【絶好調? それとも瀬戸際?】欧州では瀕死も日本では絶好調 ディーゼルの現状と今後


輸入車ディーゼルはよりどりみどり

写真は左からアテンザ XD、BMW 320d、ベンツ E220d、VWパサート TDI。全車、日本のポスト新長期規制に対応したディーゼル車

 いっぽう、ドイツ勢を中心とした輸入車はディーゼル車を積極的に採用してきた。

 日本市場でも、メルセデスやBMWはセダンからSUVまで様々な車種に採用が進み、プジョー・シトロエンは小型車の308などを含めてディーゼル搭載車を導入するなど、選択の幅が広がってきている。

 2010年頃のディーゼルの輸入台数は、1年間に2400台程度だったが、2015年には10倍以上の2万9000台に増えた。

 全体に占めるクリーンディーゼル車の割合は前年より3.7ポイント上昇し26.9%となり、8年連続で過去最高を更新し、18万7038台を販売した。

電動化技術とのせめぎ合い、ディーゼルは今後どうなる?

尿素SCRシステムを採用する2.4L、2GD-FTVエンジンを搭載するハイラックス。ピックアップトラックやSUVにはディーゼルエンジンが欠かせないと言われるが……

 呼吸器系統の病気をもたらしの原因物質となるNOx(光化学スモッグももたらす)とPM、地球温暖化をもたらすとされるCO2などの発生量を抑えるために、自動車メーカーは長年にわたって、ディーゼルエンジンの排ガスをクリーンにするための努力、いわば「いかにキレイに燃料を燃やすか」というテーマに沿って研究開発に取り組んできた。

 それでも厳しくなりつつある排ガス基準をクリアするために、従来の排ガス浄化技術に加えて、シリンダー内で発生するNOxをため込んで窒素と水に変えるNOx吸蔵還元触媒や前述の尿素SCR触媒が使用されることになった。

 どちらも人の身体にとって有害であっても、無色無味無臭のNOxに対して見た目と匂いがはっきりとわかる黒煙の発生を抑えるための装置がDPFであり、黒煙の元になる排ガス中の煤を回収する。

 最新仕様では、目詰まりを防ぐためにECUの制御によって定期的に排ガスの温度を上げて煤を燃やして自動再生することで、黒煙の発生を抑え続けることが可能になった。これによって、見た目に加え焦げ臭いような匂いもほぼ出なくなったわけだ。

 いっぽうでディーゼル車が抱えている課題もある。ディーゼル車が後処理技術の追加によって、どうしても高価になりがちなことは指摘したとおり。高級車では価格に転嫁できるものの、日本では一部のSUVを除いて、電動化の進捗に伴って限定的な採用にとどまっている。

 自動車メーカーは現状では各国での規準をクリアしたうえで、予想されるさらなる規制強化に対応すべく開発を進めている。ただし、「排ガス・ゼロ」の領域に近づくにつれ、前述のように電動化技術の採用は避けられない状況にある。

 ドイツのコンサルタント会社の推計によると、排ガス規制の目標達成には2021年までに乗用車のEVのシェアを3倍の6%に、ハイブリッド車のシェアを5倍の5%に引き上げる必要があり、またメーカーは排ガス排出量を2025年までにさらに15%、2030年までに37.5%削減しなければならないという。

 この規制をクリアできなければ、メーカーは基準を1g超えるごとに1台当たり95ユーロの罰金が科せられることになっており、罰金額はあっという間に膨大になる。

 さらに追い打ちをかけているのはディーゼルエンジン車およびガソリン車をターゲットにした主要都市部での販売や乗り入れ規制である。イギリスでは2035年、フランスでは2040年など概ね2025~2040年にかけて各都市で販売禁止や乗り入れ禁止が始まる。

 こうした背景もあり、数奇な運命となってしまいそうなディーゼルエンジン車。なくなるのは実に惜しい。今のうちにぜひ味わってほしい。

【画像ギャラリー】今のうちに乗っておきたいクリーンディーゼル車詳細写真

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