スズキアルトワークス試乗! ホンダS660よりパンチあるぞ! 

国沢光宏はアルトワークスをどう評価するのか!?            

 TEXT/国沢光宏

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レッドの差し色を使ったターボRSに対しワークスはブラック系のカラーリングで凄みのある演出。乗ればハッキリと違いのわかるハンドリングの差を感じる。5速MTを駆使して走るのは楽しいB 価格はFFで150万9840円

 「アルトターボRSと同じエンジン&足回りだからタイした走りはしないでしょ」とまったく期待しないで試乗してみたら「あらま!」と思うくらい楽しいクルマだった。やっぱりスポーツモデルのエントリーカーってこうじゃなくちゃアカンです。

 ただ「早急になんとかして欲しい」という点もいくつか。お正月なので後味いいよう、弱点から指摘してみたい。

 最大の「う〜ん!」がレカロの取り付け位置だ。レカロそのものはフレームを含め本物なので良品である。けれどターボRSよりヒップポイントが20㎜以上高い。

 これだけ高いと少し大ゲサな表現ながら「2階に座っているみたい」な感じ。スポーツシートといえば可能な限り低い位置にセットするもの。基本をわかっていない? ターボRSに乗り換えると低くてスポーティな感じ。

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0.2㎏mのトルクアップは体感できないものの、アクセルレスポンスの向上など、ターボRSとの差異は明確だった

 価格も納得できない。ワークスは5MTも、2ペダルのAGSも、ターボRSより21万6000円高。ターボRSとの装備差を見ると、差はレカロくらい。ダンパーやホイールなど違うけれど、コスト的には同じだ。

 さらに「納得いかないですね」なのが5MT。AGSは5MTに油圧クラッチと操作系を加えたものでコスト的には高いハズ。しかもAGSなら簡易式ながら自動ブレーキまで付く。

 モンクはこのあたりにして試乗といきましょう! 1速ギアでクラッチミート、走り出すと「ありゃりゃ?」。予想していたよりずっとパワフル。670㎏という20年前の軽自動車と同じような車重に最新のトルクフルなターボエンジンを搭載してるんだから当然か? 

 それだけでなく、AGS仕様と違うエンジンだと思えるほど楽しい。実際、乗り比べてみたら、ぎっこんぎっこんギアが変わるAGSの厳しさがハッキリわかる。

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670㎏という軽量ボディにトルクフルなターボエンジンを搭載するアルトワークスの走りは、乗ってすぐに楽しさを感じることができる

 もはや5MTというだけでワークスを選ぶ価値があると思えるほど。動力性能についていえば、さすがのS660も勝てない。加えて3気筒の味を上手に出してるエンジンフィールもいいa これまたAGSだと安っぽく感じるだけだったが、5MTで味わうとアクセル操作と完全にシンクロするためスポーティになるから不思議。

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ダンパーはターボRSと同じKYB製ながら、ワークスのほうはかなりハードなセッティング。乗り心地は硬いけれど、ダンパーの動きはいい

 サスペンションはどうだろう? ターボRSと同じKYB製ながら、乗り比べたら誰でもハッキリわかるほど減衰力を上げている。その割によく動くため、乗り心地の質感はむしろターボRSより高いほど。リーズナブルなショックを上手に使っていると感心。もちろん大人が納得する奥行きはないけれど、若い人ならこのくらい硬いほうが普通のクルマと違う感じで楽しいと思う。

 おそらくスズキにもクルマ好きがいて、アルトワークスの開発にあたり魂を込めたのだろう。基本的にターボRSと同じ部品を使っているのに、まったく雰囲気が違うクルマになってしまった(AGS仕様は未試乗なので不明)。だったら最初からターボRSなんか作らず、ワークスだけにしておけばよかったのに、と強く思う。

 いずれにしろアルトワークス、楽しいです。

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スペック比較
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