自動車の後方カメラ、装着義務化へ 未装着のクルマはどうすればいい?

自動車の後方カメラ、装着義務化へ 未装着のクルマはどうすればいい?

 2021年4月1日に国土交通省から告示された「道路運送車両の保安基準等の一部改正」。改正に関する項目はいくつかあるが、その中で注目したのが『後退時車両直後確認装置』の装着義務化だ。

 実際の法制化の具体的内容は何か?そしてこれまでのクルマに乗っている人はどうするべきかも含めて簡潔に解説する。

文/高山正寛、写真/ベストカー編集部、データシステム

【画像ギャラリー】法改正で装着義務化! バックカメラで後方確認してヒヤリハットを防ごう


■誰もが経験する後退時の「ヒヤリハット」

歩行者を事故に巻き込んでしまうのはもちろん、駐車場などでの転落事故も防げる
歩行者を事故に巻き込んでしまうのはもちろん、駐車場などでの転落事故も防げる

 まず前述した『後退時車両直後確認装置』だが、国土交通省の資料には「バックカメラ、検知システムまたはミラー」と記載されている。今回はわかりやすさを重視してバックカメラと表記する。

 実は後退時における事故というのは我々がイメージしているより多く、また深刻だ。公開されている各所データから見えてくるのは、後退する車両に対し、事故に巻き込まれるのは圧倒的に歩行者が多い。またその速度も10km/h未満、さらに5km/h前後が多いそうだ。

 特に対歩行者に関していえば、駐車場内での事故が圧倒的。コンビニやスーパー、さらに大型ショッピングモールなどの大規模駐車場などで後方の確認を怠ったために事故が発生しているケースも多い。

 ここまで読むと自分も「ハッと」したことはないだろうか。もちろん、被害者となる歩行者や自転車、二輪車に乗っていた人の年齢なども無視することはできないが、そのまま後退を続けていたら大惨事になっていたことは予想できる。

■今回の法改正を簡単に解説すると

試験時確認範囲例。従来は直視やミラーによって確認していた後退時の死角を減らすのが狙いだ
試験時確認範囲例。従来は直視やミラーによって確認していた後退時の死角を減らすのが狙いだ

 国土交通省によれば、自動車の後退時に発生する事故に対し、安全対策のさらなる強化を行う目的と、国連のWP29(自動車基準調和世界フォーラム)でこれらが採択されたことによる基準を改正しようというものだ。

2021年4月1日より5月1日までの間にパブリックコメントを募集した後、6月9日に保安基準等の一部改正が行われている。

 具体的な要件としては図の通りだが、要は従来直視やミラーによって確認していた後退時の「死角」を減らすことで事故を減らそうというものである。

 昨今のクルマは360度の安全を考えて、リア(バック)だけではなく、フロントやサイドのカメラ、またセンサー類も積極的に装着が増えてきている。

 今回のバックカメラに関しても単純に後方を映し出すだけではなく、そのエリアに入ってきた人や自転車などの移動物を検知できる機能を搭載したクルマもある。

 具体的には日産車に搭載される「MOD」がそれに該当する。MODは「Moving Object Detection」の略で、カメラだけでなく車種によってはセンサー類も併用してドライバーに注意を促す。

 特にエリア内に移動物が入ってきた場合、アラームと同時にナビなどのディスプレイには対象物に対し「MOD」の文字が表示される。

 いくら大型のナビ画面でも画角や歪み、さらにカメラ自体の解像度などからも認識がしづらいケースも発生する。その点ではこの「MOD」表示は理にかなっているシステムといる。

次ページは : ■来年からは装着していないとクルマに乗れない?

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