■卓越したパフォーマンスによって実用車の概念を覆す
スポーティな走りが味わえるのもブリットのセールスポイントだった。パワーユニットは2.5Lターボをはじめ、2.5L、2.0Lの自然吸気エンジンを用意する。いずれも車格に見合う動力性能を持ち味とするが、なかでも2.5Lターボは、低回転域から太いトルクをなめらかに発生させるエンジントルク制御を採用することで、パワフルかつスムーズな走りが味わえた。
売れ筋は2.5L直噴の1JZ-FSEエンジンとなる。直噴化によって超希薄燃焼を可能とし、さらにインジェクターによる燃料噴霧の高分散化、燃料噴霧形状とビストン頂面形状の最適化を追求することで超希薄燃焼領域を拡大。スーパーインテリジェント5速ATの効果も相まって、力強い走りとアクセルワークにリニアに応える優れたドライバビリティを実現しながらクラストップレベルの低燃費を達成していた。
足まわりの特性も“ワゴン=実用車”という概念を覆すものとなっていた。ヨー慣性モーメントを抑えられるFRプラットフォームの恩恵により、操舵に対する応答性が優れ、荒れた路面における収束性も抜群にいい。
特に圧ガスを封入した気液分離タイプを採用し減衰力追従性を高めた新開発リアショックアブソーバー効果は絶大で、状況を問わずハイレベルな操縦性と走行安定性、さらに快適な乗り心地を両立した。
ワゴンの場合、積載する荷物の量による走りへの影響が懸念されるが、ブリットにはセルフレベリング機能が設けられており、乗車人数や荷物積載の量にかかわらず安定した走りと、なめらかな乗り心地が味わえた。
ワゴンでありながら、スポーティなパフォーマンスを持ち味としながら実用性についてもユーザーを満足させるという点では、セダンよりも売れ筋になる要素を持ち、ユーザーの満足度が高いクルマだったのは間違いない。
しかし、実用系車種としてミニバンが市場で急速に勢力を拡大していた状況では販売台数は振るわなかった。そもそもベースとなるセダンのマークIIは販売不振の影響を受け、2004年にモデルチェンジしたのを機に車名を「マークX」へと変更している。しかしブリットはそのまま販売を継続し、「マークII」のネーミングはブリットのみが引き継いだ。
2004年12月には意匠の小変更とテールランプのLED化を実施し、2006年5月にはブリットのスポーティイメージを牽引したターボエンジン搭載車が、排気ガス対策の影響で生産を終了。そして、2007年6月にはブリットそのものが販売を終了した。後継モデルは登場しなかったが、実用的なステーションワゴンでありながら、走りを心底楽しむことができた、なかなかの実力車だったといっていい。
【画像ギャラリー】上質さとワゴンの使いやすさを両立していたマークIIブリットの写真をもっと見る!(5枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方クオリスに乗ってました。クオリスより上質感のあるクルマでしたが、スタイリングが霊柩車のようで私的にはNGでした。
以前乗っていました。とても広い荷室と引き換えに少し腰高で特異な見た目のため、車高下げやモール・グリル等変更しました。社外ナビ化も。
弱点はそれくらいで、購入前から国産有数と聞いていたエンジン音や、ステージアを上回るスポーツ性能とハンドリング、メーターやインパネ等常に目に入る部分の高級感…
とても良い車でした。雪道も普通に走ってました