三菱自動車、新型軽乗用車「eKスペース」のシルエットを公開!2025年度中の国内投入が決定

三菱自動車、新型軽乗用車「eKスペース」のシルエットを公開!2025年度中の国内投入が決定

 2025年5月8日、三菱自動車は2024年度通期決算を発表した。決算の数字だけでなくトランプ関税の影響やアメリカでの日産との工場共有など話題盛りだくさんの会見だったが、そのうえ今回は「新規商品投入と商品の刷新」を公開。今年度中に日本市場へ「新型軽乗用車」を投入すると明かされ、シルエットが公表された。マジか。マジです。シルエット画像とモデルサイクルから、「新型eKスペース」であることはほぼ確実となる。

文:ベストカーWeb編集部、画像:三菱自動車

【画像ギャラリー】三菱自動車決算資料を読むと「新型車」情報がてんこ盛りだった(36枚)画像ギャラリー

■グローバル販売台数増加と国内新型車投入を明言

 今年(2025年)2月に実施された三菱自動車の2024年度第3四半期決算会見で、加藤隆雄社長は2024年度後半を(主戦場のひとつであるタイ現地法人での早期希望退職者の手当や新型車投入との入れ替えのための在庫消化がひと段落つくことから)「利益の底」と表現した。

 今日発表された三菱自動車の2024年度決算はそうした内実を反映しており、営業利益は1388億円と減益(前期(2024年3月期)の1910億円からマイナス522億円)、営業利益率は6.8%→5.0%に低下。グローバル販売台数は増加(81.5万台→84.2万台)ながら、採算性の低い地域への構成比変化やコスト上昇が影を落とした形だ。

2023年度→2024年度の営業利益の推移内訳。販売費のマイナスがデカい
2023年度→2024年度の営業利益の推移内訳。販売費のマイナスがデカい

 減益の主要因は、主戦場のひとつであるASEAN市場での苦戦といえる。タイやインドネシアでの(市況の景気が回復しないことによる)販売の落ち込み、為替要因もあって収益性が悪化。ASEANでの販売台数は23.9万台から25万台と+5%伸びているものの、前述のとおり、為替や原材料高騰が収益を押し下げた。

地域別販売台数。北米市場が好調だったが、今後先行きが最も厳しい市場でもある
地域別販売台数。北米市場が好調だったが、今後先行きが最も厳しい市場でもある

 とはいえ、決算会見と配布資料をよく読むと、三菱が(厳しい状況であることは変わらないが)「復活と成長の過程」であることも分かる。

 まず国内市場では軽自動車デリカミニが引き続き好調をキープ。ユニークなデザインと走破性の高さで人気を集め、三菱の存在感を久々に街中に取り戻したと言っていい。登録台数も堅調で、同社にとっては「商品でブランドを語る」原点回帰の一例だ。

 また、2024年度からエクスフォースHEV、エクスパンダーHEV、新型トライトンなど地域適合型の新型モデルが続々と投入され、今後ASEAN各国で販売台数を広げてゆく見込み。

 また、アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVといった三菱の強みであるプラグインハイブリッドは、今後の規制強化・インフラ整備の進展とともに日本・欧州市場での再浮上が期待される。

 さらに表題のとおり、今回の決算で最も注目すべきは、三菱自動車としては初めて、今年度(2025年度)新型軽自動車の国内投入が明言されたこと。シルエットからスーパーハイトワゴンであることは明らかで、モデルサイクルを考えると(現行型が2020年2月に発表された)eKスペースの次期型であるのは確実といえる。

「次世代軽乗用車 国内投入」と明言。決算発表会でここまではっきり新型車の投入を明言するとは……
「次世代軽乗用車 国内投入」と明言。決算発表会でここまではっきり新型車の投入を明言するとは……

 ホンダN-BOX、スズキスペーシア、ダイハツタントと、超強力ライバルがひしめく軽スーパーハイトワゴン市場で、(兄弟車である日産ルークスとともに)一足早く新型へと切り替わることになるわけで、ヒットを続けるデリカミニと合わせて販売を伸ばして大きく伸ばしてゆく見込み。

 両側スライドドアと広大な室内スペースがウリで、これが次期軽BEV(つまり次期eKクロスEV)や次期オフロード型軽ワゴン(つまり次期デリカミニ)のベースとなるだろう。めっちゃわくわくする。

 三菱自動車の今年度(2025年度)の業績見通しは、営業利益1000億円(前期比マイナス388億円)と慎重な見通し。これは、為替・原材料高・ASEANの不透明感、そしてなにより北米市場の(いわゆるトランプ)関税など、リスクを織り込んだ上での数字(関税影響を400億円の利益減と想定)。

 加藤社長は「あくまで現状の不透明さを踏まえた仮置きの数字。四半期ごとに見直してゆく」と明言しつつ、そのいっぽうで地域ごとの現地生産の重要性にも言及。アメリカ現地生産組み立て工場を持たない三菱自動車は、北米市場での販売見通しを18.6万台から15.3万台と減少見通しとしつつ、日産の米国工場へ日産とともに投資し、北米向けSUVを共同生産する検討に入ったことを明言した(ムラーノ? パスファインダー?? どっちにしても「モンテロ」の車名で販売したらめっちゃ売れそう)。

 実現すれば、日産にとっても三菱にとっても米国市場にとってもトリプルWINの計画だ。

 三菱はこの5月7日、日産次期リーフのOEM供給を受け、新型車として2026年後半に北米市場へ投入する計画を発表した。グループ内の資産をうまく組み合わせて、同じく厳しい状況にある日産と補い合い関係を深めてゆくわけだ。

 株主還元面では、配当金を15円→10円に減配する。一見マイナスだが、これは事業再構築と電動化投資に資金を集中させるための判断であり、中長期の企業体力を重視した姿勢と受け止めたい。

 総じて今回の三菱の決算は、「守りの減益」でありながらも「攻めの布石」が随所に感じられる内容だった。日米の自動車産業にとって厳しいニュースが続くなか、「商品で語るブランド」「三菱らしさ=積極的な新型車攻勢、走破性と独自性の両立」を取り戻す兆しを感じる決算発表だった。

PR:かんたん5分! 自動車保険を今すぐ見積もり ≫

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

JMS2025に出なかった大物たちの行方は?最新の注目車対決10番勝負『ベストカー12.26号発売!』

JMS2025に出なかった大物たちの行方は?最新の注目車対決10番勝負『ベストカー12.26号発売!』

ベストカー12.26号 価格590円 (税込み)  あの「ジャパンモビリティショー2025…