トヨタが過去最高となる約37兆円の営業収益をあげたニュースが駆け巡った2023年5月10日、もうひとつ重要な発表があった。「BEVファクトリー」の設立である。2026年に投入予定のレクサスブランドの次世代BEVは、このBEVファクトリーが開発する。しがらみを断ったまったく新しい組織が作るBEVは10月のジャパンモビリティショーでプロトタイプが公開予定だという。
文:ベストカーweb編集部/写真・資料:トヨタ
■80人体制でスタートするBEVファクトリー
あるトヨタ関係者は「BEVファクトリー」をこう例えた。
「豊田自動織機に自動車部ができたように、トヨタ自動車の中にBEVファクトリーができた、そんなイメージです」
また別の関係者は「しがらみにとらわれないゼロから作る組織」と表現した。
ご存じのとおり、豊田自動織機の自動車部は分社化され、現在のトヨタ自動車になっている。それくらい、「今までの自動車作り」と切り離した組織が生まれたということだ。
トヨタが2026年に投入するレクサスブランドの「クルマ屋が創るBEV」は、このBEVファクトリーが企画、開発することになる。
BEVの場合、エンジン車でいうところの車台(シャシー)の重要性は下がる。そのぶん、電子プラットフォームとソフトウェアプラットフォームの重要性が上がり、それぞれ3分の1くらいの重要性になるという。
つまり、「BEVはまったく新しいやり方で開発していかないと勝てない」ということに、トヨタは気づかされたということだ。最も競争の激しいソフトウェアの開発はウーブン・バイ・トヨタが知能化を見据えて開発を加速させる。クルマを経由していろいろなものを動かせるようになるためには、ソフトウェア開発がとにかく重要になる。
当然、新技術や新工法も必要となるわけで、その事業投資を含めBEVファクトリーが意思決定していくことになる。
(※「電気」というエネルギー源は貯蔵と運搬の効率が非常に特殊で、そのため現状、長距離や海を越える移動に(たとえば原油や液化天然ガス等と比べて)多大なコストがかかる。つまり電気はある程度以上、地産地消にならざるをえない。だからこそBEVは、バッテリーや車体の生産技術が進めば進むほど、その「普及の仕方」は各地の地域性と結びつくことになる。いっぽうでBEVは巨大なバッテリーを搭載する移動体であり、この「モビリティユニット」が中距離を有機的に移動し、移動先で電気が出し入れ可能となる社会は、その地域のエネルギー構造、ひいては社会構造を大きく変えてゆくことになる。トヨタは(「BEV単体の性能そのもの」だけでなく)その「変わる社会」を見据えたクルマ作りをしていく、ということ)
コメント
コメントの使い方これでトヨタは水素エンジンやFCVを諦めたと言う方々もおられますが、それは100%間違いであるということをここに明らかにしておきたいと思います。
トヨタ以上にカーボンニュートラル、SDGs、日本のMIRAI…もとい未来を考えている企業はない。