次期ムーヴ、次期トール/ルーミー、新型コペン…ダイハツ徐々に生産再開でもいまだ見えぬ新型車の道筋

■「(新車開発や新規認証取得は)とてもそれどころではない」

 ここで気になるのが、すでに次期型の開発が進み、「2023-2024年頃に新型車が登場するのでは」と言われていた、ムーヴやトール/ルーミーのフルモデルチェンジだ。

 特に新型ムーヴについては、2023年5月の時点で開発が大詰めを迎えており、各ダイハツ販売店には見込み顧客向けへの事前案内のため、販売マニュアル資料が配布されていた(現行型の発表は2014年~)。

新型ムーヴはクラス初の両側スライドドアを装備して発表される…はずだった。すべての開発が停止したことで、発表時期は未定に。短く見積もっても今年秋…までは無理だろうな…と…
新型ムーヴはクラス初の両側スライドドアを装備して発表される…はずだった。すべての開発が停止したことで、発表時期は未定に。短く見積もっても今年秋…までは無理だろうな…と…

 多少時期は前後するが、トール/ルーミーも似た状況。本来のスケジュールであれば2023年末あたりにフルモデルチェンジしているはずだった(同じく現行型は2016年~)。

 また、現行型コペン(2014年~)も新型開発は進んでいたはずであり、2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー」のダイハツブースでは、(軽自動車規格ではなく)ワイドボディ化+排気量アップされた「コペンヴィジョン」が出展され、市販化への熱い期待が寄せられていた。

 そのうえで、そういった新型車スケジュールは、2023年5月に発覚した認証試験不正問題と、調査を依頼されていた第三者機関による調査結果発表(同年12月)により、吹き飛んだかたちとなる。

2023年10月に出展された「コペンヴィジョン」。拡幅され排気量もアップ。これなら欧州やアセアンにも輸出できるはずだったが…残念ながら全面的に開発は止まっていると考えたほうがよさそう
2023年10月に出展された「コペンヴィジョン」。拡幅され排気量もアップ。これなら欧州やアセアンにも輸出できるはずだったが…残念ながら全面的に開発は止まっていると考えたほうがよさそう

 現行型ムーヴや現行型トール/ルーミー、コペンも、現時点で国交省による基準適合の確認を受けているはずだが、これははたして生産再開となるのか? もしやこのまま新型発表発売まで「生産を止めたまま」ということはありうるのか?

「(新型車の開発や発表は)とてもそれどころではない、という状況です」と答えたのは、上述のダイハツ井出部長。昨年5月の認証不正問題発覚と調査開始以降、新型車の開発はいっさい停止しており、新規に認証をかけられる状態にはまったくないという。

 それはそうか……。

 現在、ダイハツ車は順次生産を再開しているが、それはあくまで「昨年までに注文を入れていて、納車を待っているお客様にお届けするため」であって、新規受注を再開しているわけではないという。

 ミライースもハイゼットカーゴも、ビジネス(商用)需要が高い車種であり、注文を入れている企業にとっては「(決算の関係で)なんとか年度内に納車してほしい」という事情もあるのだろう。

 まずはそうした声に答えつつ、続いてそれ以外の車種についても「認証不正問題があっても、なお、納車を待ってくれているユーザーへ向けて」生産再開・納車再開となる見込み(これはダイハツ関係者への取材により聴取)。

 そうなると、まだ日程は未定とはいえ、生産・販売・納車が再開されるのはまずは(新型/次期型ではなく)現行型ムーヴ、現行型トール/ルーミー、現行型コペンとなりそう。

2024年3月1日付けでダイハツ工業に社長に就任する井上雅宏氏。トヨタ自動車では中南米本部長を務めていた。トヨタ佐藤社長とも積極的に情報交換し、ダイハツの信頼回復と再発防止に取り組む
2024年3月1日付けでダイハツ工業に社長に就任する井上雅宏氏。トヨタ自動車では中南米本部長を務めていた。トヨタ佐藤社長とも積極的に情報交換し、ダイハツの信頼回復と再発防止に取り組む

 2024年3月1日から、ダイハツは井上雅宏新社長を迎えて船出をする。(開発部門と評価・試験部門の切り離しを柱とした)再発防止策の実施だけでなく、「事業領域の大幅な見直し」も公言された。

 もちろん今後の経営戦略次第だが、ダイハツの国内事業は軽自動車の開発・販売に専念する可能性もある。

 そうなると、評判のよかったトール/ルーミーの次期型はトヨタが引き継ぐことになるのか? コペンビジョンはどうなるのか? 売れまくっていたライズ/ロッキーの次期型開発はどうなる??

 これらも「いまはそれどころではない」ということだろうし、なにより大事なのは再発防止とユーザーからの信頼回復だろう。そのとおりだと思うし、粛々と進めていただくことを強く望むが、それでも「今後のダイハツの再建案」は気になる。

 井上社長、落ち着いたらインタビューさせてください。「安くて楽しいダイハツ車」が復活することを信じております。

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