大阪・難波を拠点に関西空港や高野山、和歌山方面を結ぶ大手私鉄・南海電鉄は、運転士の前方視認性向上と疲労軽減を目的に、山本光学「SWANS」ブランドの『運行業務者用防護めがね(SWTD-0153)』を正式採用した。2025年10月1日から順次導入する。可視光線透過率約40%・偏光度90%の“明るめの偏光レンズ”と、トンネル進入時に即座に裸眼へ切り替えられる跳ね上げ(フリップアップ)機能を備え、試行では「信号識別がしやすい」「直射日光の眩しさが軽減」といった声が寄せられた。着用は任意で、業務状況に応じて使用される。
文:ベストカーWeb編集部、画像:山本光学
見える、見えるぞ! イケてるサングラスで運転士の“見える安全”強化
山本光学は2025年9月30日、スポーツ用アイウエアで知られる「SWANS」ブランドの『運行業務者用防護めがね(サングラス)』が南海電鉄に正式採用され、10月1日(水)から順次導入されると発表した。狙いは運転士の前方視認性向上と疲労軽減による安全性向上。鉄道の現場ニーズを踏まえた光学性能と使い勝手を、産業用保護具の知見で落とし込んだプロダクトだ。
同社は「Comfortable Safety(快適な安全)」を事業コンセプトに掲げ、交通インフラを支える運行業務従事者の“見える安全”をサポートしてきた。本採用に先立ち、南海電鉄の協力で2024年9月および11月に運転士による着用試行を実施。軽量設計による快適な装着感、耐衝撃性・耐久性に優れたフレーム、そして偏光レンズによる反射光の抑制効果などが評価され、「信号の識別がしやすくなった」「直射日光のまぶしさが軽減され、眼の負担が軽くなった」といった声が寄せられている。なお着用は任意で、業務内容や状況に応じて判断される。
採用モデルは【SWTD-0153】。最大の特徴は「明るめの偏光」レンズだ。可視光線透過率は約40%、偏光度は90%。素材は傷つきにくく耐衝撃性に優れたポリカーボネートで、内側マルチコートにより眩しさや映り込みをさらに低減する。屋外での直射日光下から建物の陰や跨線橋下へ移る際も暗く感じにくく、視界の明るさを保ちやすい設計になっている。
さらに、JIS T7333(屈折補正用眼鏡レンズの透過率の仕様及び試験方法)に基づく光学試験をクリアし、鉄道信号で使われる赤・黄・緑・青の4色に対して必要な視認性を確保している点もポイントだ。
使い勝手の面で特筆したいのが、トンネル(隧道)や地下区間への突入時に、手でレンズを跳ね上げるだけで即座に裸眼の状態へ移れる「フリップアップ」機能を搭載していること。明るい屋外から暗い空間へ移る際の順応(明順応/暗順応)に素早く対応し、視界の確保を後押しする。鉄道運転では一瞬の見落としが致命的になり得るため、切り替え操作が直感的で素早いこの機構は安全面のバックアップとして心強い。
なによりカッコいい。実際に装着して、この手で跳ね上げてみたい。
ハードウェアの仕様も業務使用を意識したものだ。レンズは偏光ライトスモーク(内側マルチコート)で、紫外線透過率0.1%以下(UVカット99.9%以上)。フレームはガンメタリックで、軽量かつしなやかなベータチタンを採用。鼻幅の微調整がしやすいクリングスパッド、そして約19gという軽さが長時間装着時の負担を抑える。サイズは54□18-140/H34.5mm(実測値)で、日本人の顔型を意識したフィットを狙っている。
南海電鉄での本格導入は、偏光レンズとフリップアップ機構の組み合わせが“信号の識別性”と“眩しさ対策”の両立に寄与するという現場評価に裏打ちされたものだ。鉄道という厳格な安全基準が求められる領域で採用されることは、プロユースに耐える光学性能・堅牢性・装着快適性を備えている証左といえる。
なお山本光学のSWANSシリーズといえば、今夏ベストカーMateでドライブサングラスを特価にて販売、約250個を期間限定で販売したところ、すぐに売り切れてしまった。来夏はもうちょっと数を揃えてまた販売するので、購入できなかった人はぜひ狙ってください。本企画担当編集者も買えませんでした。無念。






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