■価格
価格は最も安いIS250の標準が420万円、トップモデルのIS350Fスポーツで595万円、新設定のIS300hは480万~538万円の設定。旧型が398万~538万円という価格設定だったことを考えると、装備の充実ぶりを差し引いても若干の値上げ。
■販売動向
ベストカーの独自調査で新型ISはゴールデンウィーク明けの段階で事前予約が殺到していて、特にハイブリッドの300hの人気は凄まじく、「すでに半年近い納車待ち」という状態になっているもよう。作ってもブツが追いつかず納期が大幅に遅れたクラウンハイブリッドと同じ状況になる可能性は大きい。事前の受注の70%をハイブリッドが占めているという情報もある。
いまだにハイブリッドの注目度の高さに驚かされるが、当面はハイブリッド比率がかなり高いまま推移すると予想できる。だからすぐに乗りたいなら早めに手を打つ必要あり!
■新型ISの進化のポイント
・ハイブリッドの設定……旧型ISにはハイブリッドが設定されていなかったためシリーズ初。クラウンでデビューした2.5L+モーターのTHSIIによりクラストップの23.2km/L(JC08モード)。
・走りの官能性の追求……スポット溶接増しによるボディ剛性アップ、IS350には8速SPDSを採用、Fスポーツには専用チューニングサスの採用、IS350Fスポーツにはレクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム(LDh)を採用などなど。
・先進安全技術を駆使……詳細は後述。
・洗練されたデザイン……軽快かつダイナミックなフォルムを実現。
■新型ISの走りを検証
箱根ターンバイクを占有してのプロトタイプ試乗。
この日、ターンパイクはニュルブルクリンクのオールドコースと化していたね。大きな声では言えませんがボクも新型SIを試乗して限界まで攻めました。
まず質感。もうこれは月とスッポンぐらい上質になった。なんといっても新型GSやクラウンとの共有化による恩恵は大きい。ロードノイズや乗り心地の進化、現行モデルは特に高速域ではオーディオのボリュームを2倍以上にしなくてはならなかったけれども、新型は4気筒モデルのBMW3シリーズより静かになった? という感じ。
ただし、ハンドリングは操舵初期にノーズがスッキリと曲がる方向に動く感じがまだBMWなどの欧州勢のレベルではない。
どこかにステアリングやサスペンションの渋さが残っている。
ハイブリッドのIS300hが受注の大多数を占めているというが、これを喜んでいるとISはどんどんつまらないモデルになっていく。ライバルのBMWアクティブハイブリッド3はISとは比べモノにならないくらいにホットなモデルに仕上がっているんだ。しかも超高い! でもね、夢があるんです。IS300hにあるのはガソリン代と減税の夢?
レクサスはそういうユーザーをメインターゲットにしていてはいけない。そういうユーザーはクラウンに任せればいいんだ。
夢はお金で買える。それがプレミアムブランドの定義ではないか。まぁそんなことはさておいてIS300hのFスポーツのハンドリングのバランスは悪くない。クラウンHVに比べてブレーキのタッチが進化していて箱根ターンパイクのスポーツ走行でもコントロールしやすい。燃費系HVモデルをスポーティに走らせるとこのブレーキタッチにいつも不満を持つものだがコイツは及第点以上だった。
さて、V6モデルのIS250とIS350。エンジン音もスポーティでレスポンスもいい。BMWのようにターボエンジンがあってもいい。それはIS350のFスポーツに装備されるLDH。GSと同じくコイツのコーナリング性能には舌を巻く。よくここまで煮詰めたものだと感心する。
ただ、あまりにバランスがリア寄りになってしまいアジリティがスポイルされていることも事実だ。このバランスならエンジンをもっとハイパワーにしてもよく、だからターボと考えてしまう。
新型ISはリアセクションをGSから、フロントセクションをクラウンからというように共用しているのだが、LDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)装備のFスポーツに関してはフロントが負けているように感じる。
その点バージョンLのしなやかな身のこなしにボクは座布団を3枚!
サスベンションの動きがスムーズでハンドリングに肩の力が抜けていくのを感じた。この心が叫ぶ気持ちよさがFスポーツにも欲しい。肩肘張って汗するスポーツはIS Fであって、Fスポーツには“楽しい”、“嬉しい”がもっと盛り込まれてもいいと思うのだ。少なくともバージョンLにはしいがたくさん詰まっていた。
高いコーナリング性能、質感の向上。ISは大きく進化。それだけに、欧州モデルを蹴散らすような野望を持ってほしい。
(TEXT/松田秀士)
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