【どうしてエアロパーツは少なくなったのか?】その効果はあるのか?

エアロパーツを開発しにくいクルマが増えたのも理由の1つ

 インプレッサのバンパー内にはシリコンチューブが埋め込まれている。衝撃を検知するのは、バンパー内部にあるこのシリコンチューブで、それが潰れる際、内部のシリコンがどれだけ押し出されるのかをセンサーで計測している
インプレッサのバンパー内にはシリコンチューブが埋め込まれている。衝撃を検知するのは、バンパー内部にあるこのシリコンチューブで、それが潰れる際、内部のシリコンがどれだけ押し出されるのかをセンサーで計測している

 「エアロパーツを装着するクルマが減ったのは、バンパーやフロントグリルにいろいろセンサー類が組み込まれることになったことも影響していますね」。

 そう語るのは、国産車からドイツ車まで幅広くオリジナルのエアロパーツを手がける老舗メーカーの一つ、ガレージベリーの広報担当、室井さんだ。

 フロントグリルやグリル一体型のバンパーにミリ波レーダー装置や超音波センサー、バンパーコーナー裏側にミリ波レーダー装置を備えたクルマも増えており、その機能を損なわないためには、バンパーやグリルの交換は非常にシビアな作業となってしまったのだ。

 バンパースポイラーがすっかり少なくなってしまったのは、ノーマルバンパーの出来が良くなっただけでなく、技術的なハードルが上がってしまったため、リスク回避のためにユーザーもエアロメーカーも敬遠するようになった、という背景もあるのだった。

 そして現在売れ筋のパーツや車種はと尋ねてみると、

「今売れているのは、軽バン用のエアロパーツですね。ダイハツハイゼットやスズキエブリィなどのパーツがよく出ています」と意外な回答が。

 それらはハイエースなどと同じように仕事で使うクルマだが、プライベートでも使うためか、仲間内で個性を競うためか理由は分からないが、軽バンのエアロが人気とは面白い傾向だ。

ノーマルのボディにもエアロパーツは付けられている

 スポーティなハッチバックや、ミニバンはノーマルのまま乗られているオーナーが圧倒的に多いが、実はエアロパーツは、そうしたノーマル状態のクルマにたくさん採用されている。

 バンパーボトムやそこから続くアンダーボディに整流のためのパネルなどを装着しているクルマも多い。

 これらはコストアップや重量増につながるが、それ以上に空力性能向上による燃費向上効果があるから採用されているものだ。

 こうした発想は、すでに1980年代から存在していて、メルセデスベンツはわざわざ足回りの部品に樹脂パーツを装着して空気抵抗を減らしていたほどだ。

 アンダーフロアの前後輪タイヤの前、タイヤハウスの前端部に板のようなパーツが突き出たクルマも多い。

 これはタイヤディフレクター、またはストレーキと呼ばれている。タイヤに当たる空気を下向きに整流することで、タイヤが空気を撹拌することで起こる乱流を軽減するもので、コンパクトカーでも効果があるものだ。

タイヤディフレクターはタイヤに当たる空気の量を減らすことでタイヤハウスの空気が抜けやすくなり空気抵抗が減るという仕組み
タイヤディフレクターはタイヤに当たる空気の量を減らすことでタイヤハウスの空気が抜けやすくなり空気抵抗が減るという仕組み

 トヨタが採用するエアロスタビライジングフィンも立派なエアロパーツだ。これはテールランプの角に突起を付けることでボディ表面を流れる空気を整流し、走行時の安定性を高める。86などのスポーツカーだけでなく、ハイエースにも採用されるほど、効果は高いものだ。

合成ラバー製のトヨタ86用エアロスタビライジングフィン。 気流に小さな渦を発生させることで車体を左右から押さえつけ、操縦安定性を確保
合成ラバー製のトヨタ86用エアロスタビライジングフィン。 気流に小さな渦を発生させることで車体を左右から押さえつけ、操縦安定性を確保

 シャッターグリルを採用しているクルマも増えてきた。これはフロントグリルに付けられているシャッターを閉めることでエンジン冷間時は暖気時間を短縮させ、高速巡航時は空気抵抗を減らせる効果がある装備だ。

CR-Vのアクティブシャッターグリル
CR-Vのアクティブシャッターグリル
レガシィアウトバックのアクティブグリルシャッター
レガシィアウトバックのアクティブグリルシャッター

次ページは : カスタムグレード人気によるエアロの標準化も理由だった!

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