クルマを長く乗り続けていると、エンジンのパワーが落ちたように感じたり、ブルブルという振動が大きくなったり、なんとなく燃費が悪くなったりと、エンジンに変化を感じることはありませんか?
そんな時におすすめなのが「ガソリン添加剤」です。
本記事では、ガソリン添加剤とは何か、どんな効果が期待できるのかをご紹介しながら、その選び方をご紹介していきます。
文:立花義人
写真:Adobe Stock、編集部
ガソリン添加剤はいつ入れるべき?

ガソリン添加剤の主な役割は、「エンジン内部(燃焼室)や、燃料供給系統の性能維持」です。そのため、添加剤を入れた瞬間にパワーが上がるとか、燃費が良くなる、という効果を期待することはできません。
走行距離が伸びていくにつれ、燃焼室や気化器、燃料供給系統などは、ガソリンに含まれる不純物などによって、徐々に汚れていきます。
また、長期間にわたって車に乗らなかった場合や、普段ほとんど車を利用せず、使うとしても近所をちょっと乗るだけで全然ガソリンを消費していない、といった場合にも、注意が必要です。
「ガソリンは放置しておくと腐る」という話を聞いたことはありませんか? 実際は「腐る」というよりも「劣化」といったほうが正しいです。
保管の状況や環境にもよりますが、ガソリンは劣化すると、ひどい場合は緑色に変色し、ヘドロのようなドロドロとした堆積物が溜まり、異臭を放つようになります。
そうしたガソリンを使うことで、エンジンはますます、本来のパワーを出せずに弱っていきます。
こうした状態になってしまう前にガソリン添加剤を使用することで、劣化したガソリンの堆積物を、ガソリンの中に溶け込ませて燃料供給系統を洗浄し、同時に燃焼させることによって燃焼室内のカーボン、スラッジも分解することができます。
そのため、ガソリン添加剤は、ある程度距離を走ったクルマや、しばらく走っていなかったクルマなどに使用すると、より効果があると言えます。
ガソリン添加剤は何でできている?

市販されているガソリン添加剤の主成分は、PEA(ポリエーテルアミン)という物質です。
PEAは非常に還元力(酸化の逆の作用)が高く、カーボンやオイル汚れなどを強力に溶かし、取り除くことができます。溶かされた汚れはガソリンと混ざり、燃焼室で一緒に燃やされることで処理されます。
比較的安価なガソリン添加剤の中には、特殊なアルコールを洗浄剤の主成分としている商品も販売されています。アルコールも油分を強力に溶かすことができますので、添加剤としては充分に役割を果たします。
しかし、燃料供給系統やエンジン内部にあるパッキンなどのゴムに、アルコールが付着すると、ゴムにダメージを与えてボロボロにしてしまいかねません。
そのため、各部品の長期的な保護という観点で考えると、アルコールを主成分としたガソリン添加剤を頻繁に用いるのは、控えた方がいいでしょう。
また、ガソリン添加剤は、たくさん入れれば効果が上がる、というものではありません。
濃度が濃すぎても上手く燃焼せず、パワーダウンを感じてしまうことがあるかもしれませんので、メーカーが指定する濃度(ほとんどの場合、濃度1%以下)を守るようにしましょう。
定番からコスパ重視まで【目的別】オススメ添加剤はコレ!
【1】イチ押しの定番 添加剤はコレ!
ガソリン添加剤のうち最もメジャーなのは、「ワコーズ フューエルワン」でしょう。筆者も、走行距離10万km以上のクルマに以前使用したことがありますが、エンジンのレスポンス向上やアイドリング時の振動の減少を確認できました。長期間使用していなかった、バイクや農機具などのエンジンにも、効果が期待できます。
■ワコーズ/F-1 フューエルワン ガソリン(2サイクル・4サイクル)・ディーゼル兼用洗浄系燃料添加剤 200ml
最高純度のPEAと相性の良いIVD清浄剤を組み合わせ高濃度に配合し、その効果を最大限に引き出す成分構成としたことで、従来のエンジンはもちろん、近年の省燃費エンジンに最適化し清浄効果を強化しました。
【2】より強力な効果を求めるならコレ!
添加剤の主成分PEAの純度を100%に高めた、より洗浄力の強い「タービュランス GA-01」という添加剤もあります。こちらは、エンジンのノッキングがひどい場合や、明らかなパワー不足を感じる時に使用することをお勧めします。
■Turbulence(タービュランス)/GA-01/Fuel Additive(燃料添加剤)/清浄剤(変性ポリエーテルアミン100%)/ガソリン車専用/150ML
経年変化による吸気バルブ・噴射ノズル、そして燃焼室の内部(ピストンヘッド&シリンダーヘッド)の汚れを取り除き、エンジンを新車の状態に近づけリフレッシュさせるガソリン用清浄剤です。誰でも簡単に使用できます。
【3】4サイクルガソリン車専用、低価格重視ならコレ!
低価格でガソリン添加剤の効果をお試ししてみたい、という方は、「ホルツ プレストン スーパーパフォーマンス」はいかがでしょうか。
低価格ですが、主成分をPEAとしているのが特徴です。ただし、4サイクルガソリン車専用となり、他のエンジンには使用できませんのでご注意ください。
■ホルツ/ガソリン添加剤 プレストン スーパーパフォーマンス
・PS-PEA(プレストンスペシャル ポリエーテルアミン高配合)
・堆積物を最大83%まで削減
・燃料悪化やトラブルの原因となるインジェクター、吸気バルブ、燃焼室の汚れを洗浄
・燃費を回復させ、さらに排気ガスを減らします
エンジンオイルの添加剤もある!?

添加剤というと、ガソリン添加剤のことをいう場合がほとんどだと思いますが、実はエンジンオイルと混ぜて使用する添加剤もあります。
エンジンオイルには、潤滑以外にも内部の洗浄や冷却、密閉性の確保、部品の劣化防止など様々な役割がありますが、その様々な役割に対応するために、いろいろな添加物が配合されています。
エンジンオイルの添加剤は、これらの役割をさらに向上させる効果があります。エンジンオイルの性能をさらに高めたい、という場合に使用すると良いでしょう。
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愛車のエンジンが不調になったり、燃費が低下してしまうことには様々な原因が考えられますので、これらをガソリン添加剤だけで解決できるとは言い切れません。
「入れたら調子が良くなった!」と感じる方も多いようですし、それほど高価なものではありませんので、気になる方は一度試してみることをオススメします。