MINI生誕60周年!MINIのバリエーション増加はなぜ止まらないのか

MINI生誕60周年!MINIのバリエーション増加はなぜ止まらないのか

 BMWがMINIを発表したのが2001年。BMWのもとで、すでに20年近い歴史を誇るブランドになったが、最近のMINIを見ているとどうにもスッキリしないことも多い。

  キュートなデザインと独特な存在感、わりと(ほかの輸入車に比べると)割安なわりに「こだわりでコレにしました」感があってしかも中身はBMWとくれば、人気なのはわかる。

 でも最近は3ドア&5ドア、コンバーチブル、クラブマン、クロスオーバーと、正直どれがどれだかわからないし、ぱっと見だと見分けもつかない。

 なんせラインナップが多岐にわたり、5ドアやクラブマンの作り分けなど、いったいどのような用途でクルマを作り分けているのかユーザーに分かりにくいのだ。

 またMINIとは名ばかりでかなり大型化しているMINIに、オールドMINIのファンからは批判が絶えない(JCWの走りは初代さながらですが)。

 いったいMINIのラインナップ増加は今後どうなっていくのか? 現状をまとめつつ分析します。

文:大音安弘/写真:BMW


■オシャレなファッションアイコンとなった新生MINI

 日本での知名度で言えば、ベンツやVWにも引けを取らないMINI。今や幅広い世代に、お洒落なコンパクトカーとして定着した。

 そのブランド力の高さは、数字にも明確に表れており、2018年の販売台数輸入車としてブランド別で、5位にランクイン。

MINIといえばオシャレで多くのユーザーに愛される輸入車ブランドだ。しかしながらそのラインナップは急増したり急減したり、クルマ好きでも覚えきれないほど

 上位の4ブランドは、3位のBMWを含め、幅広い車種構成を持つ総合ブランドである点を考慮すると、MINIの存在感が際立つ。

 この成功のカギとなったのが、オリジナルに拘らず、新たなミニ像を模索したBMW MINIの戦略にあるといえる。最も分かりやすいのが、ボディバリエーションの拡大だ。

 初代の2タイプだったものが、現在は、紆余曲折を経て、5タイプとなっている。このため、ユーザーの入り口は多様化し、またライフスタイルに合わせたMINIからMINIへの乗り換えもより柔軟に行えるようになっているのだ。

クラシックMINI(左)の後継となったBMW製造の新生MINI。サイズはかなり大型してはいるが、BMW自身もそのヘリテージは大切に扱っている。2019年はMINI生誕60周年のメモリアルイヤーでもある

 まずBMW MINIのモデル拡大の歴史を振り返りたい。クラシックMINIの後を受けて、2001年に誕生したBMWによる初代MINIは、MINIシリーズを象徴する3ドアハッチバックのみでスタート。

 追加モデルは、3ドアベースのコンバーチブルにとどまった。サイズの拡大とBMWによる初のFF車ということもあり、その評価は賛否が分かれた。

 しかしゴーカートフィーリングなどクラシックMINIの特徴をデザイン以外でも上手く表現できたこともあり、新生MINIの基礎を見事に作り上げ、人気車へと成長していった。

 個人的には、歴代モデルの中でも、初代ミニクーパーSが最も記憶に残る。初代の持つファッション性を上手く引き継ぎ、昇華させたものの、サイズと車格も上がり、高価なハッチバックへの転身してしまったのも事実。

こちらは現行クラブマン。MINIブランドのステーションワゴンだ

 結果、クラシックとBMWのMINIそれぞれのファン層が、明確に分かれる要因となった。

 BMWは、小さな高級車となった初代の成功を受けて、第2世代でMINIブランドの拡大路線へと突き進む。その第一弾となったのが、ステーションワゴンの「クラブマン」だ。

 その名が示すように、クラシックミニシリーズのステーションワゴン「トラベラー」のオマージュだが、ネーミングは、モダンスタイルのミニ・クラブマンから受け継いだ。

こちらが元祖クラブマン。観音開きのバックドアなどは現行型も
引き継いでいる。いかんせんサイズ感はふた回りくらい大きいが

次ページは : ■クーペ、クロスオーバーなど複数ラインナップを複数投入

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