■2026年までにBEVに2.5兆円を投資
トヨタは2026年までにBEVに2.5兆円を投資する。2023年3月期の営業利益は2兆7000億円あまりだから、いかに巨額であるかがわかる。すべてが、2026年に投入する次世代BEVに投資されるわけではないが、BEVファクトリーのインパクトの大きさをうかがわせる。
BEVファクトリーのプレジデントに就任した加藤武郎(※)氏は、BYDとの合弁会社BETT(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー)に出向し、bZ3の開発リーダーを務めていた。中国でBYDとともにBEVを開発、生産を経験してきた加藤氏に白羽の矢が立ったわけだが、BEVファクトリーのスタートメンバー、約80人は加藤氏の目利きで選ばれたという。
次世代BEVの開発にあたり、既存のしがらみを排除することをまず重視した。従来の組織から独立したフルスクラッチでスタートするところがBEVファクトリーの大きな特徴だ。また、ワンリーダーのもと一気通貫ですべてのプロセスを行うというから、何よりスピード感が重視されるはず。加藤氏と技術トップの中嶋裕樹副社長の手腕が問われる。
BEVファクトリーの誕生に伴い、これまでEV開発を担ってきたZEVファクトリーは廃止され、各車両カンパニーに移管される。2026年にグローバルでBEVは年間150万台の販売を目指し、新たに10モデルを投入するとしているが、これらは各車両カンパニーが行い、あくまでもBEVファクトリーは2026年レクサスから登場する次世代BEV以降の開発、生産、事業を行っていく。
先日の決算会見で、この2026年登場予定の新型BEVプロトタイプが、2023年10月に開催予定のジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)に出展されることも明らかにされた。
大断行といえるBEVファクトリーの新設が、自動車界に何をもたらし、どんな変化を生んでいくのか。トヨタだけでなく、日本がBEVでも主導権を握っていけるかどうかの試金石となりそうだ。
※加藤武郎(かとう・たけろう)氏プロフィール
1967年愛知県生まれ。1989年トヨタ自動車入社。ボデー設計部などでプラットフォームの企画と開発に携わる。2019年トヨタZEVファクトリーに異動。2020年にはBYDとの合弁会社BTET(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー)に出向し、bZ3の開発リーダー(CTO)を務める。2023年5月BEVファクトリー・プレジデントに就任
コメント
コメントの使い方これでトヨタは水素エンジンやFCVを諦めたと言う方々もおられますが、それは100%間違いであるということをここに明らかにしておきたいと思います。
トヨタ以上にカーボンニュートラル、SDGs、日本のMIRAI…もとい未来を考えている企業はない。