勇猛果敢? それとも単なる無謀? クルマ界の ジンクスに突っ込んでって消えたクルマたち

■日本人にスペシャルティな軽を買う余裕はない?

ホンダZ(初代、1970年~1974年)…前期型はN360、後期型はライフがベースで、エンジンも空冷と水冷が存在。4人が充分乗れたという。Zの車名は1998年の軽SUVで復活している
ホンダZ(初代、1970年~1974年)…前期型はN360、後期型はライフがベースで、エンジンも空冷と水冷が存在。4人が充分乗れたという。Zの車名は1998年の軽SUVで復活している
ダイハツ リーザ(1986年~1993年)…ベース自体は当時のミラだが、ホイールベースを短縮したうえに着座位置も低くするなど、仕込みは意外に入念。2人乗りオープンのスパイダーも販売された
ダイハツ リーザ(1986年~1993年)…ベース自体は当時のミラだが、ホイールベースを短縮したうえに着座位置も低くするなど、仕込みは意外に入念。2人乗りオープンのスパイダーも販売された
ダイハツ ソニカ(2006年~2009年)…全グレードがターボエンジンを搭載し、キーフリーシステムも標準装備するなど、スペシャルティに加え高いプレミアム性も狙った軽自動車だった
ダイハツ ソニカ(2006年~2009年)…全グレードがターボエンジンを搭載し、キーフリーシステムも標準装備するなど、スペシャルティに加え高いプレミアム性も狙った軽自動車だった
スズキ 5代目セルボ(2006年~2009年)…ソニカとは対照的に、NAエンジンのエアロパーツなしという普及仕様も設定していたセルボ。直噴ターボ+CVTというゴージャスな仕様である“SR”も用意
スズキ 5代目セルボ(2006年~2009年)…ソニカとは対照的に、NAエンジンのエアロパーツなしという普及仕様も設定していたセルボ。直噴ターボ+CVTというゴージャスな仕様である“SR”も用意

●1990年代初めまではそれなりに成功したが、最終的に挫折

 軽自動車のバリエーションが広まり始めていた1970年代、実験的な意味も含まれていたのか、スペシャルティな軽が登場し始めた。その元祖は「水中メガネ」と呼ばれたホンダZだった。

 Zはホンダが軽自動車から一時撤退したため短命だったが、スズキが歴代のセルボで2ドアファストバック、3ドアハッチバックを、ダイハツもリーザをラインアップし、1990年代初めまではまずまずのセールスを記録した。1990年代中盤以降は景気後退もあり絶滅状態となっていたが、1906年に5ドアHBではあるが広さよりカッコよさを優先したソニカとセルボが登場し、このジャンルが復活。

 しかし、ユーザーはやはりコスパや、スタイルより広さが大切なのか、結果は振るわず2台とも登場から3年で姿を消してしまった。

■軽枠より小さいシティコミューター

スバル R1(2004年~2010年)…ベースとなったR2よりホイールベースも短く、スポーティな性格だったR1
スバル R1(2004年~2010年)…ベースとなったR2よりホイールベースも短く、スポーティな性格だったR1
トヨタ iQ(2008年~)…カタログモデルに加え、SCのGRMNも限定販売するなど奮闘しているiQ
トヨタ iQ(2008年~)…カタログモデルに加え、SCのGRMNも限定販売するなど奮闘しているiQ

●挑戦は続いているが、挫折が濃厚?

 ヨーロッパでは全長3m以下のシティコミューターに優遇措置があるため普及も進んでおり、日本でもツイン、R1、iQが挑戦。

 軽の2台は絶版となり、iQは現在も販売されているが、販売は低迷。理由は明白で、日本では優遇措置もなく、価格も決して安くない。だったら普通の軽のほうが4人乗れて実用性が高いということなのだろう。次期iQはあるのか興味深い。

■5ドアセダン

三菱 4代目エテルナ(1988年~1992年)…4ドアがギャラン、5ドアがエテルナだったのに、4ドアのエテルナSAVAも追加
三菱 4代目エテルナ(1988年~1992年)…4ドアがギャラン、5ドアがエテルナだったのに、4ドアのエテルナSAVAも追加
トヨタ 2代目プリウス…(2003年~2009年)…後方視界は若干悪かったが、使い勝手のよさも評価され、現行モデルも5ドアだ
トヨタ 2代目プリウス…(2003年~2009年)…後方視界は若干悪かったが、使い勝手のよさも評価され、現行モデルも5ドアだ

●挫折の連続だったが、今や当たり前の存在に

 ヨーロッパでは人気の5ドアセダンだが、日本では今でいうCセグメント以上は「トランク付き」という常識の壁は大きく、コロナなど多くのセダンに5ドアも設定されたが、どれも鳴かず飛ばす。

 しかし、2代目プリウスが「空気抵抗低減のため」という理由もあり5ドアとなったところ大ヒット。今では何の抵抗もなく受け入れられている。

*      *      *

【番外コラム】ジンクスに打ち勝ったクルマはあるか?

 ジンクスには敗れたクルマがほとんどだが、打ち勝ったクルマというのも少数ながらある。

 ひとつめが3ナンバー専用車。1989年までは3ナンバーというだけで自動車税や任意保険が高額だったため、クラウンですら5ナンバー車が主流だった。しかし、初代ディアマンテはこの2つの見直しと合致するタイミングに登場という追い風もあり大成功を収めた。

 アテンザは1990年代までは多くの車種があったディーゼルのセダンに果敢に参入。成功は言うまでもない。ディーゼルのセダンは徐々に減少し絶滅が続いていただけに、この成功は凄い!

三菱 初代ディアマンテ(1990年~1995年)…3ナンバー専用車とすることで堂々としたスタイルを実現。2Lに対し自動車税5000円増しですむ2.5Lの商品性は特に高かった
三菱 初代ディアマンテ(1990年~1995年)…3ナンバー専用車とすることで堂々としたスタイルを実現。2Lに対し自動車税5000円増しですむ2.5Lの商品性は特に高かった
マツダ 3代目アテンザ(2012年~)…アテンザ全体の80%を占めるほど売れているSKYACTIV-D。クルマ好きにはディーゼル+MTの設定も大好評
マツダ 3代目アテンザ(2012年~)…アテンザ全体の80%を占めるほど売れているSKYACTIV-D。クルマ好きにはディーゼル+MTの設定も大好評

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

【画像ギャラリー】5気筒エンジンに3人乗り×2列ミニバン…… 「ジンクス」に突っ込んでって消えたクルマたちをギャラリーでチェック!(25枚)画像ギャラリー

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