多くの業界でそうであるように、自動車業界でも「これは歴史的に見て成功しない」ということは多い。が、そこにあえて挑戦し(華々しく散っ)たクルマもまた多い。ここではそんなクルマたちの運命を振り返る。(本稿は「ベストカー」2013年4月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
■5気筒エンジン搭載車
●最初は成功したが、最終的には挫折
いいほうに解釈すれば「4気筒の軽さ小ささと、6気筒のスムーズさ・静粛性を併せ持つ」というメリットを持つ5気筒エンジンはヨーロッパではアウディやボルボなどが持っており、日本車でもホンダとトヨタ(こちらはディーゼル)が生産していた。
ホンダは初代インスパイア&ビガーで初採用(6気筒はレジェンドやNSXに搭載されたV6があり、2~2.5Lは5気筒という面もあったもよう)され、当初は成功。
しかし、それ以降のモデルはクルマそのものの魅力が薄くなったこともあり低調に。5気筒エンジン自体もS2000用に使うという案もあったようだが、性能要件を満たせず、結局採算が取れたのかも不明なまま(ホンダの5気筒は縦置き用で駆動系が複雑だったこともあり高コスト)消滅した。
5気筒エンジンは裏を返せば「すべてが中途半端」と考えることもでき、そのせいもあって廃れてしまったのだろう。
■3人乗り×2列ミニバン
●ティーノ・エディックス 日本ではこの2台だけで挫折
ヨーロッパではムルティプラが提案したこの種のミニバンに、ムルティプラ登場の直後に日本車でもティーノが挑戦した。
ティーノはベンチシートで前3人掛けとなっており、前席中央の乗員の快適性がイマイチだったことやクセの強いスタイルだったこともあり失敗。ティーノの生産終了翌年に登場したエディックスは乗員全員分に独立シートを用意し、6人乗車時の快適性も問題なかったにもかかわらずこちらも失敗。
2台が失敗に終わった要因としては、日本でミニバンといえば3列シートというのが定説だったことや、この2台を買う予算があればウィッシュのような5ナンバーミニバンも買えることも大きかった。
3人が前席に乗れる楽しさも捨てがたいものなのだが……。
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