2018年3月に1.5Lダウンサイジングターボ+CVTで登場した「三菱エクリプスクロス」。だが、当時から本命はクリーンディーゼルだと言われていた。
欧州のディーゼル排ガス不正問題の影響もあってか、ずいぶん時間がかかったような気もするが、今年6月、ついに発売開始に。その試乗レポートをお届けしたい。
※本稿は2019年7月のものです。試乗日2019年7月2日
文:ベストカー編集部/撮影:平野 学
初出:『ベストカー』 2019年8月26日号
■D:5と同じ4N14型+8速AT/アドブルーは1000kmごとに1L タンクは16L


搭載されるのは直4、2.2L DOHCディーゼルターボ(145ps/38.7kgm)で、デリカD:5に積まれているのと同じ4N14型。これにアイシンAW製の8速ATを組み合わせ、排出ガスをクリーンに浄化する尿素SCRシステムを採用している。
なお、尿素水溶液であるアドブルーは1000km走行ごとに1L消費され、タンク容量は16L。
つまり、アドブルーがカラになるまで1万6000kmほど走れるということであり、面倒を感じるほど頻繁に注入しなければならないものでもなさそうだ。


走らせてみると1.5Lガソリンターボの時から魅力に感じていた、しなやかな乗り味は健在。
路面の荒れを上品に吸収してくれる乗り心地と、特別スポーティではないが、不安を感じることなく正確に曲がってくれるハンドリングなど、足のよさがこのクルマの魅力だったことを思い出させてくれる。
しかも、ディーゼルはさすがにトルクに余裕があるだけに、ほんの少しアクセルを踏むだけでグイグイ進んでくれて、ゆったり走るのに最適。

■しみじみと「いいねぇ」と言いたくなるオンロードでの走り
いっぽうで、全開にした時にはレブリミット(4200rpm)にあっという間に届いてシフトアップされ、豊かなトルクを味わっているヒマもない感覚になる。
つまり、全開が楽しいパワーユニットではないということで、この魅力は街中での低中速域の走りや、高速道路を一定速度で淡々と走る時に発揮されるということ。
ぶっ飛ばす気にならないというのは、冗談抜きで安全に繋がる。

また、そんな走り方をしている時の「何かいいものに乗っている感」は非常に強く、力強い「いいね!」ではなく、しみじみと「いいねぇ」と言いたくなる乗り味なのだ。カタチは若いが走りは大人だ。