生誕50周年のカローラを見習え!!最近のクルマは大きすぎる。 三本和彦の提言

生誕50周年のカローラを見習え!!最近のクルマは大きすぎる。  三本和彦の提言

 モデルチェンジ毎にどんどん大きくなる昨今のクルマ。

 もはや全幅1.8m以上のクルマも当たり前になってきた。そんな情勢に三本さんがチクリとひと言。

 2016年11月に生誕50周年を迎える5ナンバーの雄、カローラを引き合いに、ニッポンのクルマの肥大化傾向に苦言を呈する。

 ベストカー2016年9月26日号
「三本和彦の金口木舌」


市町村道のほとんどが道幅3.8mなのに、クルマが大型化してもねぇ……

 カローラが今年11月に50周年を迎えるそうですね。

 初代カローラの誕生は、1966年11月5日、ボクが35歳の時です。あれから、もう半世紀も経つんですねえ。初代カローラを開発したのはパブリカを手がけた長谷川龍雄さんです。東京帝大航空学科、立川飛行機出身でエンジニアの神様のような存在でした。

 初代カローラは当初1000㏄車として企画されたのですが、これは販売の神様といわれたトヨタ自販社長・神谷正太郎の強い要請で、7カ月前に誕生した日産サニーより100㏄多い1100㏄に拡大されました。

 「プラス100㏄の余裕」という広告フレーズはあまりにも有名ですね。それだけじゃありません。クラス初のフロアシフト4速MTをはじめとして、日本製乗用車としては初のマクファーソンストラット式の前輪独立懸架などを装備しながら割安感が高いこともあって大ヒットしました。

 以来、海外での販売を含めて、今年2月時点の累計販売台数は約4300万台(バン含む。トヨタ調べ)に達しています。

 1969年〜2001年までの33年間、国内の車名別販売台数ランキング(軽自動車、海外ブランド車を除く)ではトップを維持し続けたのが凄いですね。

 2000年代以降、プリウスやアクア、フィットなどにトップの座を譲ったものの、2015年の販売台数は10万9027台で第4位。

 今日でもなお、トップ5圏内に入る人気です。

 かつてカローラと熾烈な販売争いを繰り広げたサニーは2004年に生産終了。最終型の全長×全幅×全高は4360×1695×1425㎜と5ナンバーを堅持した  
かつてカローラと熾烈な販売争いを繰り広げたサニーは2004年に生産終了。最終型の全長×全幅×全高は4360×1695×1425㎜と5ナンバーを堅持した  

 こうして振り返って見ると、歴史のあるクルマが少なくなりましたね。サニーは2004年になくなりましたし、シビックも2010年に国内での販売は終了しています(※注:2018年までに国内での販売を再開すると発表されています)。

 すばらしいと思うのはカローラが5ナンバーを守り続けているということです。85歳の爺の戯言かもしれませんが、大きくなりすぎたクルマはサイズダウンを考えたほうがいいですよ。

 なぜかというと、日本の道路は1950年に施行された建築基準法によって幅員が最低4mと定められてはいますが、市町村道の約84%が平均3.8m幅。正直往来はきつい。今こそ、エンジンだけじゃなく、サイズもダウンしませんか?

 三本和彦

 1931年生まれ、東京都出身。東京写真大学(現在の東京工芸大学)写真技術科を卒業後、1956年より東京新聞に入社。

 その後フリーのモータージャーナリストに転身し、ベストカーを始めとするさまざまな自動車雑誌に寄稿、TV番組の司会なども務めた。現在はベストカーで月に1度「金口木舌」の連載を執筆している。

 ★【金口木舌(きんこうぼくぜつ)】とは…古代中国で官吏が法律などを民衆に示す際に木鐸(ぼくたく。口が金属、舌が木製の鈴)を鳴らしたことから、優れた言論で社会の教えを導く人の例えという意味

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