2025年7月27日、トヨタ自動車東日本・岩手工場にて、全国のカローラオーナー約50組を招待したファンイベント「COROLLA OFF-LINE MEETING 2025」が開催された。同イベントで登壇した岩手県の達増拓也知事のスピーチが、トヨタと岩手の関係を示すとてもいいスピーチだったので、ここで全文を紹介します。
文:ベストカーWeb編集部、岩手県、写真:トヨタ自動車
【画像ギャラリー】カローラファンミーティングと岩手工場(11枚)画像ギャラリーアクアは東日本大震災からの「復興の星」だった
東日本大震災の4か月後、2011年7月に、トヨタは「東北を中部・九州に次ぐ第3の国内生産拠点」と位置づけ、東日本エリアでクルマづくりをしていた関東自動車工業・セントラル自動車・トヨタ自動車東北の3社の統合を発表。「東北を基盤に世界No.1の魅力あるコンパクトカーをつくること」を使命に2012年7月にトヨタ自動車東日本が発足した。
自動車生産工場は大量の雇用を生み、経済を回し、社会の礎となる。トヨタとトヨタ自動車東日本は、クルマを作り続けることで被災地を支援してきた。
そんなトヨタ自動車東日本の生産ラインナップに、今年5月からカローラクロスが加わる。これまで高岡工場(愛知県豊田市)で生産されていた、日本国内における「エース車種」とも言うべきカローラクロスが、東北で生産されることになるわけだ。
こうした経緯もふまえて、この「COROLLA OFF-LINE MEETING 2025」にて、岩手県の達増知事は以下のようにスピーチした。
(スピーチここから)
皆さんこんにちは。全国のカローラファンの皆さん、関係者の皆さん、ようこそ岩手にお越しくださいました。COROLLA OFF-LINE MEETING 2025に参加される皆さんを、心から歓迎いたします。
本日の会場であるトヨタ自動車東日本・岩手工場は、平成5年(1993年)に前身の関東自動車工業・岩手工場として操業を開始して以来、岩手県の自動車関連産業の中核を担ってきました。
東日本大震災、あの津波からの復興に際し、国内外の多くの皆さんからご支援をいただきました。
その中でも、トヨタグループを挙げてのご支援、「復興の星」アクアをはじめ、魅力あふれるコンパクトカーの生産など、まさに一過性ではないご支援、これをいただきまして、岩手に希望の光を灯し続けてくださったのが、このトヨタ自動車東日本・岩手工場であります。
改めて感謝申し上げます。
岩手工場ではこれまで、アクアやヤリスシリーズ、レクサス LBXを生産し、今年(2025年)5月からはカローラクロスの生産が開始されました。
トヨタが世界に誇るカローラシリーズが、再び岩手で生産されることを大変うれしく思います。
岩手県は広大な県であり、雄大な自然があると言われておりますが、岩手工場でクルマの生産に使われるエネルギーには、岩手県企業局が運営する水力発電所などのグリーン電力も活用されています。地産地消のエネルギーや、社員の皆さんの高い技術力、岩手の魅力と創造力を結集した「メイド・イン岩手」の力が、カローラクロスというかたちでまた一つ増えたと感じています。
岩手県では、トヨタ自動車東日本や県内トヨタ販売店をはじめとする関係者の皆さまとともに、トヨタが主催するラリー競技、「ラリーチャレンジ」のプレ大会を来年2月に県内で初開催する準備を進めています。
昨年4月、岩手工場でのLBXお披露目式に参加された豊田章男会長が、岩手出身ドライバー・佐々木雅弘さんと一緒にLBXで岩手の道をドライブされ、「岩手には走りたくなる素晴らしい景色がある」と高く評価してくださったことが契機となりました。
岩手でのラリー開催が実現し、多くのドライバーやファンの皆さまが岩手を訪れ、クルマファンがさらに増えることを期待します。
本日参加された皆さんの中には、初めて岩手の道を走られる方も多いと思います。岩手県には3つの世界遺産、2つの国立公園、そしてジオパークなど雄大な自然と歴史があります。さらに、メジャーリーガー・大谷翔平選手が生まれ育った地でもあります。
皆さんの愛車で岩手の道を走り、魅力や景色に触れて、そのよさをご家族やご友人にもぜひ広めていただきたいと思います。
結びに、トヨタ自動車東日本のますますのご発展、そしてお集まりいただいたカローラファンの皆さんがミーティングを存分に楽しんでいただくことを祈念し、挨拶といたします。本日は本当にありがとうございます。
(スピーチここまで)
自動車産業が地域経済に与える影響の大きさが、よくわかるスピーチだった。
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トヨタ自動車はこの8月7日、愛知県豊田市(貞宝町周辺)に車両工場を新設するための土地の取得を決定したと発表。この明日をも知れぬモビリティ界激動の時代に、新たに国内工場新設である。英断といえよう。この新工場は2030年代初頭の稼働を目指しており、生産車両については今後検討していくとのこと。
国内生産300万台体制を守りぬくため、トヨタは着々と手を打っている。今回のイベントのような、地域に根差し、社会に還元する活動もそのひとつと言えるだろう。
今回のイベントでは、歴代カローラ展示や今年5月発表の新型カローラクロス(一部改良モデル)試乗、GRカローラの同乗走行なども実施。多くのファンが、エンジニアを含むカローラ関係者との交流を楽しんだ。
初代カローラは1966年発表。日本を代表するモデルとして、日本経済の屋台骨を支え続けて、来年60周年を迎える。














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