昔は定番だったのに、コスパ重視や電子化といった時代の流れに応じてなくなっていくクルマの装備です。50代以上のおじさん世代にとって、復活してほしい装備と、「おお~これはいいねえ」と思わず唸ってしまう最新のおもてなし装備を紹介していきます。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:arthurhidden@Adobe Stock)
復活してほしい装備:三角窓があればクーラーはいらない!?
50代以上のおじさんならわかりますが、20代の若者には「何それ?」と言われてしまうかもしれない三角窓です。上部と底辺を軸に回転させることが可能で、外気を取り入れることができたシンプルながら優れものです。しかも開き具合によって風量調整まで可能でした。
当時のクルマはエアコンはもちろん、送風・換気という機能すら十分ではなかったので、この三角窓の存在は絶大でした。
しかし1960年代の終わりころから急速に姿を消していきます。なぜ三角窓はなくなったのでしょうか。コストや安全面(はみ出した箇所が歩行者のダメージとなり得る)もありますが、一番大きいのはエンジンの排熱を利用したヒーターの研究が進み、きちんとした配管構造を持つ強制送風式のベンチレーションシステムが普及しはじめたことが最大の原因でしょう。
現在、エアコンがこれだけ高性能化しているので三角窓はいらないという人も多いでしょう。しかしエコの時代、エアコンを最小限にし、三角窓を開けての省燃費運転は今の時代にこそ合うのではないでしょうか。
ホンダフィットやダイハツトール、ハイトワゴンの軽自動車など、ドアガラスの前方にはめ殺しのガラスが付いているクルマもあるので、あの部分を開閉式にすることは難しいのでしょうか。
復活してほしい装備:開かないガラスルーフはいらない! ちゃんと開くサンルーフがほしい
最近のクルマはガラス技術の進化によって赤外線や紫外線を通さない調光機能を持つガラスルーフ、パノラマルーフが主流になっています。
夏は暑く冬は寒いというサンルーフの弱点を解消でき、夏でも涼しく(遮熱)、冬は暖かい(断熱)快適な室内空間の実現に貢献できるようになりました。調光ができるパノラマルーフはシェード(日よけパネル)を備える必要がなくなり、軽量化やヘッドクリアランスの確保にもつながっています。
ですが、おじさん世代にとってはガラスルーフは邪道かもしれません。「なんで開かないんだ」と。広大なガラスエリアはいいのですが、「開かなければ意味ないじゃん」と思ってしまいます。
そもそも電動サンルーフが登場したのは1978年デビューの2代目プレリュードです。電動スイッチを押せば新鮮な空気が入り解放感抜群で、タバコの煙も排出するという役割もありました(当時喫煙率は非常に高かったです)。
サンルーフを開けない時はカバーを閉めて、室内の空気を排出したいだけの時はチルトアップ、スイッチで開けたい面積も調節できました。
今の時代、技術がこれだけ進んでいるのですから、広大な面積の“ちゃんと開く”サンルーフ(ムーンルーフ)をぜひ設定してほしいものです。ついでにキャンバストップの復活も願います!
復活してほしい装備:黄ばみのないヘッドライト
最近やたらと見かける黄ばんだヘッドライトのクルマ。昔のヘッドライトはガラス製で、バルブも白熱球、その派生のシールドビーム、マニアが交換していたハロゲン球であり、発生する熱で光を放出する仕組みでした。
ガラス製のヘッドライトは比較的キズが付きにくく、黄ばみやくすみにも強かったです(逆に内側の曇りは発生しやすいですが)。
しかし現在のヘッドライトはガラスに対して対衝撃性で勝り、破損しても破片が飛び散りにくく、安全性やデザインの自由度の高さ、軽量化を重視したポリカーボネート素材(樹脂)が主流です。
新車のヘッドライトには耐候性を高めるためのコーティングが施されていますが、黄ばみやくすみの発生は素材の性質上ガラスより深刻で、主に紫外線、クルマの前面にあることから飛び石などによる細かいキズ、さらにコーティングの剥がれなどによって、経年変化とともに劣化が進みます。
特に紫外線はヘッドライトの黄ばみの最大の原因とされ、屋外駐車のクルマでは避けられないダメージのひとつです。黄ばみのないガラス製ヘッドライトが増えてほしいものです。
最新のおもてなし装備:センチュリーに装備されたスムーズストップ機構がアクアにも
ベテランドライバーなら同乗者のことを考え、信号待ちなどではなるべくショックを与えないように慎重に、丁寧に停まることを考えます。しかし運転に慣れていない人にとっては、この気遣いは至難の業です。
これをクルマが自動でやってくれるのが、2025年9月にマイナーチェンジされたアクアに装備されたスムーズストップ制御です。センチュリーやアルファード&ヴェルファイアのPHEVモデルに装備された、おもてなし機能です。なんと、トヨタのコンパクトカー初の機能ですから驚きです!
