ユーザー層はこれまでと変わっていない
現行クラウンは若返りを目指しスポーティ&スタイリッシュなデザインを採用したわけだが、この結果若者ユーザーにはどうアピールできているか。
トヨタ販売店筋によると、「40歳から70歳までのユーザー層は変わっていない。硬すぎる、スポーティ過ぎるとの評価の多くは、長い間歴代クラウンのコアユーザーである法人、会社役員、ミドル以上の高額所得者の指摘といえる」(トヨタ店営業担当者)と語る。
実際に試乗をしたユーザーのなかには、スポーティすぎる、乗り味が硬すぎる、という理由で購入を回避することもあるという。
実際に今後の商品戦略としてはRSにGRスポーツの設定を検討していたが、クラウンのコンセプトとユーザー層にはニーズがないとして当面は先送りになっている。
ノーマルモデルよりもさらに足回りなどを強化したGRスポーツはこのままお蔵入りとなってしまう可能性が高い。
値引きは合計30万円ほど
現行クラウンの首都圏にける売れ筋グレードやエンジン構成はスポーティなRSが約60%、ハイブリッド比率は70%、大半は2.5Lとなっている。
つい最近では2019年7月に投入した買い得の特別仕様車「エレガンス スタイル」の売れ行きが高まる傾向にある。10月には同じく特別仕様車の「スポーツ スタイル」を追加するなど積極攻勢をかけている印象だ。
では、実際に売れ筋のRSについて見積もりを取ってみた。
車両本体価格590万7000円の2.5RSアドバンス(FR)のホワイトパールにITSコネクト、ETC2.0、パノラミックビューモニター、デジタルインナーミラー、プレミアムコーティング、フロアマット、ハーフシートカバー、サイドバイザーなどのオプションパーツ約35万円をつけて弾いて貰うと法定&法定外諸費用込みで670万円弱と出た。
値引きは初回回答で車両本体から10万円、用品10万円、用品サービス10万円、合計30万円となっている。
首都圏のトヨタ店各社は年末までのセールで1.9%と通常よりも1.6ポイント低い低金利の残価設定クレジットで売り込みを強化している販社もある。
証言1:首都圏トヨタ店営業担当者
クラウンは国内では独り勝ちになっているが、セダン市場が極端な低迷状態になっており、厳しい曲面を迎えている。
現行モデルでスポーティ&スタイリッシュなデザインとし、走り、クオリティ、安全対策なども最高に進化させたが、ユーザー層は40~70代と変わっていない。30代で個人事業主といった若い高額所得者はクラウンではなくレクサスに代替えするケースが目立っている。
「クラウン」というブランドがかつてのような「いつかはクラウン」といった憧れのクルマから「金持ちのお年寄りのクルマ」のイメージに変化している。
また「アルファード/ヴェルファイア」のほうにステータス性がシフトしているのも、クラウンニーズの頭打ちを助長させる要因にもなっている。
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