■先進的なメカニズムを搭載して走りでも次世代乗用車をアピール
見た目や機能以外の面でも次世代乗用車を目指した作り込みがなされている。パワーユニットはBEAMS 3S-FSEエンジンを搭載。燃料をシリンダー内に直接噴射することで空燃比50:1の超希薄燃焼を可能としたうえで、VVT-i、ロングデュアルシータエキゾーストパイプを採用することで、レギュラーガソリン仕様ながら145ps/20.0kgmという高出力と大トルクを確保。
応答性のいい燃料供給も相まって、ハイレスポンスを実現している。特に街なかで多用する低中回転域のトルク特性に優れていたことから、扱いやすく滑らかな走りを持ち味としながら、排出ガスレベルは規制値に対して8万km走行後でも70%以上の低減を可能にする地球環境に優しいという特徴も有していた。
サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式独立懸架、リアはトーションビーム式を採用。ジオメトリーの最適化を図るとともに、高剛性ボディと相まって優れた操縦安定性と乗り心地を両立した。
また、ステアリングギヤ部にローラー式のラックガイドと高精度ピニオンギヤを備えてステリング剛性を高めたことが功を奏し、ナチュラルな操舵フィーリングを実現していたことも気持ちのいい走りをもたらす要因となっていた。
駆動方式はFFを主体としていたが、行動派のユーザーに対応するべくアクティブトルクコントロール式の4WD仕様をラインナップ。リアディファレンシャルに電子制御カップリングを搭載した4WDシステムは、各種センサーからの入力信号によって通常状態では燃費のいいFFに近い駆動力配分としながら、雪道など滑りやすい路面になると前後輪を最適な駆動力配分を行う当時としては先進的なもの。これにより、路面状況を問わず優れた安定性が確保し、つねに安心してドライブできた。
デザイン、機能、走行性能など、あらゆる部分において次世代乗用車として意欲的な作りがなされていたが、ナディアに対する市場の反応はやや醒めたものだったことは否めない。
当時市場に流通していた一般的なセダンと比較しても居住性ではひけをとらなかったし、実用面でもワゴンとミニバンのいいところをうまく採り入れて幅広い用途に柔軟に対応できる能力を持っていた。
クロスオーバーが一般化し、1台でいろいろなことができるクルマが支持されるようになった現代ならウケたかもしれないが、当時はセダンやワゴンの選択肢が数多く存在し、ミニバンには3列シートという強みがあった。
セダンでもワゴンでも、ミニバンでもなかったナディアが、そんな既存の枠組みを打破するにいたらなかったというのが、次世代乗用車として魅力的なクルマだったにもかかわらず販売が振るわなかった理由だろう。
しかし、ナディアは局所的に見ればいいクルマであり、なにより「次世代のクルマはこうなる」という部分を明確に示し、クロスオーバーモデルの誕生と土壌の醸成に寄与したといっても過言ではない。
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