【絶好調? それとも瀬戸際?】欧州では瀕死も日本では絶好調 ディーゼルの現状と今後


進化した排ガス後処理技術


ランドクルーザーやグランエースなどに搭載されている2.8L クリーンディーゼルエンジン「1GD-FTV」のシステム図(出典:トヨタ)
写真は新型デリカD:5のアドブルー(尿素水)補充口。同車は改良モデルから尿素SCRを新たに採用。補充はユーザー自ら行う必要がある。一方マツダのように尿素SCRを用いないディーゼル車もある

 燃料噴射装置に関しても高圧に対応可能なピエゾインジェクターなどを採用。さらにノズル部を多孔式とすることで噴霧の細分化を実現するとともに、燃焼行程で複数回の精密な燃料噴射を可能としたことで、より精密な燃焼を実現した。

 排ガスの後処理技術については、ディーゼルでは一般的といえるターボ過給ともに、排気ガスを吸気側に戻して新しく吸った空気と混ぜることによって燃焼温度を下げてNOxの生成量を減らすEGR(排ガス循環処理) や 排ガスを処理する酸化触媒とNOx触媒を装着してきた。

 前者は炭化水素と一酸化炭素を白金やパラジウムなどの触媒を用いて無害な二酸化炭素や水に変換する。後者はNOxを窒素とアンモニアに変化させてNOx発生を抑制する。

 ただし、これだけの技術では、より厳しくなってきた排ガス規準をクリアすることができなかった。

 そこで気管や肺といった呼吸器系に悪影響を与えるPM(パティキュレート・マター:粒子状物質)を捕集するために開発されたのがDPF (ディーゼル・パティキュレート・フィルター)だ。

 細かな孔が穴を開けたセラミック材料が主流で、フィルターというだけあって定期的に交換が必要になる。

 NOx触媒として新たに開発されたのがSCR(選択式還元触媒)システムだ。この中で開発が進んだ尿素SCRは、国際規格化された「AdBlue」(尿素を含む液体)を排ガスに添加して、NOx触媒内に残ったNOxの分解を助ける。

 ただし、これほど技術開発が進んでも、ポルシェ911などはガソリンエンジンでもユーロ6での厳しいPM対策としてG(Gasoline)PFを装着しているほど、現行のユーロ規制は厳しい内容となっているためことで、ディーゼル車がいわば“余分な”後処理装置を装着することでコストが高くなることは否めない。

日本車メーカーのクリーンディーゼル車

1.8L、直4のクリーンディーゼルエンジンを搭載するマツダ3XDモデル
マツダのSKYACTIV-Dは低圧縮比燃焼技術により、高価なNOx後処理装置なしでも最新の排ガス規制※に適合。それにより低コスト化も実現。※国内ポスト新長期規制、欧州EU6規制のこと

 では現状で日本メーカーの対応はどうかというと、欧州の輸入車ブランドのモデルに比べればかなり地味だが、乗用車でもディーゼル車は存在する。特にマツダはディーゼル導入を積極的に進めてきた。順に追って見てみよう。

 国内市場にディーゼル車を積極的にラインナップしている日本メーカーといえばマツダだろう。

 マツダは1.5L(1498cc、S5-DPTS型、マツダ2のみ)、マツダ3やCX-3/30に与えられた新世代の1.8L(1756cc、S8-DPTS型)、CX-5やマツダ6以上のクラスに2.2L(2188cc、SH-VPTS)の各直4ディーゼルターボをロードスターとOE供給の軽自動車を除いて設定している。

 低圧縮比化でNOxを減らしたことによって、後処理装置を追加せずに排ガス浄化を実現したこと(コストが抑えられる)が独自技術といえる。

 トヨタはいうまでもなくハイブリッド命ゆえに、ディーゼル車の導入には日本市場で見れば腰が引けているように思えても、世界一を目指すトヨタはSUVを中心とした海外モデルをもつだけあって抜かりはない。

 最近では大型ミニバンであるグランエースにも採用された「GD型」直4ディーゼルを用意する。

 2.8L(2754cc)直4「1GD-FTV」と2.4L(2393cc)「2GD-FTV」の直4ターボの2機種が用意され、2.8Lは前述のグランエースやランドクルーザープラド(1をはじめ、ハイエース(レジアスエース)の商用バンに設定。2.4Lはピックアップのハイラックスに採用する。

 ちなみに、国内の乗用系車種にディーゼルを採用していない日産やホンダ、スバルだが、商用系では日産のみNV350キャラバンのバン仕様にYD25DDTi型直4ターボ(2488cc)が用意している。

 現在、三菱自動車が国内で販売するモデルでは、デリカD:5とエクリプスクロスに2.2Lの4N14型直4(2267cc)ディーゼルターボを搭載する。

 海外では三菱のアジアを中心とした世界戦略車であるピックアップのトライトン/L200用に、2.4L、直4の4N15型(2442cc)も用意している。

 ちなみに日本自動車販売連合会が発表している乗用車における燃料別販売台数(2020年2月)を見ると、ディーゼル車の割合は、マツダが5548台(ディーゼル比率40.4%)、三菱が1185台(ディーゼル比率38.9%)、トヨタが967台(ディーゼル比率0.8%)となっていて、ディーゼル乗用車全体では1万3098台で、ディーゼル比率は乗用車販売全体の5.6%となっている。

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