トヨタが「BEVファクトリー」新設! トヨタが見据える新たな社会とは…? 次世代新型BEVプロトを今年10月公開へ

■2026年までにBEVに2.5兆円を投資

 トヨタは2026年までにBEVに2.5兆円を投資する。2023年3月期の営業利益は2兆7000億円あまりだから、いかに巨額であるかがわかる。すべてが、2026年に投入する次世代BEVに投資されるわけではないが、BEVファクトリーのインパクトの大きさをうかがわせる。

 BEVファクトリーのプレジデントに就任した加藤武郎(※)氏は、BYDとの合弁会社BETT(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー)に出向し、bZ3の開発リーダーを務めていた。中国でBYDとともにBEVを開発、生産を経験してきた加藤氏に白羽の矢が立ったわけだが、BEVファクトリーのスタートメンバー、約80人は加藤氏の目利きで選ばれたという。

加藤武郎氏が開発リーダーを務め、中国で販売されるセダンタイプのBEVがbZ3だ
加藤武郎氏が開発リーダーを務め、中国で販売されるセダンタイプのBEVがbZ3だ

 次世代BEVの開発にあたり、既存のしがらみを排除することをまず重視した。従来の組織から独立したフルスクラッチでスタートするところがBEVファクトリーの大きな特徴だ。また、ワンリーダーのもと一気通貫ですべてのプロセスを行うというから、何よりスピード感が重視されるはず。加藤氏と技術トップの中嶋裕樹副社長の手腕が問われる。

トヨタは2026年までにBEVの年間販売台数150万台を目指し、それまでにニューモデルを10車種投入するが、こちらは各車両カンパニーによって開発される
トヨタは2026年までにBEVの年間販売台数150万台を目指し、それまでにニューモデルを10車種投入するが、こちらは各車両カンパニーによって開発される

 BEVファクトリーの誕生に伴い、これまでEV開発を担ってきたZEVファクトリーは廃止され、各車両カンパニーに移管される。2026年にグローバルでBEVは年間150万台の販売を目指し、新たに10モデルを投入するとしているが、これらは各車両カンパニーが行い、あくまでもBEVファクトリーは2026年レクサスから登場する次世代BEV以降の開発、生産、事業を行っていく。

 先日の決算会見で、この2026年登場予定の新型BEVプロトタイプが、2023年10月に開催予定のジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)に出展されることも明らかにされた。

 大断行といえるBEVファクトリーの新設が、自動車界に何をもたらし、どんな変化を生んでいくのか。トヨタだけでなく、日本がBEVでも主導権を握っていけるかどうかの試金石となりそうだ。

※加藤武郎(かとう・たけろう)氏プロフィール
1967年愛知県生まれ。1989年トヨタ自動車入社。ボデー設計部などでプラットフォームの企画と開発に携わる。2019年トヨタZEVファクトリーに異動。2020年にはBYDとの合弁会社BTET(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー)に出向し、bZ3の開発リーダー(CTO)を務める。2023年5月BEVファクトリー・プレジデントに就任

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