今回、異なる領域で経験を積んできたトヨタの開発チームが“上質・先進”というキーワードを具現化するため、アクアへの搭載を決意しました。
開発チームは「コンパクトカーに搭載する上で初めての課題も多く、不安もありましたが、こだわりを持ったメンバーで何度も試乗し、制御の改良を重ね、満足のいく乗り味を実現しました」と語っています。
具体的には停止直後の車両の揺れ動きを抑え、乗員の姿勢変化を低減するよう補助します。ただしブレーキペダル操作の不足を補う機能ではなく、ブレーキペダルをゆっくり踏んだ時には作動しません。
ファミリーユースの多いコンパクトカーによくぞ搭載したものです。きっと奥さん思いの愛妻家や小さいお子さんを持つファミリー層にウケるに違いありません。もっと他の車種にも付けてほしいです。
カローラクロスに搭載された「シグナルロードプロジェクション」
カローラクロスのマイナーチェンジで搭載された、歩行者や周囲のクルマに“進む方向”を光で知らせる「シグナルロードプロジェクション」。この最新装備を手がけたのは、自動車用ランプ大手の小糸製作所です。
この「シグナルロードプロジェクション」はウィンカーを出すと同時に、路面にV字型の矢印=“シェブロン”を投影する機能です。ドライバーの意志を視覚的に周囲へ知らせることで、見通しの悪い交差点や夜間など、事故リスクが高まるシーンでの安全性向上が期待されています。
たったひとつのLEDと2つのレンズというシンプルな構造ながら、コンパクトでヘッドランプ内部への搭載もスムーズです。しかも投影されるシグナルは明るくて見やすく、均一な形状が特徴です。
このシステムはカローラクロスの2025年5月23日発売モデルから導入開始。量産車としては日本初(小糸製作所調べ)です! 今後、他車種への展開拡大に期待したいです。
ちなみに大型車には巻き込みを防ぐため、日本語の音声で「左に曲がります。ご注意ください」、「バックします。ご注意ください」という音声と警報装置を聞いたことがあるでしょうか。これも非常に事故防止には効果的です。
大型車の新型車には令和7年1月19日以降に発売される車両(継続生産車は令和9年1月19日以降)から義務化されていますが、バック時の警告(後退時警報=バックアラーム)のみで左折時の警告は含まれていません。
編集部まとめ
まだなくなってほしくない装備(サイドブレーキ、シガーソケットなど)、最新装備であってもいらない装備(電子サイドミラー、まだまだ作り込みが必要な音声認識装置など)、時代とともに装備が充実してきていますが、
その一方でバックモニター装備→直接外を直視しないといった行動が出てきています。筆者はちゃんと発進する時は右後ろを見ますし(直視)、バックが不安な時は直接クルマを降りて確認します。
豊かで便利になる一方で、基本的なクルマの運転操作がないがしろになるようでは本末転倒です。いま一度立ち止まって原点に帰ることも必要ではないでしょうか。


















コメント
コメントの使い方液晶大画面の操作(タッチ)パネル、要らない。スピード、タコメーターも従来のアナログでいい。電動パーキングブレーキも要らない。横にレバーがあればいい。
オートワイパーもやめてくれ! オートライトは・・・余計な法律作りやがって!
運転手がラクをするための機能は高額オプションにして、その分安全性向上にコストをかけるなり価格を抑えてほしい。