ホンダが狙うバッテリー革命 「モバイルパック化」で見据える未来

ホンダが狙うバッテリー革命 「モバイルパック化」で見据える未来

「2040年にはグローバルでEV、FCVの販売比率を100%にする」と発表して、自動車界を仰天させたホンダ。電動化への大きな舵取りを決断したわけだが、それはなにもEVだけのことではない。スクーターなどの街乗りバイクに加え、生活を支えるホンダ製品群「ホンダパワープロダクツ」も同様だ。大容量のバッテリーを積む自動車では難しいが、単距離移動を中心としたスクーターや3輪車などの小型モビリティ、除雪機やモバイルバッテリーなどは小型バッテリーでも十分。その要となるのが、ホンダの交換式バッテリー「Hondaモバイルパワーパック」なのだ。

 すでに日本でも、モバイルパワーパックを使用するホンダの電動ビジネスバイクを発売済みだが、海外で始まった新ビジネスに加え、今後、実現を目指す取り組みの発表が行われた。ホンダは、モバイルパワーパックを活用し、どんな未来を描いているのだろうか。

文/大音安弘
写真/大音安弘、HONDA

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■単体で88,000円(充電器とともにリース販売中)

 ホンダは2021年10月29日、「モバイルパワーパックで拡大する移動と暮らし」と題したメディア向け説明会を実施した。その内容は、ホンダの着脱式可搬バッテリーである「モバイルパワーパック」を活用した電動化戦略の今後と未来についてだ。

 それを理解するために、まず「Hondaモバイルパワーパック」について説明したい。これは縦177.3mm×横156.3mm×高さ298mmの長方形のリチウムイオン電池だ。今年、新タイプの「Hondaモバイルパワーパックe:」に進化。電池容量の拡大と軽量化を図った。

「Hondaモバイルパワーパックe:」。もしかしたらこれが世界を変えるかもしれない
「Hondaモバイルパワーパックe:」。もしかしたらこれが世界を変えるかもしれない

 バッテリー電圧は50.26V、バッテリー容量は26.1Ahの性能を備える。

 軽量化されても、重量は10.3㎏と軽くはないが、上部に持ち手があるため、持ち運びがしやすい形状となっている。

 もちろんただの電池ではなく、記録機能を備えており、電気の残量や使われ方などのデータが蓄積できるようになっており、通信機能も備えるのも特徴だ。バッテリー単体の価格は、88,000円(税込)だが、現在は法人向けに販売される電動ビジネスバイク向けに、専用充電器と共にリースを行っている。

 ホンダがモバイルパワーパック活用に意欲的なのは、世界的なカーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーへの注力にある。今後の予測では、再生可能エネルギー向けの投資も拡大傾向にあるため、再生可能エネルギーの供給予測も毎年上方修正されている現状がある。その電力をモバイルパワーパックに充電し、蓄えておけば、様々な製品で利用できる。そうなれば、環境により発電量が左右される再生可能エネルギーを、安定供給にも繋がる。

電気を貯めることができれば、発電量が不安定でも支えることができる。蓄電のジレンマを解消することができる
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