プリウス、GT-R、レヴォーグは国内で人気なのになぜ海外では販売苦戦?

レヴォーグ不振、英国ではテンロクターボが高価?

 北米での販売絶好調が続いているスバル。これはフォレスターをはじめ、XV、そしてレガシィアウトバックといったクロスオーバーモデルが販売を牽引しているためだ。

 今年3月期にはグローバルで95万7900台を販売し、あとひと押しで100万台突破というラインまで来ている。

 しかし、そのスバルが苦戦しているのが欧州市場だ。5年前の2011年3月期に2万8100台だったのが、今年3月期には4万1800台にまで伸ばしているものの、スバルの世界販売台数に占める割合としてはわずか5%弱に過ぎない。

 なかでも2014年6月に国内販売が始まったレヴォーグは、欧州市場での苦戦が伝えられている。レヴォーグは、スバルのラインアップからなくなったレガシィツーリングワゴンの後継モデルとして、当初は国内専用車として投入された。

 ところがその後、ステーションワゴンの需要がある欧州にも投入された経緯がある。昨年3月のジュネーブショーでレヴォーグの欧州仕様が公開され、同年9月からスバルUKが英国で販売が開始されているのだ。

 英国で販売されているのは1.6Lターボ車のみ。日本では、ベーシックな1.6GTアイサイトが277万5600円、上級グレードの1.6GTSアイサイトが305万6400円なのに対し、英国での「LEVORG 1.6 DIT GT」には2万7495ポンドのプライスタグが付けられている。

 これは日本円で約348万4300円(1ポンド=約126円、10月現在)となり、明らかに割高なのだ。

 これについて、販売事情に詳しい自動車評論家の渡辺陽一郎氏は次のように指摘する。

 「北米と違い、欧州はなかなか日本メーカーが切り崩せない市場で、レヴォーグにしても2万7495ポンドという価格には10%ほどの関税が乗せられているはずです。

 レヴォーグの英国での競合モデルですが、本来なら1万8000ポンドのVWゴルフエステートでしょうが、2万8000ポンドでアウディA4アバントがねらえます。正直、CセグメントのレヴォーグでDセグメントのドイツ御三家モデルを相手にするのは荷が重い部分もあると思います」

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昨年のジュネーブショーで出展された欧州仕様レヴォーグと村上晃彦専務執行役員。アイサイト用のカメラはなし

GT-R苦戦。『ワイルドスピード』のブームも今は昔

 今年7月のマイチェンで2017年モデルへと進化したGT-R。その効果もあって今年9月の販売台数では、対前年同月比254.8%の大幅増となる158台を販売している。

 昨年は1年間で653台だったのが、今年は9月までにすでに514台を販売し、昨年を超えてくる可能性が高まっている。

 いっぽうで日本の3倍近い新車市場を持つ北米だが、GT-Rの北米での新車販売台数はここ数年、1200~1400台前後で推移している。

 不振というほどではないかもしれないが、スポーツカー需要の高い北米での販売の伸びがイマイチなのはなぜなのか。

 北米市場に詳しい桃田健史氏は次のように分析する。

 「もともとGT-Rは、あの価格帯にしてはコストパフォーマンスの高いスーパースポーツとして北米でも受け入れられた。北米では一時、映画『ワイルドスピード』の影響で盛り上がったR33~34スカイラインGT-Rの並行輸入など“スポコンブーム”もとっくに終わり、今もなお熱狂的な、昔ながらのロータリーファンのような存在がR35GT-Rにはいない。

 つまり、R35のユーザーはファン歴が短く、すでに飽きて手放してしまっている人も多いのだ。かといって2000万円以上のNSXなど、その上のスーパーカーを購入する層にとってはアピール力がやや弱い。結果的に、それらより価格が安いことがGT-Rの存在を中途半端にしてしまっている」

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エンジンパワーを570psに向上し、フロントグリルなどエクステリアを大幅に変更したGT-R2017年モデル

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