロスして燃費を悪化させてしまいます。タイヤの変形による発熱が少なくなれば転がり抵抗は低減するので、空気圧を高く設定するわけです。
JATMAでは、ロードインデックスの上限の空気圧を240kPaとしていますが、それ以上空気を入れて使えないわけではありません。
乗用車用タイヤは、設計上の許容最大空気圧が350kPaくらいなので、空気圧の上限を考えた場合、余裕を残しています。
そんなこともあって、燃費を狙った車種ではスタンダードなタイヤなのに270kPaとか、280kPaといった高い指定空気圧に設定している車種もありました。
(編注:一部のアルト、ワゴンR、先代セレナなどが280kPa、先代ミライースは270kPaという指定空気圧だった)
そこまで露骨ではなくても、240kPaとか、250kPaと規格上限を指定空気圧にしている車は少なくありません。転がり抵抗低減を多少なりとも意図していると考えていいと思います。
空気圧が高いタイヤは今後も増える? 気になる利点と欠点
やや話は脱線しますが、ならば愛車の空気圧を高くしたら燃費は良くなるのではないか、と思われる人もいると思います。これも多少の効果が見込めます。
指定空気圧+2kPa(0.2キロ)程度なら、多少乗り心地が硬めになりますが、燃費への効果が多少期待できると思います。
ただ、空気圧は上げ過ぎると接地面が凸型に膨らんで、接地面積が極端に少なくなってしまうので、安定性が悪くなります。
経験上、その境目は300kPaあたりにありますから、それ以上の空気圧にならないように使うことをお薦めします。
さらに言えば、空気圧を上げるよりも転がり抵抗の少ないタイヤに履き替えた方がはるかに燃費性能への貢献度は大きいと思います。タイヤグレーディングの転がり抵抗「AA」、「AAA」の燃費貢献度は、ちょっとビックリするくらいです。
話を戻すと、転がり抵抗の低減のために指定空気圧を極端に高めに設定するというやり方は、現在では少なくなっているようです。
その一方で、タイヤの大径化と低偏平化はまだまだ進んでいきそうです。
転がり抵抗を考えればタイヤ幅は無暗に太くできないので、ロードインデックスの不足を補うために高めの空気圧になる傾向はまだ続きそうです。
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