【グランエースは世界一のミニバンか?】対抗できるのはレクサスLMだけ?

 先日閉幕した東京モーターショーで大勢の来場者にお披露目されたトヨタグランエース。全長5m以上のボディサイズの車内にはおもてなしの空間を提供しており、3列目はもちろん、4列目までシートを設置したグレードまでラインナップ。

 3列7人乗りシートは数多くあるが、4列以上のシートがある車種だとハイエースワゴンや日産NV350キャラバンワゴンがあるが、4席まで上質感を持たせたモデルというのは国産車では他にない。実際、グランエースはホテルや旅館などの送迎用として開発されたそうで、くつろぎと上質感に満ちたスペースを実現しているのだ。

 グランエースのグレードは、3列シート6人乗り「プレミアム」が650万円、4列シート8人乗り「G」が620万円の2種類をラインナップ。すでに2019年10月末より受注を開始しており、正式発表は2019年11月25日、発売日は12月16日。納車時期は2月から3月を予定している。

 さて、ここで改めてグランエースの魅力を紹介するとともに、最大のライバルとされる、ベンツVクラスやアルファードベースの高級ミニバン、レクサスLMと徹底比較。グランエースは世界一のミニバンなのか検証していきたい。

文/野里卓也
写真/ベストカーWEB編集部

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全長5300mm、全幅1970mmという巨漢にオラオラ顔の威圧感

アルファードに比べるとフロントマスクは大人しく感じるが、ボディサイズ自体がふた回りも大きいため威圧感を感じる

 グランエースの全長は5300mmもあり、全幅は1970mm、全高は1990mmもあり、そのボリューム感はアルファード/ヴェルファイアの比ではない。アルファードに比べて全長は350mm長く、全幅は120mm広く、全高も40mm高い。

 顔立ちはアルファード&ヴェルファイアに比べて少し大人しいが、体格で圧倒する。基本プラットフォームは縦置きエンジン後輪駆動のレイアウトを採用している。

 これは8名乗車時の重量を支える車体剛性や後軸への荷重などを考慮すると後輪駆動でないと成立しないため、堂々たるサイズ感になっている。

 一見すると無条件にアルファード&ヴェルファイアより広そうだが、実は使い方、乗車定員の変化によって、そうでもなかったりするのだ。

 例えば、5~6名で乗車して、長距離を移動する機会の多いユーザーにとって、グランエースはアルファード&ヴェルファイアよりも上級だが、逆に4名で乗車して、自転車のような大きな荷物を積みたい場合は、グランエースは上級とはいえない。

 6人乗りの3列目は、エグゼクティブパワーシートと同様で、格納して荷室に変更できないためだ。グランエースの積載性は大幅に下がるためだ。

 同じグランエースでも、4列シートの8人乗りなら4列目の座面を持ち上げて前方へ寄せられるが、このタイプはマイクロバス的な仕様だから各シートの足元空間が狭く、ビジネス向けで一般ユーザーには不向き。4名以内で乗車する用途では、グランエースは無駄が生じて荷室の使い勝手も悪くなるのだ。

 このほかグランエースの全幅は1970mmもあるため、自宅周辺の道路や車庫が狭い、ハイブリッドが欲しい(グランエースのエンジンはクリーンディーゼルターボのみ)といったニーズにも対応できないのだ。

グランエース(6人乗り)の室内。全席、エグゼクティブパワーシートに準じた豪華な造りで座り心地は抜群
グランエース(8人乗り)は6人乗りに比べて、前後のスペースがかなり狭くなる。4列目シートは造りも簡素だ

■グランエースの概要
●ボディサイズ:全長5300×全幅1970×全高1990mm
●エンジン:2.8L、直4ディーゼルターボ(最高出力:176ps/3400rpm、最大トルク:45.9kgm/1600~2400rpm
●燃費:WLTCモード燃費/10.0km/L。市街地モード燃費/8.1km/L、郊外モード燃費/9.9km/L、高速道路モード燃費/11.2km/L
●主な装備:2/3列キャプテンシート(電動リクライニング&オットマン、シートヒーター装備)、Toyota Safety Sense(先進装備のプリクラッシュセーフティ採用)、インテリジェンスクリアランスソナーなど
●価格
3列シート6人乗り「プレミアム」が650万円、4列シート8人乗りの「G」が620万円。

 ただし、6人以上が広々としたスペースで座り、落ち着いて移動できる空間を備えたモデルとなると、国産車ではライバル不在といってもいいだろう。

 というわけで日本では右に出るモノなしのモデルだが、海外勢に目を向けると強力なライバルたちがいる。

最大のライバルはベンツVクラス!

