なぜフェラーリは王者より多い200億円? F1マネーの真相【前編】

 「分配金最高額は、チャンピオンではないフェラーリの約200億円!?」

 長年詳細が明かされなかったF1の分配金が公表され話題を呼んでいる。フェラーリがなぜチャンピオンより多い分配金を得ているのか? F1マネーの真相を暴く。

 文:段純恵/写真:Ferrari、Daimler


2017全チームのF1分配金 トップと最下位で10倍の格差

 英モータースポーツ専門誌『オートスポーツ』の電子版が、今季F1のチーム分配金の詳細を掲載している。昨年に続くF1の“アンタッチャブル”、分配金の暴露話だ。

 それによると2017年最も多額の分配金を支払われるのは、2016年コンストラクターズ3位のフェラーリで金額は1億8000万米ドル(約201億円)とある。

 レースで圧勝した王者メルセデスは、1億7100万ドル(約191億円)でフェラーリより900万ドル少なく、昨季デビューし最下位を争ったハースに至っては1900万ドル(約21億円)とフェラーリの約10分の1止まり。

 他にも有力チーム優遇の詳細がレポートされており、「F1の不平等、不公平性が浮き彫りになった」という声が少なくない。

公表データをもとに日本円の分配金を算出(レートは1ドル111円換算)

分配金が「門外不出」だった理由

 そもそも『F1分配金』とはなんぞや? というと、興行を仕切る元締めが、興行を支える手下たちの働きに応じて支払う「ご苦労さん料」となろうか。

 タネ銭となっているのは、テレビ放映権料や各国グランプリのプロモーターから得た開催権料で、過去には新規参加を希望するチームからの参戦権料なども含まれていた。

 分配に関する取り決めは、F1の競技として主催するFIA(国際自動車連盟)、テレビ放映やプロモーション等のカネが絡む部門を統括するFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)、そして参戦全チームの三者合意に基づく『コンコルド協定』に明記されている。

 コンコルド協定は一定期間ごとに見直しが図られ(現在のものは2020年まで有効)、その内容は門外不出。

 情報が外部に漏れた場合、漏洩源が分かるような秘密の細工がされているというアヤしさ全開のF1のブラックボックス的合意書だ。

 しかし、ここ数年で堅牢な城壁にも穴が空き、今回のように情報がダダ漏れとなったいま、その機密性は形骸化したといえよう。

「フェラーリに200億」は正当なのか

 さて、フェラーリに最高額が支払われる計算根拠だが、ひと言でいうと「長年にわたるF1への貢献」である。

 近代F1の初レース、1950年イギリスGPから参戦し続ける唯一のコンストラクターとして、その不在を誰も想像できず、

 またファンの目を引きつけ熱狂を呼び覚ます無二の存在であることを考えれば、フェラーリへの群を抜いた分配もむべなるかな、とは思う。

 だが、フェラーリ以外にもメルセデス、レッドブル、マクラーレンの4チームに、CCB(=コンストラクターズボーナス)や特別契約金(FIAからの委託テスト代)などがランキングに関係なくトッピングされ、

 もともと資金的余裕のある有力チームに多額の金が流れ込むシステムが、1981年のコンコルド協定誕生以来、基本的に何の変更もなく30年以上も続いていることについては唖然とする他ない。

フェラーリだけでなく、メルセデスなども成績意外に“特別金”が上乗せされ、分配金が決められているのだ

 その底には有力チームの、「自分たちの既得権を手放したくない」、「だけど下位チームがいなければイベントは成立しない」というアンビバレントな考えが潜んでいる。

 時代劇で悪代官が「百姓は生かさず殺さず」と意地悪く笑うセリフの、「百姓」を「下位チーム」に置き換えれば妙にツボにはまる現行のシステムがこの先も継続されれば、早晩チーム数はさらに減少し、

 F1に待っているのは破綻の運命……と誰もが考えた2016年、F1の支配権は前CEOのバーニー・エクレストン氏からF1株を買収した米メディア関連企業、リバティメディアの手に渡った。

長年F1界を仕切ったバーニー・エクレストン氏(左)。同氏の退任でF1マネーに関する動きにも変化が見られる?

 【後編に続く】

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