■クーペ、クロスオーバーなど複数ラインナップを複数投入
第2弾では、新生MINIの大変革の幕開けを象徴する「クロスオーバー」が投入される。
5ドア、クロスオーバースタイル、新生MINI初の3ナンバーとなるワイドボディ、MINIシリーズ初の4WDなど異例尽くめのモデルだった。
デビュー当時、「MINI風なだけで、決してMINIとはいえない」など厳しい意見も聞かれたが、これが意外にも大ヒット。
MINIの世界観に憧れるも、手が出せなかった若いファミリーたちの心を鷲掴みにしたのである。
さらにチョップドルーフを持つ2シーターの「クーペ」、そのオープンモデルの「ロードスター」、クロスオーバーを3ドアクーペ化した「ペースマン」まで登場。最終的には、7モデルまで拡大されることになる。
その代わりに登場したのが、5ドアハッチバックだ。ホイールベースを延長した姿は、まさにダックスフンド。これまた新たなファンを獲得することに成功。
3世代目となる現行型は、先代の拡大路線の反省から不人気車のリストラを断行。「クーペ」「ロードスター」「ペースマン」は、たった一世代で終焉を迎える。
現在のラインアップ、3ドアハッチバック、5ドアハッチバック、コンバーチブル、クラブマン、クロスオーバーの5車種展開となっている。
ただクラシックMINIが好きだった人には、今のMINIの姿やラインアップに、違和感を覚える人もいるはずだ。
それはMINIという存在が、優れた小型実用車から最先端のファンションアイテムへと変化したことにあると思う。
これは、ザ・ビートルやFIAT500などのリバイバルデザインカーに共通する点だが、その世界観を作り込むあまり、本質が敢えて無視されるのだ。
■MINIはBMWの小型車として生き残るしかないのか?
優れた小型車で有ろうとすれば、その形を崩さざるを得ない。そういう点では、バリエーションを拡大したMINIは、MINIが生き残るための正常進化ともいえるだろう。
またMINIは独立店舗を展開しており、そのネットワークを維持するのは幅広いユーザーの確保とMINIから卒業させないことが必然となる。
さらにMINIの成功で、FF車のノウハウを蓄積したBMWは、BMWラインアップのFF化も推し進めている。
BMWのMPV「2アクティブツアラー/グランツアラー」、SUVの「X1/X2」、そして新世代1シリーズは、MINIの従妹である。
この関係性は、MINIが今以上のダイエットすることは物理的に困難なのである。彼らのポテンシャルやサイズ感を無視することが出来ないからだ。
寂しい言い方をすれば、MINIという存在は、BMWの拡大効率路線の犠牲になったとも解釈できる。
ただその決断こそが、MINIという存在を絶対的なものにしたのも確かなのだ。3ドアが使い勝手が悪いなら、5ドアにしてしまえば良いというフレキシブルさへと繋がり、時代と共に、その姿を変化させるようになった。
そこで議論は、3ドアハッチバックは不要ではないかとなる。一定のニーズはあるが、全体のシェアでいえば、以前よりも縮小傾向にある。
しかし、様々な人気キャラクターがいるディズニーランドでも、ミッキーマウスを外すことが出来ないように、変化を遂げるMINIワールドのイメージを支えているのは、その世界観を象徴する3ドアハッチバックなのだ。
如何なる変化を遂げようとも3ドアハッチバックが失われる未来は描きづらい。つまりMINIがMINIであるためには、狭い領域内で、豊富なラインアップを揃えつづけるしかない宿命にあるのである。
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