最新のメルセデスベンツのデザイン言語を取り入れ、フロントフェイスを中心に大幅にデザインを刷新。3つあったエアインテークを1つにまとめることで開口部を拡大したフロントバンパー、その左右にはクロームを採用し、スポーティなデザインとなった
エクスクルーシブシートパッケージをオプション設定。2列目に高級感のあるエクスクルーシブシート(ブラックもしくはベージュ)を採用し、ヘッドレストクッション、オットマン、リラクゼーション機能などを装備し、上質な移動空間を提供。また、シートヒーターと、熱や湿気を内蔵ファンで除去するシートベンチレーターも備えている

 まずは、東京モーターショーで披露されたマイナーチェンジ版メルセデスベンツVクラスだ。2.2Lのディーゼルを搭載し、フロントデザインも一新している。

 定員乗車7人で3列シートを設定し、さらに高級感を高めるために2列目シートにはオプションで、オットマンやリラクゼーション機能のほか、シートヒーターとベンチレーションまで備えたエクスクルーシブシートパッケージを用意。

 先進装備には自動ハイビームシステムやドライバーの疲労や眠気を検知して注意力を喚起するシステムを標準装備する。

 ラインナップには標準とロングボディの設定があり、4MATICのラインアップはなし。そのほかメルセデスにお馴じみのCOMANDシステムも採用されている。

■メルセデスベンツVクラスの概要
●ボディサイズ:全長5140×全幅1928×全高1901mm
●エンジン:2.2L、直4ディーゼルターボ(最高出力:163ps/3800rpm、最大トルク:38.7kgm/1400~2400rpm
●主な装備:2列エクスクルーシブシート(オプション)、「クロスウインドアシスト」、「アダプティブハイビームアシスト・プラス」、「アテンションシステム」、COMANDシステムなど
●価格:V220d:740万円、V220dアバンギャルドロング:740万円、V220dアバンギャルドエクストラロング:790万円。

 マイナーチェンジ版Vクラスは従来モデルとは異なり、乗用車と商用車のラインを分けて生産するようになったという。

 いずれのラインも工場は同じというものの、新型は乗用車のラインで生産をするようになったことで「インテリアの質感が大きく向上した。世代でいうと2世代くらいの進化。

 また、アンビエントライト(間接照明)やエクスクルーシブシートを装着できるようになったのもこの恩恵があるはず」(メルセデスベンツ広報部)というから、グランエースのライバルといっていいだろう。

2019年4月の上海モーターショーで発表されたレクサスLM

レクサスLSに搭載されるパワートレインは2.5Lハイブリッドで、ほかに3.5L、V6エンジンを搭載するLM350も用意される

 2019年4月の上海ショーで公開されたレクサス LM300h。写真をご覧になればわかるとおり、これはアルファード/ヴェルファイアのレクサスバージョン。

 レクサスファミリーに共通するフロントマスクや、サイドに配されたクロームの加飾を取り除けば、外観はほとんどアル/ヴェルと変わっていないことがわかる。

レクサスLM300hのリアスタイル。全長×全幅×全高は5040×1850×1945mm。アルファード比で全幅は変わらないものの、全長で90mm、全高は10mm拡大されている

 チーフエンジニアの吉岡憲一氏によると、アジア圏(とりわけ中国)のショーファードリブンカーの需要拡大は著しく、プレミアムミニバンの広さ、快適性を味わってしまうと、どんな豪華セダンでも狭苦しく感じて戻れなくなってしまうという。

 アルファードのエグゼクティブラウンジをベースにし、2列シートで乗車定員は4人の設定。

 後席前にはテレビモニターまで装備。豪華なリムジンのような仕様となっている。また、シート自体もフロアから伝わる不快な振動を排除するために、作りそのものまでこだわった仕様となっている。

 一方で走りもベースモデルと比べて剛性を向上させ、足回りまでも乗り心地重視でセッティングを煮詰めたというから相当スキがないレベルに仕上がっているという。

レクサスLMの内装。3列目を廃し、2名掛けとして後席の快適性に特化。ミニバンの枠を越え、上級セダンにも劣らないパッセンジャーファーストの設計とされている

※ボディサイズやエンジンはベースモデルで、価格は予想価格

■レクサスLMの概要
●ボディサイズ:全長4945×全幅1850×全高1935mm(アルファード・エグゼクティブラウンジ)
●エンジン:2.5L、直4ハイブリッド&3.5L、V6エンジン
●主な装備:2列目エグゼクティブラウンジシート、Toyota Safety Sense(先進装備のプリクラッシュセーフティ採用)、インテリジェンスクリアランスソナーなど
●価格:予想価格は2000万円

