ハイブリッド車に力を割いているため……
TEXT/石川真禧照
これはスキではありませんが、まずトヨタの販売台数が多いということの理由に関してです。これは単純に考えてディーラーやセールスマンの数が多いからといえます。
レクサスも含めて、5チャンネルもあり、日本全国どこに行っても、トヨタのディーラーがある。セールスマンが親戚に1台売っただけでも、そのほかのメーカーと比べて圧倒的に売れてしまう。販売力があるので、クルマのいい悪いだけではない部分ですね。
スキいついては、これがなかなか難しい。最近のトヨタ、もっといえば豊田章男社長は、大企業病と言われた過去の悪い部分を、カンパニー制をとるなどして潰し、克服しています。このことも含めて、どんどんトヨタの弱点がなくなってきているんです。
以前は、社長が試乗するテストコースに合わせてクルマを作っていたせいで、サーキット試乗会ではよかったのに、公道試乗の時には乗り心地が悪くて閉口したこともありました。ただそれも最近ニュルやラリーといった道の悪い環境でのデータが豊富になったためか改善してきています。
たくさんあった弱点に対して、的確に手当をしているように感じる。ということで、なかなかスキを見つけるのは難しいですね。
現状で課題があるとすれば、ハイブリッド車の開発に力を割いていたため、EVなどの電動化技術が後れをとっていることでしょうか。ヨーロッパメーカーがこの分野では先行しています。
アンダークラスの質感と安全装備の標準化
TEXT/片岡英明
スキというか、弱い点はありますね。まずコンパクトカーはバリエーションは多いけれど、アクア、シエンタ以外はそれほど勢いがない。
ランキングでは上位のアクア、先日ハイブリッドを投入したヴィッツがモデル末期で息切れ気味。ヴィッツのハイブリッドは、爆発的に売れるほどの力はないでしょう。どのクルマも、トヨタの販売力で保っている状態です。
コンパクトカーは、次期型にはTNGAを投入すると思いますが、根本的な底上げが必要になっていますね。
ヨーロッパの同じクラスは、プジョー、VW、ルノーなど面白い(楽しい)クルマが多い。トヨタのハイブリッドは燃費はいいけれど、実用性ばかりを追い求めていて、感性に訴えかけるような走る面白さがない。内装は樹脂打ちっ放しで質感が低く、正直レンタカーのイメージが抜けません。
下のクラスは革も痛みやすい、シートなどは手触りが悪いなど課題も多い。しかし、このクラスをよくしていかないと、ヨーロッパ車にユーザーを持っていかれてしまうでしょう。一度ヨーロッパ車に流れたユーザーは、なかなか戻ってこない。この層のユーザーを離さないための策を打たなければいけません。
上のクラスの上質感についはヨーロッパ車と肩を並べるくらいまでやっと来たかなと思う。しかし、オーリスはライバルをVW ゴルフと設定しているものの、その実力は及ばないなどまだ課題が残っています。
あと最近ニーズが高まっている先進安全装備もオプションではなく、全車標準装備にしなければいけませんね。スバルがインプレッサでアイサイトと歩行者エアバッグを全車標準装備にしてきたが、本当ならば業界トップのトヨタが最初にやるべきこと。そういった動きが遅い。
最近は商売優先で、RAV4やIQ、カリーナEDなどのような、スキマを狙った面白いクルマがない。量を生むのも大切だけど、質を上げていくことも重要です。日本市場はこれからそんなに販売台数は伸びないので、次の一手を打たないと飽きられてしまうでしょう。
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