骨太の提言――モビリティ社会を見据えた税制デザインを
今国会で議論されている「暫定税率を撤廃するか、しないか」というテーマはもちろん重要なのだけれども、そもそもの話として「じゃあ日本社会全体のなかで、自動車産業をどう位置づけるんですか」というテーマがおざなりにならないか、という点が一番心配だ。
ざっくり言うと、暫定税率の議論はあくまで抜本的な議論の前哨戦であり、燃料高騰で物流が逼迫して経済にブレーキがかかって困っている人がたくさんいるのだから機動的に上げ下げすればいいし(「暫定」なのだし、トリガー条項があるのだから)、根本的な自動車税制はそれと並行してしっかりと「モビリティ社会全体の将来」を踏まえてデザインしてくださいね、頼みますよ、ということ。
言うまでもなく、自動車は日本社会の大動脈を流れる“血液”であり、日本経済を回している立役者といえる。そのうえで自動車産業は世界市場で勝てる数少ない中核産業だ。その税制を、目先の補助金やパフォーマンス論で立ち止まらせるべきではない。
そもそも論でいうのであれば、現在の自動車関連諸税は、二重課税や古いクルマへの重課税など問題だらけといえる。燃料関係も、「地方行政が依存しているのだから下げられない」といいつつ、(省エネ化が進むことで)ガソリン・軽油にまつわる税収は減り続けている。この手当てをどうするのか、有効な回答は示されていないまま、抜本的な見直し時期のリミットが迫っているのが現状だ。
現在、政府内で検討されている自動車関係諸税・エネルギー関係諸税の新しい新税制パッケージ(2025年末に公表予定)は、今後のモビリティ社会をどう捉えていくかが反映されるはず。内需を回し、国際的競争力を維持し、次世代モビリティ社会を見据え、国民の生活を豊かにする税制としていただきたい。
かなりハードルが高いとは思うが、モビリティの燃料は「日本経済を回す燃料」でもある、ということを忘れず設計されることを願っております。
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