 レクサスLMの発売時期だが、レクサス販売店筋によると「レクサスLM300hはまず、中国やアジアの一部で2020年秋頃発売になり、日本にはその1年後の2021年秋頃の投入する方向で開発中というのが有力になっている」という。

VWのLクラス高級ミニバンT6

VWの高級ミニバン、T6

 さて、異色ではあるが、先に紹介したメルセデスベンツのVクラスに続き、同じドイツにも多人数乗車の好敵手がいる。VWのT6だ。

日本では正規で輸入されていないものの、一部の並行輸入業者が導入している。乗用車というよりは商用に近いモデルで、VWの質実剛健なイメージそのものである。ルーフにポップアップルーフ(ルーフベッド内蔵)と車内にキッチンを備えたキャンピング仕様の「カリフォルニア・オーシャン」もあるが、3列シートで定員乗車7人の「カラベル」を取り上げた。

ボディサイズや価格は以下の通りだ。

■VW T6概要
●ボディサイズ:全長4904×全幅1904×全高1990mm
●エンジン:2L、直4ターボ:最大出力:150ps仕様/204ps仕様。2L、直4ディーゼルターボ・最大出力:150ps仕様/204ps仕様(イギリス仕様車)
●主な装備:クルーズコントロール、衝突防止自動ブレーキ、電子制御ダンパー、サブバッテリー(メインバッテリーとは別に車中泊用に使うバッテリー)など
●価格:1100万円(車両価格)

取材協力:こだわり輸入車のコアカーズ YMワークス

 大阪に本社を置く並行・逆輸入モデルに強いYMワークスによれば、「T6はトランスポーターという位置づけだが、上級の乗用モデルはカラベルという名称が与えられており、充実した装備で高級車と呼んでも差し支えないレベル」だという。

 さて、このT6だが、マイナーチェンジ版とされるT7がまもなく発表されるという噂がある、しかし、YMワークスによると「まだ全然情報が入ってこない。日本にはまだまだ先の話だろう」とのことだ。

まとめ

今後この顔が街を走っているシーンを多く見かけることになる

 というわけで、グランエースのライバルとなるモデルを挙げてみたのだが、レクサスLM以外は7名乗車を可能としている。

 乗車定員をマストとするならば、室内の質感や先進装備などと比べてもやはり、最大のライバルはベンツVクラスだろう。

 しかし、リムジンに匹敵する格別な雰囲気を堪能したいならばレクサスLMを味わってみたい……気もする。VWのT6は人とは違う個性を求めるならお薦めではある。

 こうして、グランエース、レクサスLM、ベンツVクラス、VW T6を見てきたが、やはり高級Lクラスミニバンに必須の豪華さ、居住性、質感、先進装備などを総合的に考えると、グランエースの最終ライバル車はレクサスLMになるだろう。

 しかし、価格は2000万円と予想され、価格が高すぎるうえに乗車人数が4名では実用上不便というユーザーも多い。現時点ではグランエースが、世界の高級Lクラスミニバンの王者といってもいいだろう。

日本向け次期ハイエースはどうなった?

海外版ハイエース。日本仕様とはサイズを含めかなり違う

 ところで最後に気になるのが話題をひとつ、商用車のハイエースだ。グランエースのベースとなるモデルであり、海外向けはひと足先にモデルチェンジをしたが、日本への導入は2019年11月20日現在未定となっている。

 もし仮に発売されても取り回しはもちろん、普段の仕事での使い勝手を考えると、あのボディサイズでは躊躇してしまうだろう。

 しかし、一方ではその大きさを快適な居住空間と捉えることもできる。それがバンをコンバージョンしたキャンピングカーでのニーズだ。

 ところが……キャンピングカーを製作するビルダー数社に聞いてみたのだが「ボディサイズは問題ないが、それよりも鼻先が長くなって見切りが気になるのと、ラゲッジスペースが小さくなったのが気になるので今は様子を見たい」と、異口同音にコメント。ビルダーたちにとっても、スタイルや荷室サイズに戸惑いを感じているようだ。

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