SKYACTIVの登場ですっかりイメージの変わったマツダ。
元々ロータリーエンジンなど独自技術の採用でファンが多かったが、最近ではそのデザイン、そして「人馬一体」へのこだわりで多くの新規ユーザーを獲得している。
そんなマツダが自動車誌の編集者を集め、マツダを体感する2日間のツアーを開催。「マツダイズム」の継承者になれるか、ベストカーWEBが参加した。
文:ベストカーWEB編集部/写真:マツダ
広島の地で学ぶマツダの「イロハ」
2016年にマツダは国内向けの生産台数が2位を記録した。いままでマツダというと少しクルマにこだわりがある層が選ぶクルマだったが、そのイメージが薄れ現在では「SKYACTIV」のマツダになったと言っても過言ではない。
そんなマツダの本社がある広島に到着。本社に入りゲートを抜けると、ここからはいっさいの撮影は禁止。
そこら中に擬装を施したテストカーや、見慣れぬ部品を付けたクルマたちが走っている。車窓からあれこれ妄想を繰り広げているとある建物に到着。趣のあるその建物の会議室で講座が開かれた。
マツダの歴史の解説が始まった。2020年で100周年を迎えるマツダだが、はじまりは東洋コルク工業というコルク製造の会社だった。
そのコルク工場が全焼し自動車会社としての道が始まったこと、広島への原爆投下、戦後の復興、ロータリーエンジンの開発、リーマンショックで多くの仲間を失ったこと……。ドラマになりそうなその歴史の重みに感銘を受ける。
続いては工場見学。マツダの国内生産拠点は本社工場と防府工場がメインだが、今回は本社工場を見学。
国内向けのラインアップはもちろん、海外向けのCX-9、そしてフィアット124スパイダーなどの車種もラインを流れる。そんな生産ユニットでの工夫もすごいので紹介しよう。
「お客様の利益にならない無駄は省く」という考えから、生産ラインでは徹底的に無駄を排除している。たとえばビスを2本取る工程。
そこで大きな箱の中から2本だけビスを取るのは無駄と考え、電動ドライバーを台に置くとテコの原理でマグネットが2本だけビスを拾う(写真参照)。
電気も使っていない設備だが、すべてラインの担当者のアイデアだというから驚きだ。このような改善活動は複数にもおよび、自動搬送ロボットなどもプログラミングを社内で行うなど徹底した経費削減と、効率化が行われている。
2日目は伝説の地、美祢で学ぶ”人馬一体”
2日目は山口県の美祢(みね)試験場へ。この美祢試験場はかつてはMINEサーキットとしてレースが行われていた地。
2006年に閉園後はマツダの試験場として第二の人生を歩み始めている。この美祢試験場では人馬一体を叩き込まれるという。ワクワクだ。
まずは座学。「人馬一体とは何だ?」をテーマに講義が行われた。勘違いしている人も多いと思うが、実は「人馬一体」はスポーツカーだけのコンセプトではない。
元を正せばNAロードスターの開発時に登場したキーワードだったが、現在ではマツダの全ラインアップを対象にその思想が反映されている。では「人馬一体」とはなにか?
それは「意のままに動くこと」だという。軽快感は当然として、安心・安全につながるコンセプトなのだ。自分の手足のようにクルマを動かす、それこそが安全。
そのようなクルマだからこそ乗っていて運転の上達も意識できるという。みっちり45分の講義を受けていよいよ試乗!! と思いきや今度はドラポジを学ぶという。
「人馬一体」を感じる最初の通過儀礼でもあるようだ。マツダ開発部のエンジニアによるドラポジの合わせ方を紹介しよう。
1.シートをめいっぱい後ろに下げて、シートの高さも下げる
2.ステアリングは一番低く、一番手前に
3.フットレストに左足、ブレーキペダルに右足を置き、すねの筋肉が痛みを感じない程度に前へ
4.背もたれはお腹が苦しく感じない程度に立てる
5.ステアリングはメーターが見える範囲で下に、そして手首がステアリングの最高部にのるように手前に
そうすると額縁の中の絵のように見えるとのことだが、担当の身長(188cm)が高すぎて完全な”人馬一体ドラポジ”は取れず(下写真)。
それでも身長を考慮すればBピラーの前に頭があるなど、かなり適切なポジションを取ることができた。次はいよいよ試乗だ!!
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