【どうしてエアロパーツは少なくなったのか?】その効果はあるのか?


 1980年~1990年代にかけて、エアロパーツが流行した。クルマ好きの50~60代のオジサン世代だったら懐かしいと思うに違いない。

 ハイソカーブームの時にアウトフォルムやオートピスタのソアラ、カリーナEDをはじめ、JZX100系チェイサー、そして映画『ワイルドスピード』で話題となったランエボやスープラなど、かつてはエアロパーツを装着したクルマをよくみかけたが、最近ではめっきり少なくなった。

 そこで、なぜエアロパーツ装着車が少なくなったのか? 法規制の影響もあるのか? さらにエアロパーツの効果はあるのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。

文/高根英幸
写真/ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】オートピスタ ヴェイルサイド 懐かしのエアロパーツ装着車たち


なぜエアロパーツ装着車は少なくなったのか?

 クルマにとって最も大きな損失は、走行中の空気抵抗だ。タイヤの転がり抵抗やブレーキ、エンジンや駆動系の摩擦損失などもあるが、速度を上げるほど大きくなる空気抵抗は、速度の2乗に比例して増えていくため、80km/h以上の高速走行時ではほかの抵抗とは比べ物にならないほど大きなものになる。

 プリウスなどのエコカーが空気抵抗を極限まで減らそうとデザイン面でも努力しているのは、そのためだ。

 そんな空気抵抗を軽減して、スポーティなルックスまで手に入れるカスタムが、エアロパーツ装着だ。

 1990年代にクルマのカスタマイズがブームとなって、エアロパーツは大流行した。あらゆる車種にスポイラーやウイングが用意され、ノーマルがやや野暮ったいデザインのクルマでもアルミホイールとエアロパーツを装着すれば、格段にスポーティに見えるようになった。昔は落ち着いたデザインのクルマが多かったから、そのギャップが魅力だったクルマも多かったのだ。

 もっともスタイリングを重視したエアロパーツは、むしろ空気抵抗が増えてしまうものも珍しくない。風洞実験などを行なって開発しているのは、自動車メーカー純正のエアロパーツくらいだから、あくまでエアロパーツは空気の流れをイメージして造形を作り上げているものが大半だからだ。

 そんな風にクルマをドレスアップするブームはすっかり落ち着き、気が付けば街を走るクルマはノーマルばかり、という当時を懐かしんでいるクルマ好きも少なくないようだ。

 経済性を重視したエコカーが大半になったのだから、クルマに余分なお金を掛けたくない、というユーザー心理が働くのも当然のことだ。プリウスをドレスアップしているのは極めて少数派なのも当たり前なのである。

効果がある? ない? エアロパーツの効果のほどは?

フロントリップスポイラー、バンパーサイドカナード、そして片側21mmずつ拡大したワイドフェンダーで武装するSTIのコンプリートカーS209(日本未発売)。フロントフェンダー上のエアダクトはエンジンルーム内の熱を逃がす、これまでにない構造

 デザイナーが空気の流れをイメージして造形しているエアロパーツでも、実際に走行してみると空力特性改善の効果を体感できるものもある。

 フロントリップスポイラーは、ボディの底部を流れる空気を減らす効果が期待出来るため、高速走行時の安定性を高めてくれるものも多い。

 フロントバンパーの両サイドに追加するカナードは、角度によってダウンフォースを発生させるが、その分サイドスカートも車高を低く見せて、いかにも空気抵抗を減らしてくれそうなアイテムだが、実際には純正のアンダーボトム(フロアパネルの裏側)も空気の流れを考慮した設計になっているから、最近はボトムをワイドに見せるための平板状のサイドスカートも増えている。

 一方でリアバンパーの底部に追加するリアアンダースポイラーなどは、クルマの底部を流れる空気を堰き止めてしまうので、空気抵抗を増やしてしまう商品も珍しくない。

 トランクやリアゲートに装着するリアスポイラーは、高速走行時にボディを下に押し付けるダウンフォースを発生させるが、小さなタイプは効果も少ないが抵抗にもなりにくいので、スタイリング上のアクセントとしては人気のアイテムだ。

 そのなかでもGTウイングは、見た目だけで本当に効果があるのか? と疑問に思った人もいるかもしれない。GTウイングを設置するメリットとしては以下のようなものがある。

●高速走行時に車体を安定させることができる
●急なブレーキング操作に対しても安定した制動力を発揮する
●リアタイヤの接地性が上がりスピンが起こりにくくなる

 逆にGTウイングを装着するとどんなデメリットが生まれるか?

●総重量が増えるので燃費が悪くなる
●空気抵抗が増えるので加速性が悪くなる
●車体が振動しやすくなる

 また、これだけ派手な見た目だから車検は通るのかと気になる人も多いだろう。GTウイングを取り付けていても道路運送車両の保安基準第18条「車枠及び車体」に関する項目などを満たしていれば車検は通るのだ。

 道路運送車両の保安基準では、GTウイングやリアスポイラーなどのエアロパーツを装着する際に満たすべき条件を課している。

●溶接、ボルト、ナット、接着剤などで確実に固定されていること
●先端部の形状は鋭利ではなく半径5mm以上の丸みを持っている
●左右の翼端が車両の最外側から165mm未満であれば、車体と翼端の隙間は20mm以下であること
●先端部の形状は鋭利ではなく、半径5mm以上の丸みを持っている
●左右の翼端が車両の最外側から165mm未満であれば、車体と翼端の隙間は20mm以下であること

 つまり、GTウイングが車検を通すための満たすべき条件は、リアバンパー後端よりはみ出してはいないこと、先端部が鋭利ではなくて丸みを帯びていること、ボディ最外側からウイングの端までの距離が165mm未満であること、車体とウイング端の隙間は20mm以下としなければならないことだ。

 GTウイングの取り付けは、強度を確保するためにステーの曲面に合わせて土台を作る必要がある場合もあるので専門業者に任せた方がいいだろう。

TRD製のトヨタ86用GTウイング

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