常勝ノートとアクアがまさかの失速!? ベストセラー順位 異変の事情

ノートとアクアが売れなくなった原因は?

日本のベストセラー車は世代交代を迎えているのか? もう販売台数は落ちていくだけなのか?
日本のベストセラー車は世代交代を迎えているのか? もう販売台数は落ちていくだけなのか?
10月は一気に6位に後退したノート
10月は一気に6位に後退したノート

 このように安定化した販売ランキングに、2019年10月はちょっとした異変が生じた。ノートが販売台数を大幅に下げて、販売ランキングの順位も後退したからだ。

 2019年は1月から3月まで1位、4月4位、5月から7月まで2位、8月4位、9月2位だったのが、10月には6位まで後退したのだ。またアクアも2019年7月以降、伸び悩んでいる。

 ノートは2019年度上半期(2019年4~9月)の小型/普通車市場における販売ランキングはプリウスに次ぐ2位(5万9474台)で、9月単月でも2位(1万3183台)であった。

 アクアは2019年度上半期が4位、9月単月は6位、10月は8位と順位が下がり、10月の対前年比は-52.3%になる。

 2019年10月の国内販売台数を見る時に注意すべきは、9月から10月にかけて、台風15号と19号が日本に甚大な被害を及ぼしたことだ。

 クルマの売れ行きも下がり、10月の対前年比は、レクサスブランドを除くと各メーカーとも-8%から-50%の範囲で大きく落ち込んだ。

 2019年10月は以前ほどではないものの、消費増税による需要の低下も生じたから、台風の影響と併せて販売面のマイナスが拡大した。

 このうち、アクアを扱うトヨタは21.8%、ノートの日産は29.9%、前年に比べて減少している。

 アクアはトヨタ自動車東日本の生産で、同じ工場が手掛けるC-HRも、10月の対前年比が56.4%のマイナスになった。

 ノートは追浜工場で生産され、同工場は、台風15号の影響により9月に操業を停止した経緯がある。

 以上のように、台風の影響も大きいから販売減少を差し引いて考える必要があるが、アクアは以前から売れ行きを下降させていた。

 2019年度上半期の対前年比を見ると、前年同期に比べて約18%減っている。2018年(暦年)は3.8%の微減だったが、2019年に入ると減少が目立ち始めた。アクアの発売は2011年12月だから、むしろ約7年も続いた高人気の期間が長かったと考えるべきだろう。

 同じトヨタのコンパクトカーでは、背の高いルーミー&タンクが2016年11月に登場して安定的に売れており、2019年10月はなんとルーミーが3位6962台、タンクは5420台で5位にランクインしている。

 販売店では「ハイブリッドの必要をあまり感じないお客様は、車内が広く価格の安いルーミーやタンクを選ぶことも多い」という。

 2019年9月には新型カローラも発売された久しぶりの10月の新車販売台数では1万1190台と11年ぶりに1位となった。

 カローラセダン&ツーリングのハイブリッドは、1.8Lエンジンがベースだからボディサイズも含めてアクアより大きいが、価格は装備の違いを補正するとセダンの場合で35万円上まわる程度だ。

 5ナンバーサイズにこだわらないのであれば、アクアではなく設計の新しいカローラハイブリッドを選ぶユーザーもいるだろう。

アクアも10月に8位に落ち込んだ
アクアも10月に8位に落ち込んだ

アクアにとっては今後も苦境が続くが2020年12月に新型が登場!

2020年2月に発売を予定している新型ヤリス。ヤリスハイブリッドはアクアにとって最大のライバルになりそうだ
2020年2月に発売を予定している新型ヤリス。ヤリスハイブリッドはアクアにとって最大のライバルになりそうだ

 今後は2020年2月にヤリスハイブリッドが発売され、2020年5月以降はアクアと同じ全店扱いとなるため、アクアにとって身内のライバル車が増える。

 アクアの2019年10月の売れ行きが-50%を超えたのは、台風による影響もあると考えられるが、下降傾向を強めていることも間違いない。

 気になるのは次期アクアだ。さまざまな噂が聞かれるが、ヤリスハイブリッドがコンパクトな定番車種として用意される以上、次期アクアは個性を強める必要がある。

 次期アクアは当然のことながら、新型ヤリスと同じ「TNGA」プラットフォームでパワートレインも新開発の3気筒1.5L直噴の2モーターリチウムイオンバッテリーを移植する。

 燃費もFFの最良値がJC08モードで44.0km/L、WLTCモードで35.8km/Lとヤリス並みに空前の低燃費を実現させる見込みだ。

 現行アクアはカッコのよさに反して背の低いクーペ的なデザインが後席の狭さ、ヘッドクリアランスの低さがネックになっているので、次期アクアではこれらの手直しで居住空間の拡大、クオリティアップでの上級シフトによって新型ヤリスとのコンセプト分けを明確にすると思われる。

 このためサイズアップ、全高の引き上げなども行われる可能性がある。新型ヤリスの全幅は1695mmの5ナンバーサイズだが、サイズアップで全長を若干延長し、全幅は1700mm超えの3ナンバー化に踏み切るかもしれない。

 次期アクアの発売時期は2020年12月発表、2021年2月頃の発売予定となっている。

ベストカー本誌がCG製作した次期アクアの予想CGイラスト。2021年12月発表、2022年2月頃の発売を予定している
ベストカー本誌がCG製作した次期アクアの予想CGイラスト。2021年12月発表、2022年2月頃の発売を予定している

 プリウスを含めて、以前は遠方から見てもハイブリッドだと分かる専用車が必要だったが、今は国内で売られるトヨタ製乗用車の大半にハイブリッドが用意される。

 珍しい先進機能ではなくなったから、アクアやプリウスのようなハイブリッド専用車のニーズも薄れた。そうなるとアクアを存続させるには、従来とは違う専用車としての明確な個性が求められる。

 いずれにしろ、アクアの人気と売れ行きは下降傾向だ。トヨタにはカローラシリーズ、ルーミー&タンク、シエンタなど設計が比較的新しい堅調に売れるコンパクトな車種があり、アクアの需要はこれらの車種に奪われている。

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