【新型ハスラーの画像公開!!】6年弱で累計約47万台売れた強さの秘密

軽クロスオーバーというそれまでなかったコンセプトの新鮮さ

 5ドアで雪道などにも強い軽自動車というとダイハツのテリオスキッドとスズキのKei(Keiは1代限りで絶版となったが、Keiがハスラーを開発する大きなヒントになった部分があったという)くらいしかなかった。

 そこにハスラーのようないい意味で手軽なクルマが登場したのだから、注目されるのは当然だ。

本格的なオフロード走行をしたい人にとってはジムニーが魅力的だが、ライトにアウトドアを楽しみたい人にとってはハスラーのオシャレな感じは魅力的

 さらにハスラーは雪国で重宝するクルマなのに加え、デリバリーが始まった2014年あたりから首都圏でも年に何度か大雪が降るようになり(中央自動車の談合坂SAで動けなくなったクルマにヤマザキパンのトラックが積み荷のパンを配布した神対応があったのも2014年の2月だ)、現行ハスラーはそんな時期に登場したのも追い風となった。

楽しげで明るい雰囲気

 現行ハスラーはもともとファニーなスタイルなのに加え、ボディカラーはルーフが白か黒のツートンカラーを含めオレンジ、ブルー、お笑いコンビオードリーの春日氏のトレードマークとなっているセーターのようなピンク、レッドといった明るいものもある11色を設定。

ハスラーはツートンカラーのボディカラーが大人気。フェニックスレッドパールブラックツートーンルーフは一番人気(2018年販売データ)

 インテリアもダッシュボードのパネルやパイピングの入ったシートなどオシャレで、かつボクシーなスタイルなので車内は広く、荷物もたくさん積める。

 現行ハスラーを見たら、ほかのクルマで例えるならルノーカングーのように「このクルマを買ったら生活もアクティブなものに変わりそう」と好意的に感じ、現行ハスラーを買ったユーザーも多かったに違いない。

カラーパネルは車体色に対応したパッションオレンジとピュアホワイトを設定。パッションオレンジのカラーパネルは、パッションオレンジ ホワイト2トーンルーフのボディカラーにのみ設定されていたが、乗り込むだけで元気が出る感じがいい

ハードウェアの完成度も上々

 ワゴンRをベースとしているだけに、現行ハスラーはクルマ自体もスズキのクルマらしく軽量なので低燃費かつ軽快によく走る。

 また深い雪道や悪路に対しても最低地上高はFF/180mm、4WD/175mmと十分確保され、4WDは横滑り防止装置を利用したトラクション(駆動力)を高めるグリップコントロールと急な下り坂でスピードを一定に抑えてくれるヒルディセンドアシストを装備するなど芸が細かい。

ハスラーの軽快なフットワークは魅力的だ。4人乗車、荷物満載でもストレスフリーで気持ちよい加速感が得られる

 それでいて価格はワゴンRとそう変わらないのだから、「こちらのほうが何かよさそう、面白そう」とワゴンRからハスラーに流れる人がいるのも当然だ。

 さらに現行ハスラーは見た目を含めた雰囲気に加え価格も手頃なのでテレビや一般誌といった大手メディアへの露出が多かったことも、人気に拍車を掛けたように感じる。

改良も抜かりなかった

2015年にエネチャージからSエネチャージに変更。Sエネチャージも改良型で、走行性能、燃費性能の向上に大きく貢献している

 売れているクルマだけにメーカーの扱いも手厚く、登場後減速エネルギーをバッテリーに溜めるエネチャージから僅かながらオルタネーター(発電機)がアシストを行うSエネチャージへ昇格。

 自動ブレーキも最低レベルの30km/hで機能を停止するレーダーブレーキサポートから軽自動車では上位の性能を持つステレオカメラからの情報を基盤にするデュアルカメラブレーキサポートに進化した。

 また現行ハスラーの武器となった豊富なボディカラーの入れ替えや、内外装に手を加えたタフワイルドやワンダラーなどの特別仕様車も設定し、最後まで新鮮さと高い商品力をキープした。

ハスラーは特別仕様車を適宜投入。写真は2018年11月に発売したワンダラーで、ルーフ、バンパーガーニッシュに新色のウッディブラウンを採用

 まとめると元々高い商品力を持っていた現行ハスラーに追い風や好循環が続き、すべてがうまく進んだ現行ハスラーは売れるべくして売れたという簡単な結論である。

 ハスラーの対抗馬としてダイハツはキャストをキャラクターの違う3タイプを用意して登場させた。キャスト自体も堅調な販売をマークしているが、ハスラーが強すぎて軽のクロスオーバー=ハスラーという一般のイメージは根強い。

次ページは : 次期ハスラーの登場に向けて

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