日本を大事にしないクルマ5/マーチ
トヨタ車や軽自動車に対して“勝ち目のない勝負はしない”というカルロス・ゴーンのビジネス哲学の結果ゆえか、かつての存在感をすっかり失ってしまった。
生産地(タイ王国)に文句を付けるというより、もう少し質感などの努力が払われてもよいのではないか。
日本市場では軽自動車が売れればよいというような解釈は商売としては真っ当ともいえるが、果たしてフルラインナップメーカーとしてのマーケットに対する姿勢として正しいのかどうか疑問だ。
欧州で販売されているマイクラを日本で販売してほしいという声も多い。ボディサイズは全長3995×全幅1743×全高1455mmと全幅は少しワイドで3ナンバー車になるが、全長は4100mmのノートよりも短く、ホンダ フィットと同程度だ。
いずれにしても日本のマーチ、欧州のマイクラどちらも日本市場を大事にしていないのは明白だが……。
日本を大事にしないクルマ6/カムリ
カムリは元を辿ると“セリカカムリ”であり、日本国内に向けて開発されていた経緯がある。
6代目(1996~2001年)は3ナンバーサイズとなって変貌を遂げ、その後は北米市場を販売のメインターゲットとして、北米市場のミドルクラスセダンとして、販売台数のトップを争う基幹車種として「米国戦略車」となった。
現行カムリに関しては標準車は北米市場メインで日本市場を大事にしていないと言い切れるが、追加されたスポーティな仕様のWSは例外だ。
カムリWSは、海外仕様をそのまま日本にもってきたわけではなく、日本で売るために、足回りを徹底的にやり直している。
ショックアブソーバーのロッドの摺動部分、具体的には「ロッドガイドブッシュ」「ピストンバンド」や摺動を支えている材料そのものであるオイルを新たに開発。
オイルとバルブで発生する通常の減衰力に加え、0.01m/秒以下の微低速の際に摺動部に発生する初期の摩擦運動を減衰力に変えることで、カムリらしい乗り心地を損なわずに操安性を向上させているという。ぜひ標準グレードも日本を大事にしてほしいものである。
日本を大事にしないクルマ7/ホンダNSX
2015年に米国デトロイトショーでワールドプレミア、続く2016年に日本でも発表された現行NSXは、当初開発責任者をアメリカ人が務め、パワートレインの開発を日本側で実施していたことで話題となった。
北米市場のアキュラブランドとしてラインナップされるNSXのスポーツカーとしての販売の軸足はあくまで北米市場にある。
2018年のマイナーチェンジ(北米市場では2019イヤーモデル)では、開発責任者がアメリカン人から日本人の水上聡氏に変わったことで、胸をなで下ろしたホンダファンも多いだろう。 細かくいえば、ゼロからの先行開発は日本で、シャシーの基本設計は日本、仕上げはアメリカのシャシー開発部隊、パワートレイン全般は日本という、いわば日米合作ということになる。
日本を大事にしないクルマ8/アコード
北米市場でのトップセールスモデルの座をカムリと争うアコード。日本市場での新型導入は遅れに遅れてしまい、2017年の北米市場での新型発表から2年以上を経て、2019年10月の東京モーターショーでお披露目され、2020年初頭に日本国内でも導入されることが発表された。
セダンが売りにくいのは重々承知しているが、インターネットを通して情報が即時に入ってくる時代にほったらかし状態はいかがなものか。
ホンダが3極体制で生み出したグローバルプラットフォームの出来はシビック(とハイブリッド仕様のインサイト)で確認ずみだから、期待してしばし待つことにしよう。
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