いちばん効くのは「税制」と「マルチパスウェイ」の現実解
今回の自工会会長交代劇、穿った見方をすれば「いまの日本のモビリティ社会を引っ張るにはトヨタが自工会会長職を引き受けるしかないだろう(≒日産やホンダでは難しいだろう)」ということと、「競争と協調のうち、協調領域を広げ、自工会はチームで支える、という体制を実践した片山会長の功績は案外大きい」ということ。
正直いってこれまであまり存在感のなかった日本自動車工業会という組織を、豊田章男前会長が叩いて引っ張ってかき回して進めて引き上げて、「日本の自動車メーカーがチームになって課題に取り組む」という組織に大改造した。それを、自工会初の商用車メーカー出身者である片山会長が引き継いで「チーム戦」の地歩を固め、再び若いトヨタ佐藤社長へ引き継いだわけだ。
ちなみに佐藤恒治社長は現在56歳。これは2012年に豊田章男会長が初めて日本自動車工業会の会長職に就任した時と同年齢となる。因果ですなあ……。
「新7つの課題」の解決は難しく見えても、最終的に効いてくるのはシンプルだ。買うときの負担(税制)、選べるパワートレーンの現実解(マルチパスウェイ)、そして部品・資源制約下でもクルマを作り続ける体制(安保・サプライチェーン)をしっかり前へ進める。ここが揺らげば日本の自動車産業そのものの危機に直結する。
佐藤新会長体制の自工会が、これらを「業界内の総論」から「社会実装」へ押し出せるか。自工会が掲げた「協調領域の拡大」が、メーカー間の壁を越えた実行に至るか。2026年以降、日本のクルマの競争力だけでなく、私たちがクルマを楽しめる土台そのものを左右する局面に入った。
コメント
コメントの使い方