CR-Vの美点はライバル以上の走行性能
逆にCR-Vのメリットは走行性能にある。エンジンは前述のように直列4気筒1.5Lターボと、2Lのハイブリッドを搭載。1.5Lターボはノイズが少し気になるが、幅広い回転域で余裕のある動力性能を発揮するから運転しやすい。
ハイブリッドは「i-MMD」(※アコード、インサイトなどにも搭載)で、エンジンは主に発電機を作動させ、その電気を使ってモーターを駆動する。
エンジンが直接駆動するのは、その方が効率の良い高速巡航時だけなので、通常の運転感覚はモーター駆動の電気自動車に近い。加速は滑らかで、アクセルペダルを踏み増した時には駆動力が素早く立ち上がるから、活発な走りを味わえる。
走行安定性も良く、全高は1600mmを超えるが、峠道や高速道路をワゴンのような感覚で運転できる。乗り心地は低速域では少し硬いが、速度が上昇するとしなやかになる。特に走りが優れているとはいえないが、少なくとも不満はない。
居住性は快適で、1/2列目シートの頭上と足元にはタップリした空間がある。
3列目は補助席だから窮屈だが、3列目に座った乗員の足が2列目の下側に収まるよう工夫され、片道30分程度の距離なら大人の多人数乗車も可能だ。SUVの3列目シートとしては快適に仕上げた。
CR-V挽回に必要な「一手」は?
先に述べたように、SUVの魅力は格好良さと実用性の両立だ。
後者についてはCR-Vでも充分に満足できる。不満なのはSUVの格好良さになる。特に最近は、シティ派SUVが増えたことで、飽きられる傾向も見え始めた。RAV4のようなオフロード感覚が好まれる。
CR-Vも北米ではなく日本で売れ行きを伸ばすなら、野性的、あるいはスポーティな雰囲気を強めることが大切だろう。
3列シートの実用車が欲しいだけなら、CR-Vではなくミニバンを選ぶ。ヴェゼルに設定される「RS」のようなスポーティグレードを用意する手もある。
また、内装の質を高めたり、価格を割安に抑えることも欠かせない。
カーナビを標準装着すると「ディーラーオプション20万円プレゼント」といった販売促進キャンペーンも切り出しにくい。高額なディーラーオプションといえば、カーナビになるからだ。
仮に基本価格を30万円値下げして、さらに20万円相当のカーナビがオプションになる仕様を設ければ、車両価格が合計50万円下がる。最廉価グレードが270万円なら、2Lのノーマルエンジンを搭載するエクストレイルに近い設定になり、割安感も生じるだろう。
SUVは価格を割安に抑えただけでは売れないが、野性味やスポーティ感覚を強める改良と併せて実施すれば、売れ行きを伸ばす効果も期待できる。
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