2020年2月、新型ヤリスと新型フィットが登場し、日本のコンパクトカーが新たな時代に入った。
この2台のコンパクトカーで注目したいのは、新型フィットは後席の広いパッケージングを採用したのに対し、新型ヤリスは後席の広さよりも、走る、止まる、曲がるという基本性能を追求しているということだ。
新型フィットにしようか、それとも新型ヤリスか。さらにはノート、マツダ2、スイフトなどライバル車と比べて、どのクルマにしようかと、悩んでいる人も多いのではないだろうか。
今回は、クルマ全体の評価ではなく、コンパクトカー選びにおいて、重要な要素の一つ、後席の広さにスポットを当て、「後席の広いコンパクトカーランキング」と題して、各車の後席の広さや使い勝手はどうなのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏に解説してもらった。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーWeb編集部
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サイズはコンパクトだが後席の広さも重視されるように
今話題の新型車といえば、先ごろフルモデルチェンジを行ったコンパクトカーのヤリス(旧ヴィッツ)とフィットだ。
両車ともに全長を4m以下に抑えた5ナンバー車で(一部のグレードを除く)、混雑した街中や狭い駐車場でも運転しやすい。
衝突被害軽減ブレーキを作動できる安全装備、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなど、運転支援機能も充実させた。
日本の新車販売において、コンパクトカーの販売比率が高いことにも注目しておきたい。今やコンパクトカーは、新車販売全体の25%を占めており、軽自動車の38%に次いで人気のカテゴリーになっているのだ。
コンパクトカーが好調に売れる一番の理由は、商品力の向上だ。小さくて運転しやすいだけでなく、内装の質、乗り心地、走行安定性、安全装備、運転支援機能、環境性能などがバランス良く進化している。
そのために上級車種からコンパクトカーに乗り替えても、物足りない印象が生じにくい。
クルマの価格が全般的に高まったことも、コンパクトカーが好調に売れる理由だ。1990年代であれば、初代ステップワゴンやセレナのようなミドルサイズミニバンを200万円前後で買えたが、今では安全装備や環境性能などの向上により250万円を超える。
クルマが値上がりしているのに、平均所得は1990年代中盤に比べて安い水準で停滞しているから、購入する車種を小さくする必要が生じた。
ヤリスやフィットであれば、1.3Lから1.5LのNAエンジン搭載車は、買い得グレードの価格が160万~175万円だ。
ハイブリッドは210万円前後になる。20~25年前のミドルサイズミニバンの価格帯に、今日のコンパクトカーが位置している。
そうなるとコンパクトカーに対するニーズも変わる。以前は2名以内の乗車で街中を移動するためのクルマだったが、今のコンパクトカーは、かつてのステップワゴンなどと同じくファミリーカーとしても使われる。
そこで大切になるのが後席の居住性だ。ここでは後席が快適なコンパクトカーをランキング形式で取り上げていきたい。
候補車種の条件は2つあり、まず価格が割安で運転しやすい5ナンバー車であること。3ナンバー車のインプレッサスポーツやマツダ3になると、NAエンジン車でも、売れ筋価格帯が220万円以上に高まってしまう。
2つ目の条件は、全高が1550mm以下に収まることだ。これを超えるルーミー&タンク、ポルテ&スペイド、ソリオ、フリードプラスなどは、立体駐車場を使いにくく価格も上昇する。
また背の高いコンパクトカーなら、後席は広くて当然だろう。どれを選んでも4名が快適に乗車できるため、ランキングする意味も薄れる。
ここではヤリス、フィット、ノート、マツダ3(旧デミオ)、パッソ、スイフトなど、ボディが小さくて立体駐車場を使いやすい典型的なコンパクトカーを選び、後席が広い順にランキングした。
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