地味でも「いい車」5選 あまり注目されてなくてもいい国産車はたくさんある!!

当サイトでたびたびお届けしている「売れてない車」特集。毎回大きな反響をいただいておりますが、今回お届けしたいのは「売れてないわけじゃないけど地味な車」。売れてないなら注目されないのも仕方ないのですが、それなりに売れててもあまり注目されないって……ある意味切ない話ではありませんか。自動車専門誌で華々しく取り上げられたり、車好きの話題にのぼることは少ないかもしれませんが、それでもいい車はいい車。当サイトはそんな日陰の花のような車を応援していきます!

文:渡辺陽一郎


■トヨタ プレミオ 2017年7月月販台数1071台

「地味でもいいクルマ」の代表はプレミオだ。今のセダンは海外向けに開発されるが、プレミオは日本のユーザーが使うことを考えて造られた。そのためにボディは5ナンバーサイズに収まる。外観は水平基調だから視界が良く、最小回転半径は5.3mに収めた。混雑した街中や狭い駐車場でも運転がしやすい。

その一方で車内は広い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2700mmと長く、全高も1475mmでセダンでは少し高いから、前後席ともに頭上と足元の空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ半に達する。クラウンロイヤルサルーンと同等の余裕だ。

しかも後席にはセダンでありながら7段階のリクライニング機能が備わり、リラックスして座れる。後席の背もたれを前側に倒せばトランクスペースと連結され、荷室面積をワゴンのように拡大できる。

まさに日本のユーザーに向けたトヨタの「愛」が感じられる逸品だ。このコンセプトを忠実に守り、フルモデルチェンジを行って走行安定性や乗り心地を向上させて欲しい。プレミオを進化させてこそ、日本のトヨタだと思う。

■トヨタ ポルテ 2017年7月月販台数651台

5ナンバーサイズに収まるコンパクトカーのポルテは、地味というか、外観を見る限り魅力が分かりにくい。右側には前後に2枚の横開きドアが備わるが、左側は1枚のスライド式だ。ボディは左右非対称で、左側には後席用のドアがないから乗降性が悪そうに見える。

全長は3995mmに収まり、全高は1690mmに達するから背の高いミニバンのボディを切り詰めた感じだが、エアロ仕様も用意されず目立たない。

ところが実用性は高い。スライドドアの開口幅は1020mmだから、助手席の乗員は乗り降りがしやすい。スライドドア部分の床面地上高は300mmと低く、この数値は「段差が300mm以下なら高齢者が無理をせずに足を持ち上げられる」という調査結果に基づく。助手席を後方に寄せると、スライドドアから体を捩らずに車内に入り、ラクな姿勢で座れる。クルマそのものが福祉車両の性格を併せ持つわけだ。

シートアレンジもユニークで、後席の座面を持ち上げて助手席を前方にスライドさせると、車内の中央が広い空間になる。この部分に床面地上高の低いスライドドアから、自転車などを積み込める(ただし確実に固定する必要がある)。さまざまな使い方の可能な実力派のコンパクトカーだ。

■日産 ティアナ 2017年7月月販台数301台

日本で3ナンバー車を好調に売るには、カテゴリーを問わず外観を相応に目立たせることが大切だ。価格の高いファーストカーだから、ユーザーが見栄えの良さを求めるのは当然だろう。特に今の日本のセダンの価値観は、3ナンバー車については「豪華かスポーティ」に絞られ、いずれにしろ個性が必要だ。

ところがティアナはこの流れに逆行する。全長が4880mm、全幅が1830mmのLサイズのセダンだが、外観は地味でミドルサイズのシルフィに似ている。エンジンは直列4気筒の2.5Lのみで、ハイブリッドは用意されない。すべてが地味だ。

それなのに運転するとリラックスできて心地好い。動力性能は外観と同様に平凡で、登坂路では4気筒エンジンのノイズが少し聞こえる。操舵感も反応の仕方が大人しいが、車両全体の動きが緩く調和していて16インチタイヤ装着車は乗り心地を含めて快適だ。

