■「ドイツ車」というブランドを守るために
いっぽうのドイツは先にも言ったように脱原発を掲げていることもあり、電力事情はフランスほど余力がありません。さらに世界ブランドを持つ自動車メーカーがたくさんあり、生産台数も多い。
速度無制限のアウトバーンもニュルブルクリンクの北コースも、ドイツ車のブランドを創る基盤になっているのです。そう簡単に内燃機関からEVへはシフトできない事情がある。だからこそメルケル首相の声明に繫がる訳です。
EV、電子産業立国という点では、いま最も動向を注視しなければならないのが中国です。
国内に海外メーカーとの合弁だけではなくローカル企業も含めて数多くの自動車メーカーがあり、3000万台規模の生産能力を持っていますが、既存の内燃機関自動車という点ではドイツや日本の自動車メーカーにはかないません。
しかしご存じのように最新の電子立国インフラは持っている。だから新しい分野のEV、電子化で差別化を図ると同時に大気汚染問題を解決しようとしている。
■当然のように作り続けられていくでしょう
繰り返しになりますが、このたびの2040年EV化問題は、ヨーロッパの主導権に対しての政治問題なのです。工業大国ドイツに対するフランスの生き残りをかけた国家戦略。あたかも日本の自動車産業に対しての中国の将来構想と酷似しているところがあります。
2040年以降も世界各地で内燃機関自動車は当然のように作られて販売され、走り続けていくでしょう。自動車だけを見て個々の評論をするような問題ではないと私は思います。将来の国策と覇権戦略の一環と捉えるべきではないでしょうか?
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