■デザインもパワーユニットもマツダは持っている
マツダが投入するFRセダンおよびクーペ。それを強力な武器とするためには、さまざまなものが必要になる。
まずはデザイン。輸入車を検討するようなユーザーの目を惹くには、世界的に見ても高いデザインレベルの外観が求められるが、マツダならばそこは心配しなくてよさそうだ。
2011年発表の「靱(SHINARI)」、2015年発表の「RX-VISION」、そして2017年発表の「VISION COUPE」。これからマツダが投入するFRモデルに通じるこれらのコンセプトカーは、みな一様に優れたデザインを持ち、海外のショーでも高く評価された。この路線を推し進めていった末に登場する新型FRセダン&クーペが、不格好であろうはずがない。
そして肝心のパワーユニット。いかに美男子であろうと中身が軽薄では興ざめというものだが、これは新開発の直6、3Lエンジンを搭載する。
かつては衝突安全性の面で不利とされV6にとって代わられた直6エンジンだが、最近ではベンツが約20年ぶりに採用し、話題となった。しかもそれがガソリン、ディーゼルとも(基本設計を共有している)デキがいいということが、直6再評価の動きを後押ししている。
ベンツの直6、3Lガソリンエンジンは、ISGと呼ばれるモーター・ジェネレーターと48V電装システムを組み合わせているが、マツダにも2018年11月のロサンゼルスショーで発表されたMazda3(日本名:アクセラ)、SKYACTIV-Xエンジン搭載車が採用する「M ハイブリッド」がある。これを組み合わせれば、ベンツに伍するほどの上質なパワーフィールを入手することもできるだろう。
ディーゼルに関しても同様だ。もとから評価が高いマツダのこと。3Lとなることでトルクは60kgm超に届き、鋭い加速を見せるが、同時に優れた燃費も実現するはずだ。
最高出力はガソリン、ディーゼルともに350ps級となる見込み。ピークパワーよりも余裕、上質さを追究したパワーユニットとすることで、目が肥えた輸入車ユーザーを納得させる。
■ブランドを支える資産だってマツダは持っている
最後に、これまで本誌ベストカーはこのFRモデルを「次期アテンザではないか」と紹介してきたが、ここにきて、より上級な別モデルであるという話が出てきた。
確かにメーカーを代表するフラッグシップモデルを渇望するマツダとしては、アテンザのさらに上、ボディサイズ的にもパワースペック的にもそして内装の質感などにしてもアテンザクラスを大きく上回るモデルを用意したとしても不思議ではない。いや、ロータリー搭載車に代わるブランドの顔としては、それくらいの内容を持っていなければ釣り合わないのかもしれない。
これまで何度か、マツダ関係者から「RXシリーズの開発プロジェクトは完全に止まったわけではありませんよ」という情報を聞いていた。
だとすれば、これまで本稿で伝えてきた新たなフラッグシップブランドこそが次期「RX」シリーズの骨子ではないか。かつてマツダの大看板だった「RX-7」および「RX-8」の後継車として、(「VISION COUPE」のような)ロングノーズ+ショートデッキの美しいフォルムとしっとりしたエンジンサウンドと力強い加速を生み出す直6、マツダの掲げる「楽しい走り」を支えるFRレイアウト、これらの条件をすべて満たすセダン&クーペの実現が可能となるには、「RX-9」の銘がふさわしい。
いやがうえにも期待が高まるマツダ新型FRセダン&クーペ。予想される価格は800万〜1000万円。マツダ車としては高価だが、国際的な基準で見れば充分買い得なモデルとなる。まずはデザインコンセプトを今回もしくは次回の東京モーターショーに出品して、その後の市販を目指しているはず。
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