■マット洗浄機のほとんどはゴムマットを想定した設計
キソー株式会社が作っているマット洗浄機は、ガソリンスタンドなどでよく見かけるいわゆるノーマルなマット洗浄機だ。マット洗浄機担当の方にまずはその仕組みから聞いてみた。
――マット洗浄機はどのような仕組みでマットを洗っていますか?
モーターで駆動させて回転させている部分にマットを挿入すると、ローラーで送りを掛けながらブラシなどで汚れた面を洗浄していきます。そして簡単な脱水をして後ろの部分に排出されます。
――布製マット(絨毯マット)ではとくに、マット洗浄機ではあまり汚れが落ちない印象がありますが…。
そうですね。いわゆる「絨毯マット」と呼ばれる毛足が長いもの(5ミリ以上)は、汚れを落とすのは困難でしょう。毛足が短いものであればある程度は落ちるのですが…。毛足5ミリ以上の絨毯マットですと、毛の付け根の部分にたまった砂や土など、毛を倒しながら洗浄機のブラシで洗うのはほぼ不可能でしょう。そこまでブラシが届かないので…。
――洗浄機はそもそも、どんなマットを想定して設計されているのでしょうか?
昔ながらのゴム製のマットですね。タクシーなどで使われていたような。マット洗浄機を作っているところはほぼ皆同じだと思います。初期に開発を行った時代ではゴム製マットが主流でしたので、基本は昔から大きく変わっていないでしょう。
――フロアマットの材質が変化してきたということですね?
そうです。クルマの室内装備がだんだん良くなってきて、マットの材質もゴムから絨毯タイプが主流になってきました。またクルマの床もカーペットが貼られるようになってからは、そこに絨毯マットを置くのが一般的になりましたね。
中にはマット洗浄機側も毛足の長いマットに対応させるべく砂やほこりを落とすために、ブロワで風を送ったり、埃をたたき出したりするような機能を持たせたものもありますが…効果のほどはわかりません。
――マット洗浄機を高機能化させるのは大変なのですね。
はい。絨毯マットをキレイに洗う機能を付加すると、とても高価なものになってしまいます。また、しっかり洗浄するということは水をたくさん使うことになり、そうなると今度は「脱水」機能も強化しないといけません。水をたくさん含んだ絨毯マットはなかなか乾きません。ガソリンスタンドでさっと洗ってさっとクルマに敷いて運転して帰る…といった場合にも足元がびっしょりでは危険もあります。
また、夏場はにおいも出てきます。湿度の高い季節では締め切った蒸し暑い車内では窓も曇って不快感も高まるでしょう。
■コインランドリーで洗うことは可能?
ということで、今や一般的になった絨毯タイプのフロアマットをキレイさっぱり洗浄するのは時間と手間が必要となりそうだ。では、これらのマット。コインランドリーで洗うことはできないのだろうか?
コインランドリーの大きくてパワフルな洗濯機でザブザブ洗ってしっかり脱水すれば毛足の根元にたまった砂や細かな土埃なども一掃できそうだ。
「コインランドリーの洗濯機でクルマ用のフロアマットを洗濯してよいのかどうか?」
この件について、コインランドリーの管理者団体や首都圏、関西圏、九州など複数のコインランドリー店舗などに確認してみた。結論から言うと、洗濯機では絶対洗えない完全ゴム製のフロアマットなどを除いて一般の絨毯タイプにおいては、コインランドリーで洗濯OKであった。
×洗えない→1割
〇条件次第では洗える→9割
条件次第ではあるが、「フロアマットを洗ってもいい」というコインランドリーが意外と多いことに驚いた。ではその条件とはどのような事だろうか? と思ったらそんなに難しいことではなく、とても常識的なことであった。
その条件とは「機器の故障を防ぐため~泥・砂などを事前に良く落としてから洗濯機に投入」ということである。さらに、「利用前に電話(大手チェーンのコインランドリーはカスタマーサポートなどで24時間電話対応をしているところがほとんど)で確認してください」というところも多くあった。同じチェーン店の中でも、店がある所在地によって管轄する保健所の指導が入るエリアもあるとのこと。事前に電話で確認しておけば安心だ。
そんなわけで筆者も自宅近くのコインランドリーで洗ってみることにした。実はこれまで自宅の洗濯機で洗っていた(といっても年に1回くらい)のだが、コインランドリーで洗うのは初めて。もちろん、埃や砂ははたいて落として綺麗にしてある。電話でコインランドリー内に掲示されたサポート電話にも事前に確認したところ、「大きな汚れや砂や土を落とせばフロアマットを洗っても良いですよ」とのことだった。
洗ってみたところ、うーん! すっきり! 脱水もばっちりでこのまま運転席フロアに敷いてもまったく問題なさそうだ。
ちなみに筆者がこの度洗ってみたフロアマットはアルファロメオ純正品で新車から23年半、距離にして26.5万キロ同じものを使っている。かかとが当たる部分は少し剥げているがそれ以外は大した損傷もない。フロアマットはもともと非常に頑丈に作られているので、23年間の長い年月と20回以上の洗濯と脱水にもほぼ問題なく耐えてきたという印象だ。
水もたっぷり使って強い水圧と回転で恐らく絨毯の毛足の根元にたまった汚れも洗い流してくれたことだろう。
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