ドローンも出動!? 高速道路の防災訓練 その知られざる中身が凄い!!

 

高速道路でも防災訓練がおこなわれていることをご存じだろうか。大地震が発生すれば、道路の一部が損傷を受け、車が立ち往生する。そんな“もしもの時”を想定する首都高速道路の防災訓練では、どんなことが行われている?

文/写真:ベストカーWeb編集部

 

 


 

年に1度の防災訓練 想定は最大震度7の都市直下型地震

気温30℃を越える真夏日の8月末某日。筆者が訪れたのは、羽田空港に程近い、首都高中央環状線(通称・山手トンネル)の真上にある広大な空き地だ。ここで首都高が社員向けにおこなっている防災訓練が我々報道陣にも特別に公開されるという。

今回行われた2017年度訓練は、マグニチュード7.3、最大震度は6強で、一部震度7の都心南部直下地震を想定。言うまでもなく、「そういう大地震が発生して道路が壊れた時、首都高ではこういう方法で対応します」というもので、首都高では年に1回、都心直下型の大地震を想定した防災訓練をおこなっている。

自転車も活用!? 狭い首都高で防災対策の鍵握るのは「人」

訓練の内容は主に以下の5つ。

■首都高 緊急対応訓練 5つのメニュー

1.路面損傷などの被害状況を“橋梁技術系社員”が確認
2.大型レッカー車による大型車の牽引
3.ゴージャッキを使った移動
4.レッカー車による段差乗り上げ車両の移動
5.路面段差や開きの修繕

これら訓練の光景を見ていて意外だったことがある。チャリンコと人が大活躍しているのだ。

「(東名など)他の高速道路だったら災害時に大きな車両を入れて作業できるでしょうが、ウチ(=首都高)は路肩もほとんどありませんからね。だから“人”が大事なんです」(首都高関係者)

路肩がほとんどなく、道路も片側2車線が基本の首都高では、複数の大型車両が、立ち往生する車をかきわけて“現場”まで到着することは難しい。そこで、“人力”をいかに活用するかが災害時の鍵となる。

“人力”というと、何となくローテクなイメージを連想するかもしれないが、然にあらず。訓練内容を細かく見ていくと、人の力を最大限活かすために、新しい技術がどんどん入れられていたのだ。

防災訓練では段差に乗り上げ車が立ち往生している現場まで人が自転車で向かう

防災に使われる“物”の進化。ポイントは『軽量化』

そのひとつが、『ゴージャッキ』と呼ばれる器具。かぎられたスペースでも、1基あたり700kgの持ち上げが可能なゴージャッキ2基で、乗り捨てられた普通車を移動できるのだ。

タイヤに装着されているのがゴージャッキ。このように人の踏力で車を持ち上げれば、3名程度で楽々車を動かせるようになる

さらに特筆すべきは、地震発生した段差を直す際に使う“ある物”について。下の写真をご覧いただきたい。いっけん普通の『土のう』に見えるが、その重さは1袋約5kg足らず。通常の土詰め土のう(約25kg)に対して1/5の重さを実現した『軽量土のう』なのだ。

従来は、土のうを敷き詰め、その上に1枚800kgもする敷鉄板を掛けて段差修復を行っていたが、敷鉄板の替わりに、発泡スチロールとFRPで作られた重さ30kgの“軽量スロープ”と“軽量渡し板”を導入し、そこにゴムマット(1枚約25kg)を載せる形を採用。

左上から時計回りに、軽量土のうを設置する作業員、軽量スロープ(EPSスロープ)の設置風景、軽量渡し板『F-Deck』の設置風景、そして段差修復箇所を走る大型トラック

「人の手で、より簡単に、より速く」。知られざる高速道路の防災対策は、ちょっぴり地味ながら確実に進化している。

導入間近!! ドローンを使って被害発生箇所を早期発見

そして、今回の防災訓練で初めてお披露目されたのが、ドローンによる被害状況の確認訓練だ。かぎられたスペースで、車も行き来できないとなれば、空からの状況確認は非常に効果的。

用いられるドローンは2種類。ひとつは道路啓開用で、カメラを搭載したドローンを上空に飛ばし、その映像で道路の被害状況などをいち速く確認できる。

もうひとつは、点検用。こちらは、人の手が届かない橋梁の狭い箇所などの点検に用いられる。写真のようにドローンの外側に枠を付けることで、撮影画像がブレず、常に一定の位置から損傷の有無などを確認できる。

点検用のドローン。このように外枠を取り付け、そこに車輪を設けることで、壁などでも一定距離から安定した作業が可能となる

実は、災害時や日常点検のドローン活用はまだ実用化されていない。写真を見てもわかるとおり、道路啓開用ドローンは、人が目視できる範囲内で、なおかつドローンとコントローラーを紐で結んだ形でデモが行われた。これは法律上の制限があるからだ。しかし、首都高はすでにその先の未来を見据えている。

「目視内飛行で、紐を付けたりという(かぎられた)使い方なら今でもできる。でも、将来目指すのは目視外、操作している人が見えない所で、ドローンが自律飛行して、その映像がリアルタイムで入ってくることです」(首都高関係者)

訓練現場上空を飛行するドローン。現在は目視内、紐付きでの飛行となるが将来的には自律飛行を目指す
ドローンが捉えた映像は、このように地上のモニターで確認可能

ドローンの飛行に関する規制緩和がおこなわれるのは、2020年東京五輪後のタイミングと検討されている。

「今はまだ安全性の課題も多少ある。ただ、技術の進歩もかなり早いので、(法律の)改正が早まる可能性もある。それに備えて準備をしています」(同上)

◆  ◆  ◆

東京で大地震が起きたら……。その“もしも”の時に備え、2016年に『道路啓開計画』が定められた。“道路啓開”とは、地震の発生後、速やかに消防や自衛隊が都心に向かうためのルートを確保する作業のことで、首都高の防災対策も、その計画に沿って作られている。

今回おこなった防災訓練の内容は、災害時にすべて首都高で実際におこなわれる作業そのもの。ドローンの実用化を含め、日夜“もしもの時に向けた備え”は進化しているのだ。

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