車内の広さはセダンの中でも最大級に属し、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ3つ弱だ。XL以上のグレードでは、助手席に電動式オットマンが備わり、ふくらはぎを優しく支える。

北米市場向けに開発されたセダンとあって、時速100km程度で長距離を淡々と移動する用途に適する。こういうクルマにこそ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、車線の中央を走れるようにハンドル操作を支援する機能が必要だろう。私のような「Lサイズセダンは豪華かスポーティ」という価値観に固まったドライバーが運転すると、新しい発見がある。

■日産 マーチ 2017年7月月販台数1133台

マーチは日産を代表するコンパクトカーだ。初代モデルは1982年に発売され、2代目はトヨタスターレット(ヴィッツの前身)とコンパクトカーの販売首位を争う人気車となった。

それなのに現行型は地味で、売れ行きも伸び悩む。丸みのある外観はフロントマスクを含めて美しいとはいえず、先代型と比べても造形的な魅力を下げた。緊急自動ブレーキは装着されず、何とも可衰想な状況だ。

しかし街中での取りまわし性は優れている。全長は3825mm、全幅は1665mmとコンパクトで、最小回転半径は4.5mだから小回りが利く。

サイドウインドーの下端を低めに抑えた水平基調のボディは、前後左右ともに視界が良い。しかもコンパクトカーでは珍しく、少し盛り上がったフェンダーとボンネットが視野に入るため、車幅やボディ先端の位置も分かりやすい。狭い道の走りやすさ、縦列駐車や車庫入れのしやすさは抜群だ。今の日本車が忘れかけている優れた取りまわし性が、マーチの中には生き残っている。

■ホンダ アコード 2017年7月月販台数257台

現行アコードはLサイズセダンではかなり地味だ。売れ行きも伸び悩むが、中身は革新的といえるだろう。

最も注目されるのはハイブリッド専用車であることだ。しかもアコードのシステムでは、2Lエンジンが基本的に発電機の作動に専念して、そこから生み出された電気を使ってモーターを駆動する。ノートe-POWERのようなシリーズタイプのハイブリッドで、エンジンがホイールを直接駆動するのは、その方が効率の優れた巡航時に限られる。

モーターはエンジンに比べて瞬発力が強く、アコードに搭載されるタイプは相応に強力だから、動力性能は自然吸気のガソリンエンジンでいえば3L並みだ。力強く滑らかに加速する。

エンジンが効率の良い回転域で回るため、速度とエンジン回転の増減が時々噛み合わなくなるが、ノイズ自体は小さいから違和感が生じにくい。乗り心地を含めて快適だ。

しかも17インチタイヤを装着したLXのJC08モード燃費は31.6km/Lに達する。ハイブリッド車の中でも特に優れた数値になった。

ライバル車の新型カムリXは33.4km/Lだが、シートの電動機能などが備わらず、アルミホイールのサイズは16インチになる。17インチを履いた売れ筋のGは28.4km/lだから、アコードの燃費数値は新型カムリよりも少し優れている。Lサイズのセダンとあって、乗り心地や後席の居住性も快適だ。

ホンダはシビックを復活させる前に、アコードをもう少し本気で売るべきだった。今のままでは、アコード/レジェンド/シビックは、ホンダの伝統を受け継ぐ大切なクルマなのに、地味で売れないトリオになってしまう。

☆     ☆    ☆

本企画は車種セレクトから渡辺陽一郎氏にお願いしたが、「そこそこ売れている」と言いつつも、調べてみたら「え、この車がいまはこんなに売れてないの!?」と驚くような車種と販売台数の組み合わせもあった。

注目されないと売れなくなるし、売れないとさらに注目されなくなる。それはヒット車があればそうでない車があるように、自動車販売市場の光と影のようなものではあるのでしょうが、少し寂しい話でもあります。

せめてこういう車を当サイトは、積極的に話題にしていきたいと思います!

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