日産 レパードJ.フェリーは伝統や威厳を主張した車種と一線を画す新高級パーソナルセダン! こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】

革新的すぎたことが市場構造と噛み合わず

 レパードJ.フェリーが登場した背景には、1990年代初頭のグローバル高級車市場の潮流と、日産が目指したブランド再構築の試みが色濃く反映されていたことが挙げられる。

 当時の日産は、北米市場で「インフィニティ」ブランドを立ち上げ、トヨタの「レクサス」やホンダの「アキュラ」と同様に、北米の高級車市場におけるプレゼンスの確立を急務としていた。そんな事情で開発されたレパードJ.フェリーは、国内向けの上級セダンとしてだけでなく、北米市場を意識したグローバルモデルであることが求められた。

各種スイッチ類は専用設計とされ、形状や操作感の工夫により直感的かつ快適なユーザーインターフェースを実現。指先の触感にまで配慮した設計によって質感の高さと使い心地のよさを追求している
各種スイッチ類は専用設計とされ、形状や操作感の工夫により直感的かつ快適なユーザーインターフェースを実現。指先の触感にまで配慮した設計によって質感の高さと使い心地のよさを追求している

 しかし当時の日本市場においては、依然としてフォーマルな4ドアセダン=高級車という価値観が根強く、スペシャリティなイメージを前面に押し出したレパードJ.フェリーのスタイルは、既存の高級セダンユーザーとの親和性が低かった。

 また、技術的な部分に意欲的な面が多かったものの、セドリックやクラウンといった安定的に売れていた車種に対して差別化が図れたとは言い難い。結果として国内市場では明確なポジショニングを確立できず、革新的であるがゆえにニッチな存在にとどまってしまったわけだ。

 つまり、販売・広告・ブランド戦略が当時のマーケットやユーザーと噛み合っていなかったことが、市場での成功を阻む一因となったわけだが、これまでとはひと味違う商品としての訴求力は高く評価され、今でも長く記憶に残るクルマとなっている。

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