ワークは40年以上もレースを「開発現場」にしてきた

実はワークとモータースポーツの関係はかなり長い。
同社がレーシング部門を設立したのは1983年。F2、F3への参戦から始まり、F3000、ラリー、ドリフト、そしてGTレースなど、さまざまなカテゴリーにホイールを投入してきた。
SUPER GTの前身であるJGTCにも1998年からホイールサプライヤーとして参戦しており、そこで開発されたレーシングホイールは、後のMEISTER S1やWORK EMOTION CR Kiwamiのルーツにもなったという。
これ、かなり重要な話だと思う。
レーシングホイールと市販ホイールが、まったく別の世界で作られているわけではないのだ。ワーク自身も、レーシングチームとの共同開発によって鍛えた技術を製品へフィードバックしていることを明確にしている。つまりサーキットは、ワークにとって巨大な実験室でもある。
「硬いホイール=いいホイール」ではない
個人的に興味深いのが、ホイールに求められる「しなやかさ」である。強いホイールと聞くと、とにかくガチガチに硬いものを想像してしまう。
ところが実際には、単純に硬くすればいいわけではない。路面からの入力をタイヤで受けて、サスペンションへ繋げる。実はこのフローのなかでホイールのしなりが大きな影響を与えるのだ。
そこで出てくるのがワークの市販ホイールにも採用されるフローフォーミング製法。鋳造した素材のリム部分へ圧力を掛けながら伸ばして成形するのだが、この工程によってアルミの組織を微細化し、リム部分のしなやかさを高めると同時に薄肉化も可能になる。結果として軽量化しながら、インナーリムに必要となる引っ張り強度や粘り強さを高めているという。
要するに、軽く、強く、そして粘る。相反しそうな性能をどう成立させるか。そこにレーシングホイールで培ってきたノウハウが生きてくる。
実際、ワークは全日本ラリーやダートトライアルといった、SUPER GTとはまた違う過酷な環境にもホイールを投入している。

舗装されたサーキットで高速、高G、熱に耐える性能。ラリーやダートで衝撃に耐える性能。さまざまな競技から得られるデータの積み重ねが、市販ホイールの設計や製造技術にもつながっているわけだ。
ホイールというと我々は重量や強度といった数字ばかりを見てしまうけれど、レーシングドライバーにとってはクルマと路面をつなぎ、その情報を伝える部品でもある。タイヤだけで走っているわけではない。
タイヤが発生した力を受け止めるホイールがあり、サスペンションがあり、初めてドライバーへ情報が届く。そう考えると、ホイールの剛性やしなやかさがハンドリングに影響するという話も理解しやすい。
レースの技術を私たちの愛車に

そして僕がワークのモータースポーツ活動で一番面白いと思うのは、レース専用品だけを作って終わりではないことだ。そこで培われた考え方や製造技術が、市販製品へつながっている。
代表的なのがWORK EMOTIONシリーズだろう。
フローフォーミングによるリム成形をはじめ、軽量化と強度、粘り強さを両立させるための考え方には、モータースポーツで積み上げてきた経験が生かされている。
さらにワークには、M.C.O RACINGのように競技での使用を強く意識した市販シリーズも存在する。
サーキットでタイムを削るユーザーもいれば、ラリーやダートで戦うユーザーもいる。一方で、街乗りを中心に愛車の走りやスタイルを楽しみたいユーザーもいる。
用途は違っても、ホイールに求められる「軽さ」「強さ」「精度」「耐久性」という基本は変わらない。
もちろん、GAINER TANAX Zが履いているレーシングホイールと、カー用品店で購入できるワークのホイールが同じもの、という話ではない。大切なのは、同じメーカーの中でレースと市販品の開発がつながっていることなのだと思う。
【画像ギャラリー】SUPER GTで使用されるワークのホイールを激写! Zの足もとをよく見て!(16枚)画像ギャラリー

















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