マツダ新戦略はかつての悪夢「5チャンネル化」の轍を踏まないか


■マツダ2/3/6の車名変更

 日本国内で売られるマツダ車には、ほかのメーカーと同様、デミオ、アクセラ、アテンザといった車名が与えられていた。ところが海外は、欧州車と同じように数字で示されていた。

 そしてアクセラが先ごろのフルモデルチェンジで、車名を海外と同じマツダ3に変更した。開発者に理由を尋ねると、

「マツダ3には新型エンジンのSKYACTIV-Xが搭載され、魂動デザインも従来とは違う新しい表現をしている。通常のフルモデルチェンジよりも変化が大きく、これを機会に車名を海外と共通化した。車名にメーカー名のマツダを冠することで、マツダ車であることを強調する意図もある。

そして欧州車を選ぶ時に『BMWを買う』とブランドで表現されるように、『マツダを買う』といわれたい」

 と説明された。

 意図は分かるが、この考え方に基づくなら、車名の変更は変化の大きなフルモデルチェンジに限られるだろう。しかし実際はマイナーチェンジでデミオがマツダ2に、アテンザはマツダ6に変更された。

国内最量販車で、マツダの救世主ともいえるデミオも「マツダ2」へと車名変更。かなり大胆な販売戦略といえる

 これでは一般ユーザーは分かりにくい。フルモデルチェンジであれば「アクセラが生産を終えて、後継車種のマツダ3が新発売された」と受け取ることもできるが、マツダ2とマツダ6はマイナーチェンジだから宣伝もあまり行われない。デミオとアテンザの車名変更が伝わりにくい。

 この経緯には、1990年前後に展開されたマツダの5系列販売体制を思い出す人もいるようだ。マツダ/フォード(オートラマ)/ユーノス/アンフィニ/オートザムの5系列を短期間で設け、大急ぎで膨大な姉妹車も開発した。

 例えばミドルサイズなら、マツダクロノス/フォードテルスター/ユーノス500/アンフィニMS-8(セダン)&MS-6(5ドアハッチバック)/オートザムクレフという具合で、姉妹車を短い時間に整えている。

 開発者、デザイナー、製造現場などに物凄い負担を掛けながら、ユーザーは「どこで買えば良いのか分からない」状態になり、マツダの国内販売は急降下した。1990年にマツダの国内販売は59万台に達したが、1991年には55万台、1992年には48万台と下がった。その後も下降を続け、2000年は31万台、2018年は前述の22万台少々だ。

 マツダ2/3/6の車名変更と、かつての5系列販売体制はまったく異なるが(30年の歳月も流れている)、数字の羅列ということで関連性を感じてしまう。

 販売店の反応はさまざまだ。「車名の変更は、噂には聞いていたが、本当にアクセラやデミオをやめるとは思わなかった。お客様からも変更の理由を尋ねられた」という意見がある。その一方で「車名の変更に大した意味はない。説明すれば分かっていただける」という反応もあった。

■値引きを抑えた販売方法

 以前のマツダ車は多額の値引き販売を行った。その結果、セダンやハッチバックは、他メーカーに比べると売却時の金額が下がった。しかしマツダ車に乗り替えるなら、相応の金額で買い取るから、結果的にマツダ車を何台も乗り継ぐ状態になった。

 先代CX-5以降のマツダ車は値引きを抑えて、以前に比べると売却時の不利も解消したが、それでも依然としてマツダの販売店では高値で買い取る。値引きが少なかった分を売却時に取り戻そうとすれば、今でもマツダ車を乗り継ぐことになるのだ。

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